もうすぐ今年も終わり。サイボウズ式で2018年に公開された記事は80本(2018年12月12日時点)。編集部員に印象に残っている記事やできごとを聞いて、振り返り座談会をしました。今年の編集部の新しい挑戦や来年にむけた話も。サイボウズ式では今年1年、どんな動きがあったのでしょうか――。
働く時間を減らすのは、みんなにとっての改革なのか
今年前半に力を入れたのは、「働き方改革」特集です。世の中の働き方改革ブームに対して、サイボウズがどう思っているかを取り上げてましたね。
そもそも働く時間を減らすのは、みんなにとっての改革なのかとか、自分たちが当事者になってできる改革は何だろうとか、「働き方の再定義」を問題提起することを意識していました
小泉進次郎さんと青野さんの対談記事ですね。この対談で印象的だったのは、小泉進次郎さんが「働き方改革って都内の人たちのトピックだよね」とおっしゃっていたこと。地方には浸透してないんですよ。自分たちなりの働き方改革を、いろんな立場で考えていく必要があると思いました。
2018年2月 8日国家の目的は「便利な国をつくること」ではありません──小泉進次郎×サイボウズ青野、働き方改革と正しい社会のあり方
2018年2月15日働き方改革が進まないのは、「どうせうちの会社は変わらないでしょ」っていうあきらめ感のせい──小泉進次郎×サイボウズ青野慶久
サイボウズの企業文化は「公明正大」
サイボウズ社内の話題も取り上げましたね。私にとって印象的だったのは、サイボウズに新卒で入社して10年目になるエンジニア、天野祐介さんの記事です。
2018年5月31日「私の年収、低すぎ?」で終わらせない──給与交渉を隠さず公開、14%給与が上がったエンジニアの話
天野さんの給与交渉に関してはずっと記事化したいねと編集部で話していたので、実現できてよかったです。サイボウズの「公明正大」の企業文化を伝えられる記事になったかなと思います。
左からサイボウズ式編集長 藤村、サイボウズ式編集部員 明石、サイボウズ式インターン生 津川
もうひとつは4月から、サイボウズが新たに始めた人事制度「働き方宣言制度」の運用について、執行役員の中根弓佳さんが語った記事です。
2018年6月20日自由すぎる……! サイボウズが最近はじめた新しい「働き方制度」について聞いてみた
この記事は、「ワークスタイル百科」の下記の記事と一緒に、たくさんの方に読んでいただくことができました。
2018年7月1日初公開!サイボウズの自由すぎる働き方はこんなやり方で管理されていた
コラム執筆で言葉を生み出すのがしんどかった時期もあった
今年は森さんも編集部にジョインして、ティール組織(※)について取り扱った記事を3本作ってもらって。森さん、編集部はどうですか?
※従来の組織とは大きく異なる組織構造や慣例、文化を持ち、組織や人材に革新的変化を起こすことができる「次世代型組織モデル」として、世界中から期待が寄せられる組織モデル。既存の組織構造や慣例、文化の多くを撤廃し、意思決定についての権限や責任のほぼ全てを経営者や管理者から個々の従業員に譲渡するのが特徴。
入る前は「編集部は自由」って聞いてました。前の部署ではお客様相手で、対面の打ち合わせがあり、時間と場所にある程度制限がありました。いまはWebで対応できる仕事が増えたので、自由度や柔軟性が増しましたね。
ティール組織を取り上げた記事はとても読み応えがあるものになりましたね。
2018年10月10日ティール組織って何? 誤解されがちなポイントは?──第一人者 嘉村賢州さんに聞いてみた
2018年10月31日ティール組織が正しいわけではない。ありたい姿でいられて、仕事をいいわけにしない組織は強い ──嘉村賢州×青野慶久
2018年11月 8日ひどかったサイボウズがティール組織っぽく変われたのは、経営者の「深い内省」があったから──嘉村賢州×青野慶久
いや〜、時間もかかりましたし、気力も体力も使いました。自分がそのテーマを深く理解し、強いコミット感とか情熱を持ってないと、熱量の高い記事は作れないんだなと実感しましたね。
ティール組織の記事、良かったですよ。ティール組織は来年の主要テーマのひとつだと僕は思っています。
去年は「複業元年」でしたからね。僕自身、サイボウズで複業を始めたときから、新潟を拠点としながら東京で働くのはすごく良いなと感じていました。
もう10記事以上ありますね。そのなかで竹内さんが今年一番思い入れのある記事はどれですか?
これです! 地方に貢献したいけどどうすれば……とモヤモヤしている人を救った記事になったんじゃないか、と思います。
2018年6月 7日地方移住はハードルが高い。都心で働く人には「地方複業」がベストではないか
サイボウズ式編集部員 竹内は新潟からテレビ会議参加中
記事のコンセプトやターゲットを明確化するのは大事だけど、一方でコラム的な記事は、思ったり感じたりしたことをもっとストレートに出したほうがいいんじゃないかと悩むこともありました。言葉を生み出すのがしんどかった時期もありましたね。
でも、嬉しいこともありましたよ。単に記事を書くだけではなく、地元・新潟にいいものを広めよう、という思いで活動していたら、サイボウズに興味を持ってくれる人たちとつながれたので。
小原さんは今年担当したなかで、特に印象に残った記事はどれですか?
