サイボウズ株式会社

サイボウズなのに早く帰れないー激務の営業チームが自分たちで働き方改革をしてみた

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 企業の経営者やマネージャー
  • 営業職の方々
  • 働き方改革に興味を持つ一般ビジネスパーソン
  • 企業の人事担当者
  • 労働環境の改善を考える団体や個人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事は、サイボウズの営業チームが自発的に働き方改革に取り組んだ様子を紹介しています。サイボウズは様々な働き方を提供することで知られていますが、営業部では柔軟な働き方が困難でした。メンバーが減って激務が続く中、柔軟な働き方を求めて、チームは自主的に改善に乗り出しました。具体的には、軽いノリで楽しみながら業務を見直す「KAIZEN会議」を通じて業務改善を試み、特にメールの共有化が大きな効果を上げました。これまで個人に偏っていたメール業務をチームで共有することで、業務の属人化を防ぎ、負担の分散を実現し、結果的に業務時間の短縮が可能になりました。個々のメールアドレスを廃止し、共通のアドレスを用いた運用に挑戦することで、チーム全体での業務の可視化と効率化が図れたのです。最終的にチームは週に3日は18時に帰宅可能となり、休暇も取りやすくなり、充実したプライベート時間を確保することができました。チームは、ツール導入の重要性と現場主体の変革の必要性を学び、軽いステップでの試行が大きな変化をもたらすことが確認できました。これにより、営業職であっても働き方改革は可能であるという希望が示されました。

Text AI要約の元文章
サイボウズ

サイボウズのつくりかた

サイボウズなのに早く帰れないー激務の営業チームが自分たちで働き方改革をしてみた

経営層は働き方改革と言っているけれど、どうせ現場の働き方は変わらないー。各企業が働き方改革に取り組む中、現場からは不満や諦めの声が出ているという企業も多いのではないでしょうか。

特にお客様の要望に応えなければいけない営業であればなおさら、働き方を変えるのは難易度が高いのかもしれません。

「100人100通りの働き方」を掲げ、ホワイト企業と言われているサイボウズ株式会社の営業部でも、柔軟な働き方ができない状況が続いていました。

「なんでホワイトと言われているサイボウズで、こんなに働いているんだろう。」サイボウズで最も過酷な働き方をしていた営業チームがとった行動とは?チームリーダーの酒本さんにお話を伺いました。

4名体制が3名体制に。22時まで帰れなかったブラック時代

サイボウズで代理店営業を担当する酒本さん。チームリーダーを務める。

熱田
酒本さんのチームは、ホワイト企業と言われるサイボウズで、もっともブラックな働き方をしていたと聞いていますが…
酒本
サイボウズは9種類の働き方が選択できますが、以前は正直、「営業が柔軟な働き方をするなんて無理だろう」と思っていました。

全社の売り上げの15%を占める代理店をたった4人で担当し、予算も毎年、昨対伸長率2桁と上がっていく中で、柔軟な働き方をするなんて無理だと諦めていたんです。

夜中に電話を取るのも普通でしたし、終電まで残業をしたり、土日も普通に仕事をするのが当たり前でした。自分自身も「ワーカホリックかっこいい」「若い時は買ってでも仕事をするべきだ」という感覚があったと思います。

一方で、私は時間管理をしない裁量労働を選択して働いているので、長く働いたからといって残業代がもらえるというわけではありませんし、チーム営業なので個人のインセンティブもありません。目の前の仕事を必死でこなしつつも、「残業代が出るわけじゃないのに自分たちだけこんなに働いていておかしくない?」という思いは心の底にありました。
熱田
なるほど。チームで働き方改革の取り組みを本格的に始めることになったきっかけなどがあれば教えていただけますでしょうか。
酒本
働き方改革に本格的に取り組み始めたきっかけは、チーム編成が変わったことです。

これまで4人で営業をしていたのですが、メンバーが2人抜け、新しくママ社員の才田さんがメンバーに加わりました。

ハイパフォーマーな才田さんがチームに来てくれたのは助かりましたが、それでも人数が4人から3人に減ってしまったことには変わりないので、かなり激務になりましたね。

チームメンバー2名が抜けた後に新しく酒本さんのチームに入った才田さん。時短勤務ながらも、高い営業力が評価されている。

熱田
具体的にはどんな業務が負担だったのでしょうか?
酒本
商談以外の業務である、メール返信や資料作成などです。営業は1日中商談で外に出ているので、お客様や代理店様からのメール返信はどうしても商談から帰ってきた後になってしまいます。

働き方改革に取り組む前は、商談から帰って来た後は夜中までメール返信をして、資料作成や企画立案などの業務は週末にやらないと間に合わない状態でした。終電帰りも多くあったと思います。
熱田
終電帰り、休日に資料作成…。かなりブラックな印象を受けます。そこから働き方改革の取り組みを始めたわけですが、きっかけはなんだったのでしょうか?
酒本
もともと「なんでホワイトと言われているサイボウズで、自分たちはこんなに働いているんだろう」という悔しい気持ちがありました(笑)

