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- 料理が趣味で調理法に新しい工夫を求める人たち
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この記事を通じて得られる知識としては、フィリップスのノンフライヤーの調理技術とその実用性について詳細な理解が得られる。ノンフライヤーは油を使わずに揚げ物を行う機器で、新しい調理法として熱風を利用し、自然界にはない高温調理を行う。この記事では、ノンフライヤーの基本的な構造や調理方法、特にトンカツや鳥の唐揚げの仕上がりがどのようになるのか具体例を示しており、利点としては油を使わないことでの健康面のメリットや火を使わない安全性、また調理中に他の作業が可能になる時間の有効活用が挙げられている。また、調理時間が長くなることや消費電力が高いことなどのデメリットも述べられている。ノンフライヤーの運用面での利点として、換気扇が汚れにくくなる点やタイマー機能による揚げ過ぎ防止などが示され、家事を円滑に進めるために有用であることが説明されている。家庭生活において調理の効率化を求める人々にとって、ノンフライヤーの導入は一考の価値があるという視点が展開される。
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tech
フィリップス「ノンフライヤー」の本当の価値──コデラ総研 家庭部(57)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第57回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「フィリップス『ノンフライヤー』の本当の価値」。
文・写真:小寺 信良
2013年初頭に登場し、新しい調理器具として一躍ヒット商品となったのが、フィリップスの「ノンフライヤー」だ。油を使わず揚げ物ができるということで、まず最初に海外で評判になった。当時は日本国内で発売されておらず、並行輸入で購入するしかなかったのだが、同年5月ぐらいには国内向けにも販売されるようになった。僕もその頃購入した。確か2万3000円ぐらいしたはずだ。機能が限られた調理器具としては、高いほうだろう。
現在はその人気も一段落といったところではあるが、これまで2年半ほど使ってきたので、そのメリットやデメリットを改めてご紹介したいと思う。
調理業界、というのがあるのかどうか分からないが、加熱調理に関しては、もうかなり前から本格的な革命が起こっている。その先陣を切ったのは2004年に発売された、シャープのヘルシオだ。
電子レンジ的なルックスでありながら、水蒸気を使って高温調理するというスチームオーブンで、余分な油を落としながら調理でき、ヘルシーだというところがヒットに繋がった。初代ヘルシオは基本的にはオーブンなので、焼き物、蒸し物を得意とする一方で、電子レンジの機能はなかった。
ということは、キッチンに電子レンジも含めて2台置かなければならない。これがネックになって、買うに買えない人も多くいたはずである。現在のヘルシオは電子レンジの機能も備えており、1台で済むようになっている。ただ、シャープの先行きが不透明になってきているので、ヘルシオの行く末も案じられる。
一方ノンフライヤーは名前が表わす通り、油で揚げるという調理の代わりとして使うものだ。もちろんそれだけでなく、ある程度の分野の調理をカバーできるのだが、ヘルシオとは主軸が違うということである。
ノンフライヤーの構造はシンプルだ。実際に内部の構造を見ると、ほとんどオーブントースターと大差ないことが分かる。バスケット部を抜いて本体内部を見上げると、でっかい電熱線が入っている。電気コンロで使われているようなタイプだ。さらにその奥に、直径15cmぐらいのファンがある(写真1)。
写真1:原理的には風が出るオーブントースター
このファンで熱風を下に吹き付け、調理するわけだ。さらに受け皿の底には、昔の洗濯機の底にあったスクリューみたいな突起が付けられている(写真2)。
写真2:底部にも工夫が
ここは単に浮き出ているだけで、これ自体が回るわけではない。渦巻き状のフィンによって、上から吹き付けられた熱気がトルネード状に回転しながら周囲に拡散し、再び上昇することで、スムーズな対流を生み出しているようだ。
したがって実際には油で揚げるのとは違う、熱風調理ともいうべき別の高温調理法であり、おそらく自然界には存在しなかった方法だ。下手すればただ乾燥しただけで終わりになるところを、調理と呼べるレベルに仕上げたところがポイントである。
予想外のメリットに驚愕
実際にどのような仕上がりになるかというと、例えばとんかつなどは油で揚げるよりは仕上がりが白っぽい。衣はこんがりきつね色にはならず、白っぽい山吹色といった程度である。しかしそれでも中まで熱は通っており、生焼け感はない。ヘルシオのように、下にボトボト油が落ちるほどではないが、衣がそもそも油を吸っていないので、油の摂取量は揚げるよりは少ないはずである。
鳥の唐揚げは、唐揚げ粉の種類によっては向いてないものもある。粉をまぶしてなじませるような唐揚げ粉なら調理可能だが、水で溶いてベタッとした溶液にくぐらせるようなタイプは、ノンフライヤーだと表面がカピカピに乾いてしまって、ちっとも美味しそうにできない。ただもも肉の場合はそこそこ油も落ちるので、健康にはいいだろう。味も実際に油で揚げてみたものと食べ比べてみたが、ほとんど変わらない仕上がりになる。
こうしてみるといいことだらけのようにも見えるが、幾つかデメリットもある。まず調理時間だが、実際に油で揚げるのに比べると、2倍ぐらいの時間が必要だ。とんかつや唐揚げなどは、だいたい15分ぐらいかかる。
次に消費電力だが、スペックシートによれば1425Wとなっている。温度センサーでときどきはファンだけになるのだが、それでもだいたい10分ぐらいドライヤーを全力で回しているのと同じぐらいの電力を食う。電気代云々よりも、これが回っているときに電子レンジとテレビを一緒に使ったりするとブレーカーが落ちてしまうので、同時にいろんなことができないのが残念だ。
それでもノンフライヤーを使い続けているのは、別のメリットのほうが上回るからだ。個人的に一番大きいのは、火や油を使ってないので、調理中にずっとそばにいなくてもいい点だ。その間に買い忘れたものをスーパーに買いに行ったりということもできる。
2つ目のメリットは、うっかり時間が過ぎてもタイマーで勝手に電源が切れるので、揚げ過ぎにならない。毎回必ず同じ仕上がりになるのだ。いい感じの仕上がりになる時間は多少の試行錯誤が必要だが、それが分かってしまえばこんな楽な調理器具はない。
3つ目のメリットは、換気扇が汚れないことだ。以前揚げ物をしているときは、換気扇が油ですごいことになっていたが、今は月に1度ぐらい軽く掃除する程度で済んでいる。
健康のためだけでなく、運用上のメリットが大きいのは、実際に使ってみるまで分からなかった。内容積がそれほど大きくないので、量としては一度に2人分程度の調理しかできないが、うちではそれで十分である。4人家族だとまた違った評価になるかもしれないが、調理の効率化を考えるなら、導入検討の余地はある。(了)
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