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この記事では、サイボウズの若手社員が「複業」に取り組む理由について具体例を交えて紹介しています。複業とは、本業として複数の仕事を持つことを意味し、副業とは異なる概念です。記事には、自己実現を目指して複業を行っている例が紹介されており、特定のスポーツの動画配信やコーチングを行うYouTuberや、リゾートバイト、カレー店の経営など、社員ごとの動機や複業の内容が詳述されています。
また、複業を始めることによって働き方の生産性が向上し、精神的なリフレッシュができる様子も伝えられています。さらに、企業の風土が複業を可能にしているかどうかについても触れられています。最終的には、記事は「やりたいことができるかどうか」が重要であるとの結論に達し、複業の意義を再評価する内容になっています。複業をすることで個人の可能性を広げることができ、未来の社会においても、複業が一般的になる可能性が示唆されています。
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サイボウズ
複業を禁止されていたら、会社を辞めていたと思う──サイボウズの若手社員たちが複業する理由
「ふくぎょう」という言葉を耳にしたとき、みなさんの頭に思い浮かぶのはどんな漢字でしょうか?「副業」と「複業」。似ているようで大きく異なるこの2つのうち、後者の「複業」が今回のテーマです。
本業のかたわら、サブ的に別の仕事をする「副業」と違って、「複業」とは「本業としての仕事を複数持つ」こと。
そんな風に仕事をしながら自己実現をしているサイボウズの若手社員4名に、それぞれ「複業」のリアルを語ってもらいました。
「頼まれてはじめた」のか、「自発的に行動を起こしてはじめた」のか?
熱田 優香さっそくですが、みなさんが複業をはじめたきっかけって、なんだったんですか?安藤 耕史スポーツ系YouTuberの、DAISUKEさんのきっかけがまず気になります(笑)。DAISUKE幼い頃から大学を卒業するまで、ずっと真剣にあるスポーツを続けていたので、社会人になってからも「コーチとして教えてください」と言われることが多かったんですよね。
その様子を見ていた上司が、「俺がプロデュースするから、YouTuberにならない?」って(笑)。DAISUKE(本名非公開)。2015年新卒入社。ソリューション営業部で公共事業案件を主に担当。全国をかけまわる営業マン。複業ではスポーツ系YouTuberとして動画配信をしたり、コーチングを行っている。具体的な種目やチャンネル名は公言したくないらしい
深澤 修一郎直属の上司が複業でも仕事のパートナーって、かなりめずらしいパターンですよね。DAISUKEそうなんです。なので、自発的に複業をはじめたというよりは、周りからの要望がきっかけでした。
熱田さんとは多分、真逆ですよね。熱田 優香そうかもしれません。私は社会人1年目から、みずから行動して複業をしているので。
そもそもそれ自体が稀(まれ)だとは思うんですが……(笑)。熱田 優香(あつた・ゆか)。2016年新卒入社。パートナー営業(代理店営業)で営業を1年間経験したのち、ビジネスマーケティング本部へ異動。現在はワークスタイルプロモーションを担当している。「誰もが自分らしく自由に生きられる世の中をつくる」というビジョンのもと、チーム育児を支援するWebメディアで編集やライティングを行っている。
安藤 耕史本当にすごいですよね。その原動力ってどこからきてるんですか?熱田 優香そもそもの原体験は、大学生の時の人間関係なんですよ。DAISUKEなにそれ、気になります。熱田 優香大学生の頃、仲が良かった男の子に「俺よりもお給料高くなっちゃいそうで辛い」という理由で距離を置かれてしまったことがあったんです。
彼の中には、「男性は女性よりも稼がないといけない」というプレッシャーがあったみたいで。私は全然気にしないのに、もどかしく思いました。
そのときに、世の中には男女関わらず「こうあるべき」という呪いに苦しんでいる人たちがいることに気づいたんです。安藤 耕史うん、うん。熱田 優香その経験から、「誰もが自分らしい選択や生き方をできる社会をつくりたい」と思うようになり、企業の働き方に対して問題提起をしているサイボウズで働くことに決めました。
でも、企業の働き方以外にも、社会課題はたくさんあります。自分が理想とする社会を実現するためには1社で働くだけでは足りないことに気づき、複業では育児課題に取り組むWebメディアで、編集やライティングをしています。「あいつは複業をしている」というイメージが、本格的な複業のきっかけになった
安藤 耕史深澤さんは?深澤 修一郎僕はけっこう現実的な理由からでした。結婚するので結婚式の資金を貯めようと思ったんですが、節約したくなかったから、増やしたいなと思った。
そこでゴールデンウィークにちょうど地元に帰るので、リゾートバイトでもしてみようかなと思ったのが最初でした。深澤 修一郎(ふかさわ・しゅういちろう)。2012年新卒入社。パートナー営業(代理店営業)部で、現在サイボウズで一番大きな代理店を担当。その傍ら、複業でサイボウズとお付き合いのあるパートナー企業にも勤務し、週1回常駐している
安藤 耕史社会人でリゾートバイトしてる人って、そのとき他にいたんですか?深澤 修一郎いないいない(笑)。でも、結構楽しかったですよ。
それからは、運動不足を解消するためにUberEATS(ウーバーイーツ)で配達員をやったり……。DAISUKEめちゃめちゃ合理的ですね(笑)。深澤 修一郎そんな風に過ごしていたら、サイボウズの製品カスタマイズなどの開発をしてくれているパートナー企業さんが、「ウチにもおいでよ」って声をかけてくれて。
今はそのパートナー企業さんにも常駐するという形で複業をしています。
話をいただいたときに直感的に「チャレンジしたい!」と思って、チームメンバーにも相談したり、自分自身のキャリアについて考えた上でやってみると判断をしました。DAISUKEなるほど。
