サイボウズ株式会社

「いい加減」なのに信頼される人が、仕事で絶対に外さない本質

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 社会人
  • 働き方改革を考えている人
  • ビジネスパーソン
  • マネージャーやリーダー職にある人
  • チームワークを重視する組織のメンバー
Point この記事を読んで得られる知識

記事は、仕事において一見「適当」であるように見えながらも、実際には人々に信頼される個人の特徴を述べています。その個人は、納期を破らない、相手に嘘をつかない、どんな相手にもフェアでいるといった3つの重要なポイントを必ず守っています。これらが、彼が適度にリラックスしながらも周囲に良い影響を与え、人望を集める秘訣となっています。

記事を読んで得られる知識としては、このように仕事上で絶対に守るべきポイントを押さえることで、普段はリラックスした自由な働き方ができ、結果的に効率が上がり、周囲との信頼関係も深められるということが挙げられます。また、不用意に細かいルールに捕らわれず、本質を重視することで自分自身の余裕を作り、仕事の質を高めることが可能であると示しています。

さらに、適度な余裕を持つことで周りの人々から信頼を得やすくなり、情報の流入も増え、より精度の高い判断が可能になることが述べられています。そして、何よりも「ゆるい」けれど「キチっとしている」ことの重要性が強調され、これが多くの人にとって魅力的で信頼を生む要因として説明されています。

Text AI要約の元文章

ブロガーズ・コラム

「いい加減」なのに信頼される人が、仕事で絶対に外さない本質


サイボウズ式編集部より:著名ブロガーによるチームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。はせ おやさいさんのコラムです。

こんにちは、はせおやさいです。

いつも適当に見えるのに、なぜか慕われる人、人望のある人っていませんか。わたしは自分が神経質で周りを緊張させてしまうタイプだったので、それとは真逆の、常にリラックスしていて、周りに自然と人が集まってくるような人に憧れて、よく観察していた時期がありました。

そんなに多くはいないタイプではあるものの、そういう人を数人観察してみて、ふと共通点に気付きました。それは全員が「あるポイント」を必ず押さえている、ということ。

「ゆるゆる」なあの人がなぜ人気者?

あるとき、ファッションも含めてとても「ゆるゆる」なタイプのメンバーと組むことがありました。マイペースで明るく、周りを巻き込んで楽しく進めるのが上手な人でした。同時に忘れっぽく、細かい作業は苦手、一度聞いたことでもすぐ忘れてしまう、というタイプだったので、細かくて神経質なわたしとは、おたがいにない部分を補い合って相性がよく、年齢が近いこともあっていろんな話をしました。

いつも冗談を言っているような人で、彼が深刻な顔をしている瞬間の記憶は、数えるほどしかありません。困難なときほど逆に笑う、というスタンスがわたしと似ていて、課題が増えれば増えるほど面白がり、「やべー!」と笑いながら立ち向かえるチームメイトでした。とはいえ、抜けている部分も多く、わいわい文句を言いながらも楽しく仕事ができるパートナーでした。

それにしても、ポカを見逃してくれる社内ならまだしも、社外の取引先にもとても可愛がられ、何かと相談を持ちかけられている彼を見て、「こんなにテキトーなのに、なぜみんな彼に仕事を頼みたがるんだろう?」といつも不思議に思っていたのです。

テキトーだと思っていた同僚が必ず押さえていた3つのポイント

彼といっしょに働いていく中で、テキトーに見えた彼が必ず死守するよう心がけているポイントがいくつか見えてきました。

まず、「絶対に納期を破らない」こと。彼は会議のない朝に遅刻をしてくることはたまにありましたが、クライアントと約束をした納期についてだけは絶対に破らないよう、死守していました。

「寝坊しました〜」で遅刻してくる彼のことだから、「すみません、納品が1日遅れます」くらいは言いそう、という勝手な印象を持っていたのですが、それこそ半日でさえ提出が遅れるのが嫌いなのです。進行には神経を配っていて、万一、遅れそうになった場合でもどうにかならないか、他に打つ手はないのかを必死で考える姿勢に驚きました。

次に自分に不利なことでも「相手に嘘をつかない」こと。自分が提案したいサービスがあったとして、それがこのクライアントには不向きだ、と感じたら、どんなにそのサービスを売りたいと思っていても「これを導入しても、たぶん効果はあまり出ませんよ」と正直に言ってしまうのです。

極論、こっちのほうがもっと適している、と関係ない会社のサービスの情報を教えたりすらしていました。つまり、どんなときでもクライアントの立場になって物事を見て、それを正直に伝えていたのです。

最後は、「どんな相手にもフェアである」こと。こちらがお金を支払う側であっても、受け取る側であっても、どんな相手とも対等な立場と視点で向き合い、同じ目線を持っていました。

1つ前の項目の「相手に嘘をつかない」と似ていますが、予算に上限があるなら正直にそれを伝え、できる範囲の可能性を探る、というフェアなスタンスでどんな相手とも向き合う。そのため「彼ができないと言うなら、それは本当にそうなんだろう」という前提ができ、その姿勢を通じて信頼を得ているように見えました。