きっかけになったのは、メールの時間ですね。ある日代理店の方に向けて「サイボウズが働き方改革の講演をするので来てください」と案内メールを送っていたのですが、その時間が深夜だったことに気づいて。

社外に向けて発信している情報と、自分たちの働き方が合致していないことに後ろめたさを感じました。

「社長の青野さんが講演で働き方改革について話すときに、“自分のチームもイケてる働き方ができている”と胸を張って言えるようになりたい」と強く思ったんです。

酒本さんがその日、社内SNSで呟いた内容。

チーム飲みの場で業務改善の作戦会議を実行

熱田
そこから、チームでの働き方改革がスタートしたわけですが、どのようにして働き方を変えていったのでしょうか。
酒本
社内外で「業務を自分たちで改善するにはどうしたらいいか?」と情報収集をした結果、KAIZEN会議という方法に辿り着きました。期の終わりにチームで「お疲れさま飲み会」をするついでに、どうやって業務を改善できるかを話し合うことにしたんです。

第一回チーム飲み&KAIZEN会議のスケジュール。スケジュールの登録時間は23:11。

熱田
スケジュールの登録時間が23時なところがブラック具合を示してますね(笑)お酒を飲みながらだとハードルが低くて参加しやすい気がします。KAIZEN会議は、具体的にどのような手順で進めていくのでしょうか。
酒本
まず「自分たちはどんな働き方ができたら幸せなのか?」ということをざっくばらんにチームで話し合いました。

「18時に帰りたい」「有給を消化したい」というものから、「家事の手間をなくしたい」などのプライベートな意見もありました。

次に、その理想を叶えるために何が必要なのかを見極めるために、以下の手順でチームで業務の棚卸しをしました。
酒本
例えば「売上に繋がる・繋がらない」「工数が大きい・少ない」などの軸を決めた上で、普段の業務をマッピングします。

マッピングした業務の中から、まずはチームで取り組めそうなところを話し合い、次回アクションを設定します。

例えば「メール返信が特定の人に偏りがちなのでツールを導入したほうがいいのではないか」「提案資料を1から作るのが大変だから、作った資料をお互い共有しておけばいいのでは」という具合です。

第一回では「アイロンの手間をなくすために、ワイシャツは形状記憶のシャツを買う」「振込作業はネットからできるように設定する」などプライベートな話題もありました(笑)

とにかく意見を出すことが大切なので、最初はこれくらいカオスでもいいのかなと思います。

メール共有が働き方を変えた

熱田
様々な業務改善の取り組みを行ってきたと思うのですが、1番効果があったものはなんですか?
酒本
1番はメール共有ですね。これはKAIZEN会議とは別のプロジェクトなのですが、副部長が「メール共有システムを使おう」と言い出して。

メンバーの入れ替えがあった時に過去の履歴を共有しやすくなるし、各メンバーが忙しい時期もお互いを助け合えるようにしたいとのことでした。
熱田
あまり営業の方がメールを共有するというのは聞かない気がします。酒本さんはメール共有の話を聞いた時に、どう思ったのでしょうか?
酒本
僕は大反対でした!(笑)「営業は個人のメールアドレスを使うのが当たり前」という固定概念があったので、葛藤はかなりありましたね。

また、僕たち営業は外出が多いので、メーラーは「モバイルでメールを確認しやすいものが良い」というこだわりがありました。ブラウザにアクセスしてメールを見なければいけない状態だと外出先から確認しづらいので嫌だったんです。

そんな中、メールワイズというメール共有ツールはモバイルアプリが出るとのことだったので、じゃあ使ってみようかという話になりました。
熱田
なるほど。そこからどのようにして進めていったのでしょうか?
酒本
メール共有システムを導入するにあたり、個人のメールアドレスを廃止しました。チームの代表アドレスでお客様や代理店様に返信をすることにしたんです。

「営業が個人アドレスを廃止して大丈夫なのか」という懸念はありましたが、お客様や代理店様には「今日からこの代表アドレスから返信します」ということを伝えて、思い切って運用を開始しました。
熱田
代理店の方から苦情などはありましたか?
酒本
やる前はかなり不安だったのですが、いざ運用してみたら全く問題ありませんでした。これは僕にとってかなり意外で、「アイデアを実行する前から心配するより、まずは実際に試してみることが大事」いう学びになりました。
熱田
なるほど。メール共有をしてみて、よくなった点はありますか?
酒本
それまでは個人アドレスでメールを返信していたので、案件やお客様の情報が営業個人のメールボックスの中に閉じ込められていました。

