サイボウズ株式会社

「青野さん、取材やTwitterばかりで仕事できてるんですか?」と聞いてみたら、マネジャーが本当にすべきことが見えてきた

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 企業のマネージャー
  • リーダー層のビジネスパーソン
  • 働き方改革に関心のあるビジネスパーソン
  • 組織運営に困っている経営者
  • 業務効率化を目指す管理職
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むことで得られる知識は、サイボウズの青野慶久社長がどのようにメディア出演やTwitterでの広報活動と経営の仕事を両立させているか、その具体的な手法についてである。青野社長は直接秘書を置かず、グループウェアを活用してスケジュールを公開し、関係者が自主的に調整する仕組みを作っている。また、何か任せるべき仕事が発生した際には、適任者に直接連絡し、透明性のある形で他の社員にも公開することで、スムーズな業務の引き継ぎを実現している。さらに、理想に繋がる仕事のみを自らが担当し、それ以外はチームに任せるという考え方であり、このアプローチが組織全体の効率を向上させていることがわかる。

Text AI要約の元文章
サイボウズ

サイボウズのつくりかた

「青野さん、取材やTwitterばかりで仕事できてるんですか?」と聞いてみたら、マネジャーが本当にすべきことが見えてきた

時短だ、働き方改革だというけれど、目の前の仕事はいそがしくなる一方。「もっと部下や後輩に業務を任せたほうがいい」なんて言われても、現実にはなかなか難しい。そんな悩みを抱えるマネジャー・リーダーは少なくないと思います。

うまく人に仕事を任せていくためには、どんな心構えや工夫が必要なのでしょうか。

さまざまなメディアに顔を出し、選択的夫婦別姓の容認を求める裁判に挑み、Twitter(@aono)でも積極的に発信するサイボウズの代表取締役社長・青野慶久。「なんだかいそがしそうだけど、経営者としての時間はどう確保しているのだろう?」

不思議に思ったサイボウズ社員が、直接聞いてみることにしました。

仕事をたくさん任せています

吉原
よくメディアに出られたり、Twitterでツイートされていたりしますが、青野さんって、経営の仕事は本当にできているんですか……?
青野
ははは。これ、たまに言われるんですよね。この前は社外の方にも言われました(笑)。

青野慶久(あおの・よしひさ)。1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立し、2005年4月に代表取締役社長に就任(現任)。ここ数年はメディア出演やTwitter(@aono)での露出が増えつつある。

青野
意外かもしれませんが、メディア出演やTwitterといった広報活動には、3割ほどしか時間は割いていませんよ。残りの7割は、「意思決定」という経営の大事な仕事に費やしています。
吉原
メディアでの活動があれだけあって3割? それで残りの7割の時間は、一体どう時間を割いているのですか?

サイボウズ 新卒3年目の吉原。仕事の合間にTwitter(@yosshimusic)を開くと、青野さんが何かしらツイートしていることが多く、その頻度に驚きと一抹の疑念を抱いている。

青野
なんでしょうね。あるとすれば、仕事をたくさん他人に任せていることでしょうか。

直接かつ簡単に仕事を任せやすい仕組み

吉原
仕事を任せるといっても、それはそれで大変じゃないですか? 仕事を他人に任せるのが心配という人も多いと思うんです。
青野
まず、仕事を任せやすい仕組みはつくっていますね。
吉原
仕事を任せやすい仕組み?
青野
はい。ポイントは2つあります。「余計な人は通さない」と「なんでも公開する」。

たとえば僕、創業時からずっと秘書がいないんですよ。
吉原
えっ、「秘書がほしい」と思ったことはないんですか? いそがしい社長って、だいたい秘書を雇っているイメージがありますが。
青野
ないです。秘書を置かないほうが効率的なので。

秘書がいると、何事も「まずはこの人を通しましょう」となりますよね。すると、誰かが僕のスケジュールを押さえたいときにも、秘書を通して、僕が確認して、また秘書が返事をすることになる。

めちゃくちゃ無駄ですよね!? 直接僕に言ってくれたらいいじゃないですか。

「無駄は良くないですよ」

吉原
たしかに、社員の僕たちとしてはそのほうがありがたいですが……。しかし、社長がスケジュール調整に直接かかわるって、それはそれで無駄ではないでしょうか?
青野
だから、グループウェアで予定を公開しているんです。そうすれば、あとは関係するメンバーが予定を直接調整してくれますから。
吉原
あー、なるほど。

そういえば僕も青野さんの予定は見られるのでした

青野
スケジュールに限った話でもないですよ。たとえば、何か任せたい仕事が出てきたら、グループウェア上の「青野慶久からの無茶ぶり」というスペースで、適任と思われる人に直接連絡しています。

サイボウズのグループウェア「Garoon」内の「青野慶久からの無茶ぶり」スペース

青野
たとえば、ときどきわたしに営業案件のご紹介をいただくことがあるのですが、そのときは営業の現場チームに直接お願いをするんです。

福岡の営業の案件を、福岡の営業担当に直接連絡している

吉原
秘書はもちろんのこと、直属の部下を通して、さらにその部下を通して、という流れではないんですね。
青野
ええ。適切な現場メンバーが分かっているなら、 余計な人を通すなんて無駄なだけですからね。
吉原
たしかに。あ、そういえばこの「青野慶久からの無茶ぶり」は、社員全員に公開されているんですね。僕でも閲覧できる。
青野
はい。誰かにお願いしても、いろいろな理由や事情でその人が動けないこともあります。

そんなときにまたほかの人に説明し直すのは大変だから、最初からすべて公開しておいて、別の人に宛先指定をし直せばいいだけにしているんです。

共有すべき相手をあとから思いついたので、宛先指定を追加している様子

青野
たまに有志が自ら手を挙げて、仕事を巻き取ってくれることもありますよ。無駄がありませんよね。

“無駄”について語り出すと止まらない

吉原
なるほど。余計な人を通さず、誰かに直接仕事を任せられる。その上、お願いした人がダメでも、別の人がすぐに巻き取れる、ということですね。

これは、仕事を任せるのが楽にできそうですね。経営者でなくとも、実践できるところはありそうです。

理想に立ち帰れば、任せるべき仕事が見えてくる

吉原
しかし、そもそも他人に仕事を任せることに、心理的な抵抗はないんですか?

