なぜ、デンソー九州は地元企業の工場改善に本気なの?
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- 環境問題に関心がある一般市民
- 地元企業の関係者
- 自治体の政策担当者
- 製造業界の技術者
- 学術研究者や学生
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この長文の記事を読むことで、デンソー九州と北九州市が連携して取り組んでいる脱炭素化のプロジェクトについて深く理解することができます。まず、デンソー九州が地元企業に対して省エネアドバイスを提供し、再生可能エネルギーの促進を図っていることが紹介されています。これらの活動は、デンソー九州が持つ省エネ技術と5S管理法を活用し、地域企業に展開されているものです。特に、北九州市の歴史的背景としてかつての公害問題からの回復が強調されており、市民、企業、自治体の連携による環境改善への取り組みが今日まで続いていることが分かります。
さらに、デンソー九州が目指すカーボンニュートラルは、地元企業との連携を深め、自治体と協力して地域全体の脱炭素化を推進することにあります。記事では、具体的な実施内容として、デンソー九州の工場での省エネ改善技術が地域企業に共有されている様子が実例として挙げられ、また、EV充電ステーションや太陽光発電システムの設置計画も明らかにされています。これにより、デンソー九州が地域のカーボンニュートラル推進の中心的役割を担っていることが理解できます。
従って、この記事を通じて、企業と自治体の協力体制や、地域の歴史背景に基づく環境意識の重要性、そして実際に行われている具体的取り組みの内容を知ることができ、地域レベルでの脱炭素化の取り組みの意義を深く学べます。
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2023.8.29
ビジョン・アイデアなぜ、デンソー九州は地元企業の工場改善に本気なの?
北九州市との脱炭素化の取り組みに迫る
脱炭素化の先進都市として注目を浴びる北九州市で、デンソー九州の取り組みが活発化しているらしい。
そんな話を聞き、今回は北九州市との連携による脱炭素化の取り組みや担当者の思いを聞きました。お話からみえてきたのは、自治体と企業が力を合わせることによって地域にもたらし得る変化の兆しです。
この記事の目次
今回の取材では、まずデンソー九州を訪れ、北九州市との協定の背景や取り組みについて、話を聞きました。迎えてくれたのは、デンソー九州製造企画室の林良太郎さん、生産技術部の伊坂康宏さん、経営管理部の田中浩史さんです。
「北九州市のために何かできないか」が連携の始まり
デンソー九州と北九州市は、2022年10月に「脱炭素社会実現に向けた包括連携協定」を締結しました。(https://www.denso-kyushu.co.jp/topics/archives/63)
協定のなかで、デンソー九州は地元企業への省エネアドバイス活動、そして再エネルギーの活用促進を行うと発表しています。
どのような経緯で連携することになったのでしょうか。林さんいわく、デンソー九州社内の環境意識向上を目的に、北九州市に環境講演会を依頼したのがきっかけでした。
林さん「講演会の際に『デンソー九州が北九州市のために役立つ取り組みができないか?』という話になりました。
何ができるかを考えるため、まずは一度デンソー九州の工場を見学してもらいましょうかという流れになり、工場における省エネ活動を紹介しました。
すると『この取り組みを地元の中小企業にも紹介して広めてくれないか』とお話をいただきました。具体的にどのように紹介するのか、どう実行してもらうのかは決まっていませんでしたが、実践しながら試行錯誤を重ねていったんです」
省エネアドバイス活動を入り口としながらも、取り組みを通して、地域の脱炭素化への貢献を目指しています。
田中さん「北九州市が脱炭素・カーボンニュートラルで、かつてのように日本の産業の最先端で輝いていく。そのためのお手伝いをデンソー九州が担うことで、弊社も、地域も、社会も、よりよい形に成長していけたらいいなと思っています」
そのために目の前の活動に取り組むことはもちろん、北九州市という地域で、行政や企業との連携を深めることも大切にしているそうです。
伊坂さん「脱炭素化社会は、決して自分たちだけでは実現できません。他企業を巻き込んだ動きをつくっていく。そういった仲間づくりが重要なのかなと思っています」
過去を乗り越え、脱炭素化の未来を牽引する北九州市
そもそも、なぜ北九州市では脱炭素化の動きが盛んなのでしょうか。
林さんは、北九州市の環境への取り組みの前提となる歴史について教えてくれました。
北九州市は、官営八幡製鉄所の創業していた場所であり、日本の近代産業の始まりの地。国内最大の工業地帯として高度成長を支えた一方、1960年代は公害問題にも直面しました。
北九州市で生まれ育った林さんいわく、幼い頃は煤煙(ばいえん)や煤塵(ばいじん) *が降っており、喘息の友達も多かったとのこと。車には鉄が載ってしまうため、すぐに錆びてしまったそうです。
*煤煙・煤塵:物質の燃焼に伴い発生する煙や煤(すす)・灰などの微粒子など
デンソー九州の道中で見た北九州市の景色と、過去のギャップに驚かされます。
