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- 国際ビジネスやグローバル展開に興味のある人
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森川亮氏がC CHANNELを通じて目指しているのは、メディアが未来に向けて広がるか、局地的に絞るかという二つの選択肢において、明確に「広い」グローバルな視点を持つことである。彼は、日本文化をアジアのファッションや食の分野で浸透させるために、広くコンテンツを出し惜しみせず展開することを重要視している。
森川氏は、メディアが中途半端であることを避け、徹底的にグローバル戦略を推進するべきだと考えている。また、コンテンツを単なるバラ売りではなく、ブランドとしてパッケージ化してプラットフォームに乗せることが必要であり、それがC CHANNELの目指す方向性であるとしている。
この視点に立って、森川氏はファストファッションの世界におけるユニクロのように、手軽でアクセスしやすいファッション映像を提供することを意図している。そして、世界で成功するためには、他者の後追いではなく独創的なアイデアで先駆者となること、そしてデジタルの革新をうまく活用することが重要であると述べている。
最終的に、デジタルとアナログの融合による新たな価値を生み出すことがメディアにとって重要であるとし、AI技術の進展により誰でもコンテンツを作れる時代において、人間の独自性と創造性がさらなる価値を生むと信じている。
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メディアの未来は「思いきり広い or 狭い」の二者択一、どちらを選ぶ?──森川亮から土屋敏男さんへ
C Channel代表取締役社長の森川亮さん。LINE株式会社の代表取締役社長を退任後、すぐに立ち上げたのが、女子のための動画ファッションマガジン「C CHANNEL」だった。テレビ、メッセージアプリ、そしてスマホ時代のメディア……いま、森川さんはメディアで何をやろうとしているのか?
サイボウズ式×現代ビジネス「ぼくらのメディアはどこにある?」で、森川さんとメディアについての往復書簡を交わすのは、日本テレビ放送網編成局ゼネラルプロデューサーの土屋敏男さん。「メディアのこれからって、どうなるんですか?」
2016年1月13日お金儲けをするなら、メディアはやらない──森川亮から土屋敏男さんへ メディアの未来は「超グローバルか超ローカル」
ぼくはC CHANNELでグローバルに向けたメディアをつくっていますが、これからのメディアは「思い切り広い」か「思い切り狭い」のどちらかになると思っています。
いちばんよくないのは、中途半端であること。いま、地方紙も元気ですから、ネット時代には東京ではなく地方のほうが盛り上がることがあるのかもしれません。
一方、グローバルに目を向ければ、これからアジアが重要な地域になると確信しています。これからひとつの大きな経済圏になるアジアは、同時に文化圏にもなるからです。
すでに音楽もドラマもアジアでは韓国に取られているので、残る分野はファッションや食です。C CHANNELでは、その分野においてアジアにおける日本文化の立ち位置をつくることを目指しています。
出し惜しみはいけない、どんどんコンテンツを出そう
C Channel代表取締役社長の森川亮さん。日テレ、ソニーを経てハンゲームジャパンに入社(のちのLINE)、2007年10月~2015年3月までLINE株式会社の代表取締役社長を務めた。退任後すぐに立ち上げたのが、女子のための動画ファッションマガジン「C CHANNEL」だった
そのとき、出し惜しみしてはいけないと思います。コピーされるから、儲からないからといって、これまでいろんな企業が出し惜しみをしてきました。でも今の時代、どんどん出して、はじめて収益につながるものだと思っています。C CHANNELはこれから中国に展開しますし、シンガポール、タイ、台湾にも進出する予定です。
ただ、コンテンツとメディアでは少し考え方が異なります。ぼくが日テレで最後にやろうとしたのは、国際放送――NHK WORLDの日本テレビ版――だったのですが、海外向けに番組をつくるのがむずかしくて中途半端で終わりました。
その経験から思うことがあります。それは、日本の文化や作品が世界に出ていくには、バラ売りだと安く流通することになるため、パッケージで流通させなければいけないということです。
そこで大事になるのが、CNNやMTVのような「ブランド」。そしてそこにコンテンツを載せるプラットフォームをつくることをC CHANNELで目指しています。
コンテンツ1つひとつはもちろん頑張って作りますが、それに加えて仕組みとして広がりを持つようなプラットフォームが必要なのです。たとえるなら、ファッションの世界でユニクロがやったようなこと。その意味で、C CHANNELがやりたいのはファストファッションの映像版だということができます。
世界で戦うときの心掛け「後追いでは絶対No.1になれない」
いまは便利な時代になり、なにもかもデジタル化されてコピーされるようになりました。それらは接した段階で劣化しはじめていきます。最初に接するものがコピーという人も多いですから、本当はいいものだったとしても悪く評価されていることもあるかもしれません。
だから、わざわざ汗をかいて、メディアやコンテンツを作ろうとする人が減ったと思うのです。この現状が続く限り、おもしろいものは生まれません。テレビでもネットでも、まずおもしろいことがあって楽しみが生まれるのだと思います。
ほかの人がやっていることを後追いしても、ナンバーワンにはなれません。特に世界で戦うのと日本で戦うのとでは全然違います。
日本で戦うときには、世界の成功事例を持って来ればある程度ビジネスとして成り立ちますが、世界で戦うときには、シリコンバレーよりも先に仕掛けないといけません。C CHANNELではそこを突き詰めていきたいと思います。
いまやテクノロジーが発達して、音楽なら楽曲のいい部分をつなぎ合わせてつくることもできます。書籍もそうなるかもしれません。いまは加工されたものがあふれすぎています。だからこそ、ライブなど生のものに移りつつあります。
1人ひとりがメディアになっている
森川亮さんとメディアについて語る土屋敏男さん。『電波少年シリーズ』『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』の演出・プロデュースを担当した、日本テレビ放送網編成局ゼネラルプロデューサー。2005年にはインターネット動画配信サービスとして第2日本テレビを立ち上げ、現在はそれぞれの人生をドキュメンタリーとして残す事業を展開するLIFE VIDEO代表取締役社長も務める
もちろん、メディアの感覚は世代によって変わります。
アナログ世代がデジタルと出会うと、アナログのものをデジタルで生かしていくイメージがありますが、今のデジタル世代はむしろデジタルのなかにアナログを足していくイメージを持っていると思います。たとえば、3Dプリンタで出力したものに削りを入れるなどの新しいコンテンツの可能性は生まれてくるのかもしれません。
AIの登場によって、だれでもそれなりのものをつくれる世界が目前に来ています。その先に必要なのは、人間の手を加えることです。思いを込める――。シンプルなことですが、これからとても重要になってくると思います。
これからのメディアを考えたとき、「メディアがメッセージである」という言葉を借りるなら、1人ひとりがすでにメディアになっていると思います。世界中の人がメッセージを出せるようになった一方で、ひとつひとつのコンテンツの質は下がっているという問題があります。
「いいね!」を押してもらうためだけに発信しているようなものも多く、それは危険なことだと思います。だからこそ、土屋さんのような生きるメディアの登場に期待していきたいです(笑)。
そんな土屋さんがなぜライフビデオに行き着いたのか。そもそもメディアをどうとらえているんでしょうか?
土屋敏男さんからのメッセージ。「鎌倉から世界へ。テレビと真逆のメディアで「地元への愛着」を取り戻す──土屋敏男から森川亮さんへ」
取材:徳瑠里香、佐藤慶一(現代ビジネス)、藤村能光/文:佐藤慶一/写真:岩本良介
2015年8月 6日[往復書簡] 田原総一朗から津田大介さんへ。これからのジャーナリズムの居場所はどこにある? タグ一覧
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