任せるどころか、「自分がかかわることについては、何でも自分が握れていないと気がすまない」という人も少なくないと思うのですが。
青野
それはないですね。もうあきらめているんです。
吉原
あきらめている?

(社長に仕事をあきらめられると困るぞ……?)

青野
僕たちの企業理念は「チームワークあふれる社会をつくる」ですよね。そんなに高い理想を本気で達成しようとすると、どうしたって仕事があふれてしまうんですよ。
吉原
高い理想を追求しようとすれば、あきらめて他人に任せるしかないほど、たくさんの仕事が自然と出てくると。
青野
そうです。そして、サイボウズはもう800人を超えるチームになっています。もうすべてを完璧に把握するなんて無理ですよ(笑)。

だからあきらめています。「すべてを把握すること」が、理想につながるわけでもないと思いますし。
吉原
常に「それが理想につながるか」が基準なんですね。
青野
はい。だから言い方を変えれば、「自分自身がやることが理想につながる」と思うことは、他人に任せず、自分でやればいいと思います。

そう考えると、仕事を他人に任せられない人は、「そもそも何がやりたかったんだっけ?」と、理想に立ち戻ることが必要なのかもしれませんね。そうすれば、「他人に任せるべき仕事」が見えてくるはずです。

マネジャーが自分ですべきことはそんなに多くない

吉原
なるほど。「自分じゃないといけない」と思い込んでいること、僕もありそうです。
青野
僕も以前は自分が「エースで4番」だと思っていたことがたくさんありました。

けど、もっとすごい球を投げたり、もっとよく打てたりする人が周りにはいて、任せてしまったほうがいいこともあると少しずつ気づいたんです。

最近はむしろ、メンバーに任せられることが本当に多くて、僕の仕事はいずれなくなっちゃうんじゃないかなとさえ、ときどき思いますよ。
吉原
では、青野さんはいずれ社内無職に?
青野
そこまではないと思いたいですね(笑)。というのも、やはり経営者が自分でやるべきこともあるとは思っているんです。

「広報活動」と「意思決定」は最初に言った通りです。あとは「価値観の番人」。これはわたしのようなマネジャーの役を担う人間にとって、重要な仕事だと思っています。
吉原
価値観の番人?
青野
サイボウズでは、「理想への共感」「公明正大」「自立と議論」「多様な個性」という価値観を、みなさんに大事にしてもらっていますよね。

この価値観から逸脱した様子が社内で見られないかだけはよく見守って、必要なら声をかけるようにしています。
吉原
より高いパフォーマンスで社員が働けるように、風土の番人をしているということですか。
青野
はい。そして、これもやっぱりグループウェアが役立っていますね。

いろんな人たちのやっていることや考えていることが見えるので、それを見つつ、声をかけたり、改めてメンバーみんなに発信したりしています。

青野が守ってほしい価値観について、サイボウズの業務改善クラウドサービス「kintone」上で発信している様子

吉原
なるほど。
青野
逆に言うと、マネジャーがすべきことって本当にそれくらいなんじゃないかと思いますね。

意思決定と、チームの価値観を守る活動。そして、経営者なら広報活動。あとは、誰かに任せてみてもいいんじゃないでしょうか?
吉原
そこまで具体的になると、今日からでも任せられそうな仕事が見えてきそうですね!

今日はありがとうございました。青野さんがTwitterばかりしているわけでもなく、社内無職になるわけでもなさそうで、安心しました(笑)。
青野
サイボウズのこともツイートしていますからね! 仕事はしっかりしているということで、ご理解よろしくお願いします(笑)。

ガルーンなら、共有したスケジュールに添付資料を貼るだけ!

『会議は印刷から始まってるんだ!』
会議前の最重要任務。
https://t.co/xT3fHr3kSZ #Cybozu #Garoon #ざんねんな情報共有ずかん

— 青野慶久@サイボウズ (@aono) 2018年10月23日

文:多田慎介/撮影:内田明人/企画編集:吉原寿樹

組織風土を変えるグループウェア Garoonの詳細はこちら

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執筆

ライター

多田 慎介

1983年、石川県金沢市生まれ。求人広告代理店、編集プロダクションを経て2015年よりフリーランス。個人の働き方やキャリア形成、教育、企業の採用コンテンツなど、いろいろなテーマで執筆中。

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撮影・イラスト

写真家

内田 明人

主に人物撮影を中心に活動をしており、会社案内、社内報、人材採用広告等の経験が豊富です。

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編集

編集部

吉原 寿樹

1995年、大阪生まれ。2017年にサイボウズへ新卒入社。働き方やツールに関するコンテンツ制作を通して、サイボウズが製品で提供できる価値をより広く伝えるプロモーションに取り組んでいます。趣味は音楽・ゲーム・読書。

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