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「そなえよつねに」。仕事や人生の困難から「逃げる」準備をしておくメリット

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 働くことに対して悩みやストレスを抱えている社会人
  • キャリアチェンジや転職を考えているビジネスパーソン
  • 逃げることに対してネガティブな感情を持つ人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事は、「逃げること」の重要性と準備の必要性を説いています。働く上で「逃げる」という選択肢を持つことが恥ではないとし、むしろ心の余裕や安心をもたらすものとしています。筆者自身の経験をもとに、逃げるという選択肢を常に持てるようにするための準備、例えばキャリアアップデートや他業界の情報収集などを提案します。また、「自分にとって得になる選択をする」という視点を持つことの重要性についても触れつつ、無理やり困難に立ち向かうのではなく、イージーに生きることの価値を考えるべきであると述べています。

Text AI要約の元文章
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「そなえよつねに」。仕事や人生の困難から「逃げる」準備をしておくメリット

サイボウズ式編集部より:チームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。はせおやさいさんのコラムです。

こんにちは、はせおやさいです。

「逃げるは恥だが役に立つ」、流行りましたね。原作マンガのみならずドラマが話題となり、2016年の年末は「恋ダンス」をあちこちで見かけました。さて、「逃げるは恥だが役に立つ」、このタイトルはハンガリーのことわざだそうですが、とてもよい言葉だと思います。

「逃げる」のは時として恥ずかしい、みっともないことだと非難されがちですが、本当にそうでしょうか? 自分自身の心を殺さないためにも、また、のびのびと働き、人生を充実させるためにも、「逃げる」という選択肢を持っておくのは、必ずしも悪いことではないと思うのです。生きていく上で選べる未来の選択肢が、多いに越したことはない。そしてその中でも「逃げる」というカードを持っておける、というのは、実はとても重要な選択肢のひとつではないだろうかと思うのです。

今回は「逃げること」のメリット、そしてその考え方について書いてみようと思います。

わたしが「逃げた」時の話

わたし自身、仕事から「逃げた」経験があり、そのことをさまざまなところで書かせてもらっています。そして、「逃げた」経験を共有してみて、「実はわたしもそうだった」とお話を聞かせてもらえることが増えました。

自分が経験してみて思うのは、「逃げざるを得ない状況」まで追い込まれる前に、もっとできることがあったのでは、ということ。

緊急措置として「逃げる」のは決して恥ではありませんし、自分を守るためには非常に重要な手段です。そしてその「自分には他の選択肢がある」という事実に心が救われることも、たくさんあると思います。だからこそ日々準備や対策をして、未来の選択の幅、可能性を増やしておく。そのことで、いざというときにもっと前向きな意思決定をできるのではないだろうか、とも思うのです。

「逃げる」前にできること

実際に自分が「逃げた」経験を踏まえ、「逃げることは決して悪ではない。そして、『いつでも逃げられる準備』をしておくことは、思った以上にメリットが多い」と考えるようになりました。

つまり、「逃げる」というのは「今ではない別の場所へ行く」「これではない別の選択肢をとる」ということです。切羽(せっぱ)詰まって緊急避難のように他の選択肢をとって慌てて逃げるよりも、自分の逃げ場を確保するために、日々準備しておく方がいい。そうすると、いざというとき、より多くの選択肢から、より自分の理想に近い道を選ぶことができるのではないだろうか、と思うようになりました。

わたし自身のモットーですが、仕事をして収入を得て、誰にも依存しないで経済的に自立して生きるというのは、自分の未来の選択肢を広げることだと思っています。自分で自分を養える経済力さえ担保できれば、どんな道を選んでもいい。ならば、より自分が心地よく生きられるための道を、いつどんなときでも選べるように、日頃から準備しておく方が、未来の自分のためになるだろう、と思ったのです。

そう思うようになってから、どんなに現状の環境に満足していたとしても、次のような準備を常にしておくようになりました。

自分のキャリアを把握し、周りに知っておいてもらう

たとえば、同じ業界の人との情報交換をし、市場のトレンドや、どこの会社で採用ニーズが高まっているかの流れを把握しておくこと。同じ社内の、別の部署の人との接点をなるべく多く持つ、でも構いません。「今、自分がいる場所」以外からの視点を得ることで、自分が悩んでいたり困っていたりすることを客観視できますし、解決の思わぬヒントを得られるかもしれません。そして「こういうキャリアと、こういう考えを持つ人間がここにいるぞ」と多くの人に知っておいてもらうことで、コネクションを通じ転職の声がかかった、という経験もありました。(もちろん、自分がそういう人を他へ紹介する、ということもありました)