これほどの回復を実現できたのは、市民・企業・自治体が一体となって、環境改善や公害防止に尽力してきたからであり、その姿勢は現在まで大切に引き継がれています。
2016年には、「北九州市地球温暖化対策実行計画」にて、市民やNPO、事業者と共創し、温暖化対策を進めることを発表しました。
これを土台として、2020年には「2050年までに脱炭素社会の実現を目指す、ゼロカーボンシティ」を表明。官民を横断して様々な取り組みを行ってきました。
北九州市の脱炭素化の取り組みの背景には、過去の反省、そして市民とともに、よりよい未来をつくろうとする意志が感じられます。
デンソーグループのナレッジを活かし、地元の工場の全力支援
デンソー九州でお話を伺った後は、実際に省エネアドバイスを行う様子を見せてもらいました。訪れたのは、支援先企業の株式会社エコウッドさんです。
省エネアドバイスでは、デンソー九州の培ってきた省エネ改善の技術や、5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)に則った秒単位での作業工程の短縮、その管理方法などを地域企業に共有します。
省エネアドバイスの流れは、大きく以下のステップから成ります。
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デンソー九州が支援先企業の工場を訪問、気づきや改善点をまとめる
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デンソー九州の工場の見学してもらい、省エネ活動を紹介
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一度目の工場訪問での気づきをフィードバック
アドバイスをする企業は業態も業種もさまざま。使っている設備も環境も違う中、いかに支援するかを模索しつづけているそうです。
林さん「電気やエネルギー関係で何か支援できないかは常にチェックしています。たとえば工場では圧縮空気を扱う『エアー』という設備を使います。このエアーを効率良く運転できているかなどを見ていくと、改善の余地が見つかることも多いんです。
あとは、いかにモノを効率的に製造するのかという観点も大切にしています。不良品を発生させないだけでも電気やエネルギーの削減につながります。そもそも何をどのくらいの量つくるのかにまつわる改善も、これから一層力を入れていきたいです」
支援先企業からは省エネアドバイスはもちろん、デンソー九州の工場を見学できることも好評。少しずつ技術やノウハウを取り入れる動きも始まっているそうです。
取材当日も、林さんが改善点をびっしりと記した書類を持参、支援先企業と話し合っていました。省エネアドバイスの概要は把握していましたが、「ここまで徹底して向き合っているの?」と驚かされました。「改善のために必要であれば、言いづらいことも率直に伝えるよう意識している」と林さんは話します。
また、自治体がここまで熱心に地元企業の脱炭素化を支援するのは、珍しい事例なのだそう。実際、当日取材にご協力いただいた北九州市の担当の方と林さんの親しいやりとりを見ていても、日頃から共に議論を重ね、支援に取り組まれていることが伺えました。
地域と共にカーボンニュートラルの機運を高める
地元企業への省エネアドバイスの活動をきっかけに、電動車の普及による再生エネルギー活用支援の取り組みなど、活動の幅も広がっています。
デンソー九州の敷地内においてEV充電ステーションや太陽光発電システムの建設も推進中。充電ステーションは24年3月完成予定、太陽光発電は24年度中の稼働を目標として置いています。
将来的には敷地内に電動車充電ステーションを設置。地域の方々や災害時電源としても活用できる場を提供する予定です。
デンソー九州が、北九州において再生エネルギーを生み出し、利用しやすくする。その仕組みが、デンソーだけではなく地域全体のカーボンニュートラルの取り組みも加速させる。そんな未来をデンソー九州は見据えています。
地域に根ざし、自治体、企業、市民とのつながりを深め、カーボンニュートラルへの機運を広げていく。複雑な課題を解決するために、北九州市でデンソー九州がつくるのは、新しい未来をつくり出すための連帯なのかもしれません。
- デンソー九州、脱炭素に向けて北九州市と連携協定を締結いたしました
ビジョン・アイデアCOMMENT
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https://www.denso.com/jp/ja/driven-base/project/kyushu/
・2022年10月、デンソー九州と北九州市は「脱炭素社会実現に向けた包括連携協定」を締結。地元企業への省エネアドバイス活動や、再エネルギーの活用促進に取り組んできた
・具体的には、デンソー九州の培ってきた省エネ改善の技術や、5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)に則った秒単位での作業工程の短縮、その管理方法などを地域企業に共有している
・カーボンニュートラル実現のためには、地域に根ざし、自治体、企業、市民とのつながりを深めて連帯することが必要不可欠。地域全体のカーボンニュートラルを推進するために今後も活動を続けていくお問い合わせはこちらRELATED
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