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テレビの音をワイヤレスイヤホンで聴く──コデラ総研 家庭部(105)

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 家庭内でのオーディオ環境に興味がある人
  • テレビの視聴方法に工夫を加えたいと考えている人
  • Bluetoothイヤホンを使用している人
  • テレビの音声を個別に聞きたいと考えている人
  • 技術的なガジェットに興味がある人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事は、家庭内でテレビの音声をBluetoothイヤホンを使って聞く方法について説明しています。Bluetoothイヤホンは音楽を聴くツールとして普及していますが、テレビの音声を個別に聞くためには少々工夫が必要です。現代のテレビにはBluetooth機能が標準で備わっていないことが多く、対応している機種も少ないため、Bluetoothトランスミッタを使用することが提案されています。しかし、この場合には映像と音声との間で遅延が生じる可能性があります。特に、apt-X Low Latency対応トランスミッタであれば遅延を最小限に抑えることが可能ですが、イヤホン側も対応製品である必要があります。さらには、FMトランスミッタを用いることで、音声をアナログ信号として送信し、携帯用ラジオで受信するという遅延が少ない方法も紹介されています。これらの方法を用いることで、家の中で個別にテレビ音声を楽しむことができるようになるという視点が述べられています。

Text AI要約の元文章

tech

テレビの音をワイヤレスイヤホンで聴く──コデラ総研 家庭部(105)

テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第105回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「テレビの音をワイヤレスイヤホンで聴く」。

文:小寺 信良
カバー写真:風穴 江(tech@サイボウズ式)

iPhoneからイヤホンジャックがなくなってから、Bluetoothイヤホンは急速に知名度を上げた。電車内でも、白いイヤホンの紐をプラプラさせている人を見かけることも少なくなったように思う。

音楽を聴く際には定着したBluetoothイヤホンだが、テレビの音声に関しては、ほとんどニーズがないようだ。テレビとは、普通スピーカーで音をまき散らすのが当然、という考えが根底にあるからだろう。

だが現代の家庭内において、家族全員がソファに座って同じ番組を見るなどということが、どれぐらいの頻度であり得るのかなと思う。特に子供が成長すれば、親とは番組の好みが分かれてくるのは当然だ。

これまでそうした解決法として、「タイムシフト」が用いられてきた。録画しておいて、後で時間をずらして見る、という方法である。

だがこの方法の弱点は、他の人がテレビを見ているときに、その場で他のことがやりにくいということである。例えば誰かがテレビを見ているリビングで宿題をする、本を読むといったことができるか。テレビからまき散らかされる音声によって、集中できないだろう。つまり、その場にいる人の時間を強制的に奪ってしまうことになる。

筆者はテレビ番組をおよそ20年にわたって作り続けてきたが、テレビの音声や映像は、人の注意を引くことに最適化されている。これに抗うことは、長年テレビ放送に関わってきた筆者にすら、難しいのだ。

前置きが長くなったが、つまりテレビの音声をイヤホンで聴くようにすれば、その場にいる人の時間を奪うことがなくなる。テレビにはイヤホン端子が付いているが、今どきの大画面だ。イヤホンのケーブルが届く範囲だと近すぎる。加えて家庭内での自由度が大幅に制限されることになる。

そんなことから、普及しているBluetoothイヤホンを使ってみることにした。

意外に対応していないテレビ

今どきのテレビならBluetoothぐらい搭載されてるだろうと安易に考えていたが、これが意外にテレビにはBluetoothが搭載されていなかった。調べた限りでは、パナソニックのVieraが音声認識用のBluetoothリモコンを接続するために搭載している程度だ。ただしリモコンの他にはマウスやキーボード、ファイル転送はできるものの、Bluetoothスピーカーやイヤホンの接続には対応していなかった。

何か方法はないかと考えてみたところ、以前ワイヤードのヘッドホンをBluetoothで使うための「JPT1」というレシーバーを購入していたことを思い出した。これは切り換えによってトランスミッタ、つまりアナログ音声入力を受けて、Bluetoothで飛ばすという機能を持っている(写真1)。

写真1:Bluetoothトランスミッタを使って、テレビ音声をワイヤレス化

トランスミッタとして対応するコーデックは、SBCとapt Xである。SBCはBluetooth音声装置なら必ず対応しなければならないが、古い技術なので遅延が大きい。音楽だけなら遅延があっても問題ないが、テレビ視聴では、映像と音声がシンクロするかどうかは大きな問題だ。Bluetoothイヤホン側は、apt X対応のものを選びたいところである。

実際にこの方法で視聴してみたが、よく見れば1フレームぐらい遅延しているのに気づく。それぐらいなら、特に違和感なく視聴できるだろう。

なお最新のトランスミッタは、さらに遅延の少ないapt-X Low Latency対応のものがある。これを使うにはイヤホン側もapt-X Low Latencyに対応していなければならないのだが、あいにくヘッドホンでは対応モデルがあるものの、イヤホン、特に今流行の左右分離型のものに関しては、まだ対応製品がないようだ。いずれは対応製品が出てくるだろうが、今はapt-Xで我慢するしかない。

遅延を嫌うのであれば、もうひとつ方法がある。外部入力のないカーステレオにスマホの音楽を流す機器として、FMトランスミッタという製品がある。アナログ音声入力をFM波に変換し、カーラジオで受信するという仕組みだ。

FMトランスミッタは、シガーソケットから電源を取るものがほとんどだが、最近はUSBからも電源が取れるものもある。こうした製品をテレビ側に接続し、携帯用ラジオとイヤホンで聴く、という手段もある。あるいは一部のスマートフォンでは、FMチューナーを搭載しているものもあるので、お手元の機器を調べてみるといいだろう。この方法ならアナログ信号を扱うので、遅延はほとんどないはずだ。

テレビも、聞き取りやすいようにひたすら大音量化するより、サクッとBluetoothイヤホン対応したほうが未来的だと思うのだが、どうだろうか。(了)


本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)


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