記憶があまりないんですけど(笑)。ああ、田端信太郎さんと青野さんの公開対談イベントのレポートですね。
2018年8月 7日「年収100万円の差」なんて意味がない。自分の名刺代わりになる仕事の方が大事――スタートトゥデイ 田端信太郎×サイボウズ 青野慶久
2018年8月14日「30代半ばからは、家庭より仕事にのめり込んだほうが、ぶっちゃけ楽なんですよ」──田端信太郎×青野慶久
2018年8月28日日本人は、会社にいる「時間」にこだわりすぎ。「時間=責任」は学校文化の呪縛──田端信太郎×青野慶久
2018年9月 5日「人生の目的を見つけて邁進している」なんてウソ、「仕事の意味」ばかり考えてもしょうがない──田端信太郎×青野慶久
青野さんの書籍『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』と田端さんの書籍『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』の主張が似ているので、お二人が対談したら会社で悩んでいる方のヒントになるのでは? と思いました。
公開対談でイベントにしたら、リアルタイムでもTwitterで盛り上るんじゃないかなって考えて。実際に、何人かの方がかなり詳細につぶやいてくださったので、イベント後にTogetterにまとめたところ、たくさんの方に読んでいただけました。
左からサイボウズ式インターン生 佐藤、サイボウズ式インターン生 柳下、サイボウズ式編集部員 小原
Jabberでは、発言してない残り9人の声や意見を拾い上げたかった
今年は編集会議にも変化がありましたね。チャットツール「Jabber」を使って、口頭で会議をしながら、チャットでも発言するようになりました。皆さんの間で変わったことは?
「Jabber(ジャバー)」 とは、複数人でチャットのできるアプリケーション。会議中にJabberを同時並行で使うことで、口頭ではなく、オンライン上で参加者がコメントをすることができる。
最初はみんな、Jabberに半信半疑だったと思います。初日はほとんどつぶやきがなくて、藤村さんが率先して使ううちに、みんな使い始めて。
竹内さんも「Jabberいい」って言ってましたよね。
僕は普段新潟にいるので、リモートから会議に参加していますが、テレビ会議で発言するのは、タイミングが難しいんです。それはまるで、何人かで跳んでいる長縄跳びに、途中から入っていくような感覚なんです。
Jabberを使い始めてから、言葉にしなくても、文字で言いたいことがつぶやけるので、意見を言いやすくなりました。ほかのチームにも広めたらいいと思いますよ。
このJabberの仕組みって、藤村さんはそもそもどうして導入したんでしたっけ?
会議では発言力の強い人が話がちです。極端な話、10人メンバーがいて、話すのがひとりみたいな。残り9人の声や意見を拾い上げたかったんです。
話すのが得意な人とそうでない人がいるから、Jabberで会議しましょうと言うと、賛同されることが多いですよ。
もうひとつは、僕がファシリテーターをしなくてもいいこと(笑)。チャットツールを使うと、意見のログが残るので、企画者が本当に聞きたい、深めたい意見を自然な形で取り上げやすい。つまり、ファシリテーターになれるんですよね。起案者がJabberに挙がってきた意見を見て、自分が求めていたアイデアを出した人に、詳しい話を聞ける、というのもいいですよね。
サイボウズは毒されている?
インターン生の話も聞きたいですね。まずは佐藤さんから、今年1年で一番印象に残っていることを。
私は内定者なので、サイボウズのことは理解しているつもりでしたが、津川さんが社内のことについて疑問に思ったことを「サイボウズここがおかしい」企画として立てていて、はっとしました。
「内定者なんだから、でしゃばらずにおとなしくしていなくては」と思っていましたが、ふとした疑問や思ったことを伝えても受け入れてくれるんだとわかりました。
これは印象に残っています。一緒に考えているのに、なかなか成立させることができなくて、どんどん企画倒れしていったんですけどね。
サイボウズに入った人はほとんど全員「サイボウズはいい」と言うのに、「おかしい」と思える津川さんがおもしろかった。
近くにいるのにオンラインでの会話が多いことに、入社してすぐ、「この人たち毒されてる!」って思いました(笑)。サイボウズのスタイルに染まってない人がきたら、自分と同じようなことを感じると思います。
結局それが漫画コンテンツ「働きやすい会社のヘンなところ」につながりましたよね。
2018年8月29日「転職先、会話が少なくて寂しい……」と思いきや、オンラインがにぎやかだった
2018年10月24日「長時間労働と定時退社の社員が仲良く仕事」なんて、あり得ないと思ってた
テーマ的にキャッチーな方がおもしろいなと思って、文章ではなく漫画の企画にしました。
明石さんがうまく自分の感じていたことを漫画に描いてくれて、ネガティブな感じではない、ポジティブなコンテンツになったのが嬉しかったです。
私はもうひとつ、自分が立てた「他人との付き合い方」の企画も印象に残っています。内定者・インターンということもあり、サイボウズの業務をしないといけないかなと思っていましたが、企画を通して私個人の悩みと向き合う時間ができたり、新しく出会った方もいました。
社外のもうひとつの編集部「第2編集部」
鈴木さんにも聞きたいです。今年一番楽しかったことは何ですか?
