河崎 環
ライター/コラムニスト #ロックと共に漕ぎぬ #何者 #河崎、酒活やめたってよ
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この記事は、サイボウズがアメリカで展開する中でのチームワークと企業文化の受容について、特にサイボウズの働き方の理念やその実践がアメリカ市場でどのように浸透しているかを伝えています。元々アメリカのメディア業界やIT業界で働いていた社員が、サイボウズに惹かれた理由として、個々の働き方や考え方を大切にする企業文化に共鳴したことが挙げられています。日本的なチームワーク文化をアメリカに持ち込む際の課題や、個人主義が強いと言われるアメリカで助け合いの文化がどう浸透するかについて議論されています。また、多様性についての考え方も議論されており、個々の違いをどのように受け入れ、働くペースを個人が決めていける環境を提供することの意義が述べられています。エンジニアリングやマーケティングの現場でそれぞれの得意分野を活かし、不明点は互いにカジュアルに質問できるオープンなコミュニケーションが強調されています。記事を通して、サイボウズの企業理念がアメリカ市場でどのように受け入れられ、どのように実践されているかがわかります。
2016年4月、サイボウズ式編集部大槻がkintone Corporation(以下サイボウズ アメリカ)のオフィスを初めて訪問しました。アメリカ出身の社員2人が「なぜサイボウズという場を選択したのか」「サイボウズのチームワークに対する考え方をどうとらえているのか」について、サイボウズ アメリカの社長を務める山田理とともにお話を聞きました。
2人はどうしてサイボウズで働こうと思ったの?
以前はサンフランシスコのCBS(アメリカの三大TVネットワークの1つ)で働いていたの。仕事は好きだったけれど、ジャーナリズムの世界はITの進歩に全然ついていけてないんじゃないかと思うようになって。
ニコール・ジョーンズ(Nicole Jones)。サイボウズ アメリカ コンテンツマーケティングマネージャー。元CBSサンフランシスコ支局勤務。2015年11月サイボウズ入社。東京出張を控え現在日本語を猛勉強中。
ほう。
そこでIT業界でニュースを製作・発信できる会社を探し始めたの。そうして出会ったのがサイボウズ アメリカだったというわけ。
採用面接ですぐにこの会社がもつ社員一人一人の働き方へのこだわりを知って、これを人々に広めることが私の使命だと思った。だから私は今ここにいるの。ワークスタイルムービーも多くの人に見てもらいたいな。
僕はサイボウズに入る前Salesforceにいたんだ。システムが変わるだけで、多くの人の働き方が変わっていくのに驚きっぱなしだった。それで、転職してもビジネス向けのクラウドソフトウェアを専門にした会社に入りたかった。
その中でサイボウズを選んだ決め手はなんだったの?
理念だね。サイボウズは多くの人の働き方だけでなく考え方や風土までもを変える製品を創ってると感じたんだ。それで「よし、乗った!」と思ったよ。
トラヴィス・ヒル(Travis Hill)。サイボウズ アメリカ マーケティングマネージャー。元Salesforce勤務。2015年4月サイボウズ入社。学生時代に日本で半年間ボランティアを経験。
サイボウズ アメリカは、それぞれがバラバラの得意技を持ち寄って、お互いになんでも尋ね合える場なんだ。だれも「こんなこと聞いたら恥ずかしいかなぁ……」なんて迷ってないよね。いつも「ねぇ、教えてほしいんだけど」って感じで(笑)。
そうね(笑)。
チームワークは、メンバーの強みと弱みをマッチングして創り上げるものなんだよね。僕は話すのが得意だからできるだけ話す機会を引き受けようと思うけど、技術的な話は苦手だから、その部分は技術が得意な人に助けてもらっているし。これがサイボウズらしいチームワークなのかもしれない。
アメリカでも日本でも、弱みを隠して競い合わなければならない時が結構ある。なんでもできるふりをして。2人の以前の職場はどうだった? みんな弱みを隠していたんじゃない?
山田 理(やまだ おさむ)サイボウズ株式会社 取締役副社長 兼 サイボウズ アメリカCEO。1992年日本興業銀行入行。2000年にサイボウズへ転職し、責任者として財務、人事および法務部門を担当し、同社の人事制度・教育研修制度の構築を手がける。2014年からグローバルへの事業拡大を企図し、アメリカ事業本部を新設し、本部長に就任。同時にアメリカに赴任し、現在に至る。
そうそう、そのとおり!
今競争が厳しくなっているジャーナリズムの世界では特に、自分が攻撃されるのを恐れて弱みをさらせないの。みんな守りに入って、クビにならないよう自分が優れていることをアピールしてね。仕事はできても、性格のキツイ人が多かったなぁ……。
日本を出る前は、日本には助け合う文化、アメリカには個人主義の文化があると思ってた。
どちらもメリットデメリットはあるけれど、アメリカでは「誰にも頼らず、自分1人で生きていかなきゃ」って迫られているように感じることがあるよね。
でもアメリカ人だって常に強くいるってのは疲れるんじゃない? たまには助けあう必要もあるし、たまには弱みを見せたくなる時もあると思う。そんな感覚が一般的になる日がくるんじゃないかな。
よく見てるなぁ(笑)。そのとおりだと思うよ。
僕は日本人で、2人はアメリカ人。こんな感じで、みんな肌の色や人種、宗教とかでわけて、多様性だと言いたがる。
そう。いろいろな集団によって区別している。
でも僕たちはすでに「みんな違う」んだよね。もし日本人だけだとしても、100人いればみんな違う。もちろんアメリカでの多様性はもっと大きなギャップがあるのかもしれない。でも、それはそんなに大きな問題じゃないと思うのよ。
人が集まれば、みんな会社の目標に対するモチベーションにばらつきがあるのは当たり前。大抵の会社では、常に高くあれ、なんて言いがちだけど、サイボウズではそうでなくていい。自分の人生のペースは自分で決める。
個性あふれる日米社員であふれるオフィス。現在日本人6人アメリカ人9人。作業に合わせて席移動も可能。
これはいい考えだよね。
ありがとう。人は、結婚したり家族が増えたりといったプライベートな環境で、仕事へのモチベーションを変化させるものでしょう。だからサイボウズはどんな距離感も受け入れるんだ。
きっとそれが、多くの人が必要としていることね。
そう。アメリカの多くの企業は株価や利益ばかりを気にしすぎてる。
会社経営とか、モチベーション管理とか、もっと会社側はいいやり方ができそうだものね。雇用する側だけでなく、される側の利益にも立ち返って考えればいいんじゃないかな。
自分が会社から収入以外に何を得られるか、ということを個人も考えていかないとね。
そのとおり。
日本は働き方に関して、たしかに遅れてるかもしれない。でも、アメリカでももっと変化が必要だと思う。だからアメリカでも新しいチームワークのカルチャーを一緒に創っていきたいよね。
インタビュー後、打ち合わせのあるトラヴィスを置いてニコールおすすめのバーへ……。(後に合流しました)
文:河崎環/編集:眞木唯衣
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