そのため、他のメンバーが子供の熱で商談にいけない時などに、それまでのやりとりをいちいち転送しなければいけなかったんです。

また、メールの受信量もメンバーによって偏りがあったので、代理店様からの問い合わせが多いメンバーほど残業せざるを得ない状況でした。

チームでメール共有をしてからは、誰かが忙しくても他のメンバーが代わりに対応できるようになったので、負荷が分散できるようになりましたし、常に案件やお客様の情報を共有しているので、より助け合いの風土が強くなったと思います。
熱田
メール共有以外に、業務を改善した点はありますか?
酒本
メール共有だけでなく、資料も共有することにしました。それまでは個人でそれぞれ提案資料やセミナー資料などを作っていたのですが、同じような案件やセミナーで使う資料を個人が1から作るのは効率が悪いと感じたんです。
そこで、クラウド型データベースのkintoneを利用し、チームで資料を共有するようにしました。

チームで資料共有をするようにしてからは、自分が資料を作る際、過去に同じような資料がないか検索してから作るようになり、効率的に業務が進められるようになったと思います。

また、コメントもできるのでチームでアドバイスをし合いながら資料をブラッシュアップできるようになりました。

属人化がなくなり、1ヶ月の有給が取れるように

熱田
メール共有や資料共有によって、働き方は変わりましたか?
酒本
かなり変わりましたね。メールや資料を共有したことで属人化がなくなったので、今は少なくとも週3で18時に帰れますし、他の日も20時には帰れるようになりました。終電帰りや土日に業務をしていた頃に比べれば、大きな進歩です。

残業削減以外にも様々な効果が出ています。深澤というメンバーは早く帰れるようになった時間を使って副業を始めましたし、私も英語を勉強する時間が取れるようになりました。

最近はリーダーの私がフィリピン留学で1ヶ月の長期休みをいただいていたのですが、私がいなくても業務が回るようになっています(笑)

気持ちだけでは業務改善はできない

熱田
それは大きな変化ですね!今回業務改善をしてみて、感じたことや学んだことはありますか?
酒本
メール共有システムの導入で改めて感じたことは、ツールはかなり大事だということです。大げさにいうとツールで風土を変えられると思いました。

僕らのチームは激務でしたが、助け合いの文化はかなりあったと自負してます。

それでも、個人のパソコンに情報が閉じ込められている状況だと、「メールを代わりに返信して欲しい」「資料を共有してほしい」とちょっとチームメンバーにお願いをするのも、転送をしたり資料をアップロードする手間が発生するので、気を遣う人ほどためらってしまいます。

常にチームで情報を共有し、コメント欄で気軽にコミュニケーションを取れる環境を整えたことで、助け合いの風土がさらに醸成されました。

助け合いの気持ちや風土だけでは変えられないこともある。まさに風土がツールに負けた、という感じです。
熱田
なるほど。営業はどうしても顧客に合わせなければいけないので、働き方改革は難しいと思われるところがあると思います。そんな中で、営業が働き方改革をするのに大切なことはなんだと思いますか?
酒本
営業のコミュニケーションのほとんどが電話とメールなので、僕たちがやったように、メール返信のやり方を変えることは業務時間の削減に直結すると思います。

また「まずはやってみる」というフットワークの軽さでしょうか。僕達も業務改善のやり方わからない素人でしたが、まずは出てきた改善アイデアをどんどん試してみてチャレンジすることでなんとかブラックな状況から脱することができました。

とりあえず行動してみることで状況は変わるということを伝えたいです。
熱田
酒本さんのチームは、働き方改革を会社に頼るのではなく「自分たちで改善しよう!」という意識が強い印象を受けます。現場が自分たちで働き方を変えるのは無理だ…と思っている方々に対して、何か一言お願いします。
酒本
会社が働き方を変えてくれるのを待っていたらいつ実現できるかわからないので、とにかく自分たちで変えていこうという姿勢が大事だと思います。

今だと働き方改革の雰囲気があるので、「業務改善のプロジェクトをしたい」と言えば上長の承認もとりやすいんじゃないですかね。

KAIZEN会議はお酒を飲みながらでもできるので、一度チームで「自分達はどんな働き方をしたいのか」「どうしたら理想の働き方を実現できるか」を建設的に話し合ってみてはいかがでしょうか。
熱田
チームでの話し合いなら、今日から始められそうですね。お時間をいただき、ありがとうございました!
酒本
ちょっと待ってください。
熱田
もう取材は終わりなのですが…
酒本
営業として、ここはPRさせてください!!

今回僕たちが使ったのは、メールワイズとkintoneというツールです。僕たちのように、まずはツールを使って業務改善を始めてみませんか?非効率な業務に困っている方がいれば、ぜひメールワイズとkintoneを試してみてください!
営業部の働き方が変わるメールワイズの詳細はこちら
営業部の採用情報はこちら

執筆:熱田優香 / 撮影:山本悠子

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執筆

編集部

熱田 優香

1993年生まれ。サイボウズ製品の価値をおもしろいコンテンツとともに伝えるプロモーションに挑戦中。

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撮影・イラスト

写真家

山本悠子

サイボウズの写真係。事例記事や社員インタビューを撮影してます。

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