これ以外にも、最新技術の動向をなるべく把握できるようにアンテナを張り、最低限の知識を身につけて、自分なりの意見を持っておくことや、自分の今までのキャリアの棚卸(たなおろ)しをするという意味で、定期的に職務経歴書のアップデートを行うようにしています。特に、職務経歴書は取りかかっているプロジェクトが終わるたびアップデートするようにしているのですが、これはいざ、転職! となったときに取り掛かろうとすると慌ててしまい、面接や書類提出のあとに「もっとああすればよかった……」と後悔するのを防いでくれます。

また、プロジェクトが終わるたびどんな内容だったかを振り返ることで、その仕事を通じて自分は何ができるようになったか、何を苦手だと実感したか、を明文化しておけるので、自分自身の次のキャリアを考える物差しにもなりました。

そなえよつねに

「そなえよつねに」とはボーイスカウトの標語ですが、この言葉のように、いつでも備えを忘れず、準備しておくことで、「いつでも逃げられるぞ」という心の余裕が生まれ、目先のトラブルに気持ちが焦ることが減りました。

「逃げる」というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、自分の中の価値観と照らし合わせ、合わない、と思ったらいつでも違う選択肢を選べるように準備をしておくのは、悪いことではないと思います。目先の選択肢しかない、ここしか自分の居場所はない、と思い詰めて自分を追い込んでしまうと、平常なときならできていた正しい判断を誤ってしまうこともあるでしょう。そうならないためにも「いつでも自分は逃げられるぞ」と準備をしておくことで心に余裕を持っておく。しがみつく必要がなければ自分の主張を表明するのを恐れずに済みますし、嫌だな、と思うことを、自分の心を曲げてまでやる必要がなくなるかもしれません。

「自分が得をするほう」を選んでいい

最後に、わたしが心の支えとして定期的に思い出す言葉を引用します。それは、信田さよ子さんというカウンセラーさんが書いた「ふりまわされない」という書籍の一節でした。

「私はイージーこそが一番の価値だと思っています。それ以上、すばらしい人生はありません。テレビを見て、ポテトチップを食べながらコーラを飲んで暮らすぐらい、いいものはないと思っています」
「はあ?」
「何がベネフィットなのか、どうすればイージーに生きられるかを考えましょう。こうしなければ、私たちは困難ないまの時代を生きていくことはできないんじゃないでしょうか」

「どうすればイージーに生きていけるかを考えよう」というのは、とてもハッとさせられる一言でした。本書では、「世の中には、正しいか正しくないかという基準がある」と書かれています。そして、世の中にある「正しい」という価値基準以外に、実はもうひとつの基準があり、それは「ベネフィットかコストか」だというのです。簡単に言うと、ベネフィット=得か、コスト=損か、という基準です。

自分の目の前に広がる選択肢を見たとき、この2つの基準に照らし合わせると、「正しいし、得をする」「正しいが、損をする」もしくは、「正しくないが、得をする」「正しくないし、損もする」の4種類に分類することができる。そして、その中から、「自分が得をする選択肢を選べばいい」というのです。仮に正しいチョイスであったとしても、自分が損になることはする必要がない、と。

苦難に遭遇したとき、逃げずに自分を滅して努力し、立ち向かう、というのは、今までの価値観では「正しい」ことだったかもしれません。しかし、それが必ずしも自分の得になるとは限らない。同時に、苦難に遭遇し、これは無理だ! と思った場合に逃げるのは、「正しくない」こととして認識されていたから、今までは「逃げる」ことが非難の対象になったのでしょう。

しかし、わたしたちが生き抜くために「自分の得になるのはどれか」に優先度を置き、イージーに生きていく道を選ぶのは、決して悪いことではないと思うのです。その感覚が「逃げるは恥だが役に立つ」という単語が受け入れられ、多くの共感を得たのではないだろうか、と感じたのでした。

「常に逃げられるよう」準備をしておき、「自分が得をする」選択肢を選び、いかに「イージーに生きていけるか」を考える。これだけで心の余裕が生まれ、逆説的ではありますが、どんな困難が立ちふさがったとしても、気をラクにして立ち向かえるようになるのではないか。すべては「いつでも逃げられるんだから」という気持ちの余裕を持つところから始まるのではないだろうか、そんなふうに思うのです。

今日はそんな感じです。
チャオ!


イラスト:マツナガエイコ

2014年5月15日洗脳型上司からサバイバルした方法
2016年4月20日仕事の「甘え」は100%害悪なのか?

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撮影・イラスト

イラストレーター

松永 映子

イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。

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