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子供のゲーム依存を通じて学ばせるべきこと──コデラ総研 家庭部(106)

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 親または保護者
  • 教育に関心を持つ人
  • ゲーム依存について関心のある人
  • 家庭内での教育方法に興味がある人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むことで、子供のゲーム依存についての問題とその対策方法について知識を得ることができる。筆者は、保護者が子供のゲーム依存を管理する方法として、家庭内での盗難を防ぐためにゲーム機のACアダプタを手提げ金庫に入れて管理する方法を紹介している。この方法により、充電が制限されるため、子供たちはバッテリー残量を意識し、ゲームを楽しむ時間を管理するようになる。さらに、バッテリーの節約が一種のゲームとして子供たちに節度を教える手段になっていることが説明される。それにより、限られた資源の管理を学ぶことができるとともに、節約の大切さを学ぶという教育効果があることが示されている。

Text AI要約の元文章

tech

子供のゲーム依存を通じて学ばせるべきこと──コデラ総研 家庭部(106)

テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第106回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「子供のゲーム依存を通じて学ばせるべきこと」。

文・写真:小寺 信良

インターネットリテラシー講演の際に、質疑応答の時間で小学生の保護者とディスカッションする機会も多い。その際にスマートフォンの使い過ぎという話に次いでよく聞かれる話題が、「ゲームのやり過ぎ」である。5分でも時間があれば3DSとくっついて離れなくなるという話は、男の子に多いようだ。

PS VITAやNintendo Switchには、ペアレンタルコントロール機能として、1日の遊べる時間を設定する機能があり、保護者の許容範囲内で遊ばせることができる。しかしNintendo 3DSにはそのような機能がなく、さらにはWi-Fiも家庭内においては使い放題ということもあって、際限なくゲームをやり続けるということになりかねない。

筆者宅でも同じ悩みを抱えている。「今日はここまで」といってゲーム機を取り上げても、いつの間にか取り戻して遊んでいる。そのたびに叱って、の繰り返しだ。仕方なくゲーム機を子供の気がつかないところに隠すようにしたのだが、親が居ない隙を見計らって家捜しし、ゲーム機を盗み出すようになってしまった。

家庭内において、日常的に盗みを行なうというのは、子供にとってよくない傾向である。モノが隠してありそうなあらゆる場所をひっかきまわしていると、支払いのために降ろしておいた現金を偶然見つけるかもしれない。

現金がなくなると、コトが大きくなりがちだ。空き巣に入られたと勘違いして、警察に通報してしまったというケースも聞く。ただこういう事件はよくあるらしく、警察でもまず「身内の犯行」を疑うよう促される。しかし、家族を疑うということは、まさに修羅場である。

「ゲーム機を隠す」作戦は、いい結果にはなりそうにない。

「量」を管理させる

別に子供にゲームを使うな、と言いたいわけではない。節度を持て、と言いたいのだ。それを身に付けさせるにはどうしたらいいのか。スマートフォンの場合は、キャリアの通信は月間で利用量が決まっている。いわゆる「ギガが足りない」というヤツだ。同時に家庭内のWi-Fiルータも、スケジュール機能を使って特定の時間からはネットに繋げなくすれば、ネット利用の管理はできる。

だがゲーム機の場合、ネット接続不要のゲームは使えてしまう。そこで知恵を絞った。ポータブルゲーム機で、量的に限られるものは何か。それは、バッテリ残量である。ACアダプタがある限り、ゲーム機は無限に動き続ける。ではゲーム機ではなく、ACアダプタを管理したらどうか。

そこで手提げ金庫を買ってきて、ACアダプタをそこで管理することにした。家の中を漁る必要はない。金庫は目に付くところにある。ただし鍵は親が常時持っている。ゲーム機を充電できるのは、月曜日だけとした。ウィークデーは使い方を考えてうまく節約していかないと、土日に遊べなくなってしまう。

この方法は、今のところうまくいっているように見える。平日はなるべくバッテリを節約し、ゲームを点けっぱなしで寝落ちしてしまうような、自堕落な使い方もなくなった。スリープと「電源を切る」の区別も理解した。節約自体が、ゲームなのだ。

子供にある一定量を決まった期間管理させるということは、現代社会ではほとんど学ぶことができなくなってしまったことのひとつだろう。昔は「月に1度のお小遣い」がそれであったが、今は子供だけで買い物に行けるような駄菓子屋もなくなり、小遣いを使うところもない。金の管理も必要なくなり、電力もネットも時間も使い放題ともなれば、何ひとつ「限りある資源を管理する」ことを覚えられない。

便利な世の中になったと言えばそうなのだが、それでは大人になってから困るだろう。こうした子供の欲求をうまく活用して、教育に転換する方法というのは、他にも考えられるかもしれない。(了)


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