安藤さんは、ご自身でお店を経営されていますよね。安藤 耕史はい。今は、奥さんと高円寺でカレーとビールを楽しむお店をやっています。
もともとスリランカで出逢ったカレーの美味しさに感動して、学生時代からライフワーク的に間借りでカレー屋さん開いていたんだけど、縁があってちゃんとしたお店をオープンすることになりました。
もはや、自分のお店の方がサイボウズの仕事よりも優先度が高くなってきていますね。安藤 耕史(あんどう・こうじ)。2014年新卒入社。ソリューション営業部を経たのち、ビジネスマーケティング本部へ異動。現在は自社製品(kintone)の販売戦略に関わる傍ら、奥さんと一緒に高円寺でカレーとビールのお店を営んでいる
熱田 優香ひとくくりに「複業」とはいえ、きっかけや理由はそれぞれですね。複業は「単なるオフの日」と似た感覚。複業することで息抜きになっている
深澤 修一郎僕は複業をはじめてからのほうが、タスクや時間を調整することをすごく意識するようになったんだけど、みなさんはどうですか?DAISUKEたしかに、効率化して短時間で作業を終わらせようという意識が強くなったので、仕事の生産性は上がりましたね。
精神的にも、複業をはじめてからのほうがラクになりました。複業することで息抜きになっているというか。安藤 耕史それって、単なるオフの日と似た感覚ですよね。
たとえば、休みの日に遠くまで自転車で行って、ビール飲んで、みたいなことを僕はけっこうやっちゃうんですが。体力的には疲れていても、しっかりリフレッシュになっています。DAISUKEそうなんです。複業も仕事と考えるなら、プライベートの時間はあまりないんですけど。
会社員としての自分と、YouTuberとしての自分は別なので、仕事のオフがYouTube、YouTubeのオフが仕事、みたいな感じになっています。熱田 優香私は、社会人として未熟な部分も多い1年目から複業をしているから、スキルが「1」のままアウトプットしている状態に不安を感じることもあります。
休日の時間を上手く使わないと、インプットの時間がなくなっちゃうんじゃないかって……。深澤 修一郎めっちゃ忙しいと思うんですけど、熱田さんはどんな時間の使いかたをしているんですか?熱田 優香基本的に、サイボウズで働いている平日のお昼休みに複業関連のメールを一気に返し、土日のどちらかは複業の作業、どちらかはオフとメリハリをつけています。
複業しているとはいえ、プライベートの時間も大事ですしね。複業をしようと思ったときに禁止されていたら、会社を辞めていた
DAISUKE今の働き方って、わりと自由に働けるサイボウズだから実現できているんですかね?深澤 修一郎それはあるかもしれないです。
複業先が本業でもおつきあいのある企業だから、サイボウズで働いていることとの相乗効果もあるんじゃないでしょうか。熱田 優香私は、サイボウズじゃない会社でも、複業OKだったら同じようにしていると思います。DAISUKE仮に、社内規定で複業が禁止されていたら?熱田 優香私は「自分の仕事が理想の社会を創ることに繋がっているか」を重要視しているので、それが社内ですでに達成できているのであれば、複業が禁止されていても問題ないです。
もしそうじゃなかったら、その会社にはそもそも入社しないかも。安藤 耕史僕は、複業をしようと思ったときに禁止されていたら、会社を辞めてたと思います。
実は店をはじめるときは会社を辞めるつもりだったんですが、サイボウズは仕事にコミットする量を柔軟に決められるので。それなら、どっちも本業としてやればいいやって思ったんですよね。DAISUKE僕は、複業している人が周囲にいる環境じゃなかったら、そもそも「複業しよう」という発想にならなかったと思います。
入社したときには複業のことはなんにも考えてなかったので……。会社の風土は大きいなって思いますね。結局は、自分のやりたいことが実現できているかどうか
安藤 耕史大事なのって結局は、さっき熱田さんが言ったみたいに、「複業ができるかどうか」じゃなくて、「自分のやりたいことができるか」じゃないでしょうか?深澤 修一郎そのとおりだと思います。複業って、無理にすることではないですよね。
結局僕たちは、自分のやりたいことを実現するための一つの選択肢として「複業」を選んでいるだけなんだと思います。熱田 優香そうですね。というかそもそも、「複業」の字を使うときって、お金を稼ぐためが第一の目的ではないと思うんです。
会社員としての自分とは別に、やりたいことを実現するための方法ですよね。DAISUKE確かに「副業」だと本業の他の収入源というニュアンスがあるけど、「複業」の場合は自分の可能性を広げるっていう“マルチ”の意味合いが強い気がします。
これからは、こっちの複業をする人口が増えそうですね。2017年10月25日「たとえ報酬がゼロでも、複業をやっていた」──西尾泰和がサイボウズ・ラボを辞めずに、機械学習の技術顧問を始めた理由 2017年11月30日大きな夢じゃなくていい、スケールしなくていい。会社員は小さくてもいいから「やりたいこと」を実験していこう——スマイルズ遠山社長×青野慶久 タグ一覧
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執筆
撮影・イラスト
写真家橋本 直己
フリーランスのカメラマン・エディトリアルデザイナー。趣味は尺八。そして毎日スプラトゥーン2をやっています。
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編集
ライターあかしゆか
1992年生まれ、京都出身、東京在住。 大学時代に本屋で働いた経験から、文章に関わる仕事がしたいと編集者を目指すように。2015年サイボウズへ新卒で入社。製品プロモーション、サイボウズ式編集部での経験を経て、2020年フリーランスへ。現在は、ウェブや紙など媒体を問わず、編集者・ライターとして活動をしている。
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