サイボウズ式のコミュニティ「サイボウズ式 第2編集部」です。普段出会わない社会人の人とフラットにコミュニケーションできる貴重な機会だから、すごく刺激的なんですよね。
「サイボウズ式 第2編集部」を始めます|サイボウズ式 第2編集部|note
第2編集部ってそもそも、どんな経緯で立ち上がったんですか?
2017年から読者との関係を深める目的でミートアップを始めたんです。それを機に、社会のチームワーク向上を目指す会社として、読者とチームとして活動したい、という思いで、第2編集部を立ち上げたんですよ。
業界も職種もバラバラな人が参加してくださったおかげで、想定していたものよりもずっとおもしろいコミュニティになったと思います。外資系証券会社やアパレル業界のメンバーもいて、多様な意見をもらえるので、企画の発想や幅が広がりますよね。
ちなみに第2編集部、っていうネーミングにしようと言ってくれたのは明石さんだったかな。
藤村さんと雑談していて、読者チームというよりは、一緒に企画やイベントを実現する「社外のもうひとつの編集部」だよね、って話に落ち着いたんです。で、第2編集部になりました。
編集部に入ってまだ1ヶ月(!)のアレックスさんにも、感想を聞きたいです。
編集部についてあまり知らない状態で入ってきたので、社内イベントで忙しくしていたみんなから、「これ読んでおいて」と送られてくるリンク先の情報などを読んで、理解を深めようとしています。
今後、サイボウズ式の記事の英語翻訳を担当してくださるんですよね。
はい。いろいろアイデアがあります。翻訳して記事化しても、海外で響かないものもあるので、翻訳に限らず、英語のコンテンツも作りたいです。サイボウズのUSチームに会う機会もあるので、アメリカでの人気記事の傾向や流行を聞いて、記事作りに生かしたいです。
12月に編集部にはいった鈴木統子さんは、これからどういう思いで活動していきたいと思っていますか?意気込みを教えてください。
はい、まだ本当に入ったばかりで右も左もわからない状態なのですが……。
まずは、サイボウズ式に対する理解を深め、サイボウズ式ならではの編集術を会得していきたいと思っています。あとはイベントなどで、読者の方々と直接お話ができるというのがサイボウズ式の大きな特徴だと思うので、積極的に参加したいです。
2019年、つながりが生まれるサイトにしたい
「サイボウズ式」のサイトリニューアルの話もいいですか?
毎年のように「リニューアルしたい」と言ってたけど、日々の業務に追われていて、先延ばしにし続けていて……。
なかなか手をつけられていなかったところを、 明石さんにプロジェクトに入ってもらって。
「もっと読者とつながれるメディアに」をコンセプトに、リニューアルしました。イベントやコミュニティなどの情報が上部に表示されるようになり、編集部に興味を持った人が次のアクションを起こしやすくなったと思います。
最後に藤村編集長。来年に向けてどうしていきたいですか?
つながりが生まれるサイトにしたいです。僕が編集長になって4年経つんですね。その間、編集部では主に記事企画をみんなで進めていましたが、Meetup、第2編集部と、活動の幅を広げてみました。この経験を経て、「読者とつながりたい」という気持ちがさらに高まっています。メディア運営は、編集部のみんなにほぼ任せているので、その分コミュニティ作りに注力していきたいですね。
ただ、メディアの根幹にあるのは記事なので、サイボウズ式編集部としては、「カイシャ・組織」「働き方・生き方」「家族と仕事」の3つ大きなテーマに注力していきたいなと。サイボウズ自体も変わろうとしていることが伝わる記事を作っていきたいですね。
今回触れた記事以外にも「思い入れのある記事」はたくさんありました。名残惜しい気持ちもありますが、今年の振り返り記事はこれにて終わりにします。今年もありがとうございました!
執筆・池田園子/撮影・尾木司(1枚目)・鈴木健斗(2-9枚目)/企画編集・津川朋子・柳下桃子
訂正履歴:取材時には制度の正式名称が決まっていませんでしたが、「働き方宣言制度」に決定しました。そのため、表記を「新・働き方宣言制度」から「働き方宣言制度」に訂正いたしました。(2019/06/21 13:00)
もうひとつは4月から、サイボウズが新たに始めた人事制度「新・働き方宣言制度」の運用について、執行役員の中根弓佳さんが語った記事です
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もうひとつは4月から、サイボウズが新たに始めた人事制度「働き方宣言制度」の運用について、執行役員の中根弓佳さんが語った記事です