仕事をする上で絶対に外れないポイントさえ押さえれば、あとは自由でいい

彼と仕事をしていて気づいたのは、自分の中にたくさんの「どっちでもいいルール」があったこと

たとえば、朝、決められた時間に来ることはもちろん重要なのですが、スケジュールさえ守っていれば、少しくらい遅刻しても体調を整えるほうが重要です。また、自分の利を守ろうと誤魔化して後々の調整の手間が増えるくらいなら、最初から正直に言ってしまうほうが結果的に効率がよくなります。

目の前で彼が実践してくれている様子を通じ、「本質さえ守っていれば、あとは自由でいいんだ」という実感が得られたのです。

もちろん、環境や会社の規則に準ずる必要はあります。ですが、この実感はわたしの凝り固まった意識をほぐしてくれました。彼は最低限の規則やルールを守りつつ、それよりもこの「絶対に外してはいけないポイント」だけをどうやって守るかを真剣に考え、動いて「力の抜きどころ」を作っていたのかもしれません。

そして「適度に力が抜けている人」は、周りにもよい影響を及ぼします。人は身近にいる人の影響を受けやすいもの。彼が「これだけは守ればいい」を取捨選択できていたことで「抜きどころ」を上手に使い、リラックスした空気を作ってくれました。

そして、周りでいっしょに働くわたしたちもその影響を受けました。彼にならって、「本質だけをしっかりと見て動けばいい」と思えたことで、そのぶん、メリハリをもって働けていたのだと思います。

「ゆるゆる」に振る舞うことでチームにもたらすポジティブな効果

彼の影響を受けて、わたしもすぐにまねをすることにしました。

案件が立て込んだりトラブルが続いたとしても、「納期を破らない」「相手に嘘をつかない」「どんな相手にもフェアである」という3点だけを守ればいい、と決めて、それ以外は多少「ゆるく」、まあいいか、で進めてみたのです。

結果、判断基準の取捨選択ができ、優先順位がはっきりしたことで「全部を死守しなければ」という状態が変化し「抜くところは抜く」「締めるところは締める」空気が動き始めました

全部を守らなければ、と思わなくなったおかげで自分にも余裕ができ、精神的な余裕が良好な雰囲気づくりに効果を見せたのです。取捨選択、優先度付けの重要さを痛感した出来事でした。

そしてそれは結果的にわたし自身の気持ちの余裕につながり、余裕ができたおかげで細かいことへの目配りもできるようになりました。つまり「全部を守らなければ」と思っていたとき以上に、視野が広がったのです。これは思わぬ収穫でした。

副次的な効果としては、余裕ができたおかげで周りから声をかけてもらいやすくなり、それまで以上に情報が集まってくるようになりました。プロジェクトの進行において、情報をどれだけ持てるかは非常に重要です。

いつもカツカツで焦っていたころよりも、「雑談」という形式を取って細かい問題点の共有をしてもらえたり、懸念点を知らせてもらえるようになりました。「余裕」が生む空気が人を呼び、人が情報をもたらしてくれたのです。

このやり方は今もわたしの力になり、さまざまな人が多くの情報を持ってきてくれます。情報を多く持つというのは、より精度の高い判断をするための大きな助けになります。周りの人たちが心地よく働くために余裕を持ってみようと思ったことが自分の助けになった。

この経験を通じて「ああ、これでいいんだ」という自信がつき、それがさらに余裕をもたらすという好循環に入りました。

「納期を守る」「相手に嘘をつかない」「フェアでいる」の3つは、最初は彼のまねから始めたことでしたが、今ではわたし自身の判断基準にもなっています。

何より「普段はゆるいけど、肝心なところで信頼される人」ってカッコいいと思いませんか。「ゆるゆる」なのに「キチっとしている」、この両立を目指し、日々精進していきたいと思っている今日このごろです。

今日はそんな感じです。

チャオ!

イラスト:マツナガエイコ
2014年12月15日教え上手な人間の特徴をあばいてみた
2016年4月20日仕事の「甘え」は100%害悪なのか?

タグ一覧

  • ゆるい
  • フェア
  • 信頼
  • 納期
  • 適当な人

SNSシェア

  • シェア
  • Tweet

執筆

ライター

はせ おやさい

会社員兼ブロガー。はてな(id:hase0831)を中心に活動。仕事はWeb業界のベンチャーをうろうろしています。

この人が書いた記事をもっと読む

撮影・イラスト

イラストレーター

松永 映子

イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。

この人が撮影した記事をもっと読む

編集

ライター

あかしゆか

1992年生まれ、京都出身、東京在住。 大学時代に本屋で働いた経験から、文章に関わる仕事がしたいと編集者を目指すように。2015年サイボウズへ新卒で入社。製品プロモーション、サイボウズ式編集部での経験を経て、2020年フリーランスへ。現在は、ウェブや紙など媒体を問わず、編集者・ライターとして活動をしている。

この人が編集した記事をもっと読む

Pick Up人気の記事