サイボウズ株式会社

営業なのに「個人ノルマなし」「働き方も自由」でサボらないんですか?

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 企業経営者や組織のマネージャー
  • 営業職に興味がある大学生や新社会人
  • ワークライフバランスを重視する働き手
  • IT企業での働き方に興味がある読者
  • 営業戦略や組織マネジメントに興味があるビジネスパーソン
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を通じて、サイボウズというIT企業の営業部が個人ノルマを廃止し、自由度の高い働き方を推奨している理由とそれがどのように機能しているかが解説されています。サイボウズでは、従来の厳しいノルマでプレッシャーをかける営業スタイルではなく、各自が自分の働き方を100通りに宣言し、それに従い自由を尊重する風土が築かれています。このスタイルが可能となった背景には、サイボウズのビジネスモデルに「サブスクリプションモデル」を採用していることがあり、持続可能な顧客満足度の向上を目指しています。

その結果、個人のノルマよりもチーム目標を重視する形で「全員野球」の体制がとられ、各部署が協力し合う企業文化があることが強調されています。個人がどれだけ多く売上を上げるかよりも、全社的なビジョンを共有し、顧客満足を維持し続けることが重視されています。これにより、営業担当者たちはサポートの要請もしやすく、社内SNSを利用した迅速な情報共有と問題解決が可能となっています。

サイボウズの営業モデルは、競争よりも協力を基にしたアプローチで、個人ノルマの良否についても、時と場合に応じて異なるアプローチが必要であることが説明されます。「合理性」を追求した結果としての現状のスタイルで、社員が自由に働くことが企業と顧客双方に利益をもたらしているとされています。

Text AI要約の元文章
サイボウズ

サイボウズのつくりかた

営業なのに「個人ノルマなし」「働き方も自由」でサボらないんですか?

「100人100通り」の自由な働き方ができるサイボウズの営業には、個人ノルマがありません。

営業と言えば、厳しい個人ノルマが必須のイメージですが、個人ノルマのプレッシャーがないのに、営業をサボりたくなったりしないのでしょうか。

今回はサイボウズ式インターン生の山口遼大が、営業部の栗山圭太、足立宜親、深澤修一郎に、その疑問をぶつけてみました。

営業職=つらい、のイメージは本当?

営業職=つらい、のイメージは本当?

山口
大学生の僕からすると、「営業って個人ノルマがあって大変そうだな……つらそうだな……」というイメージが強いんです。

でも、サイボウズ式でインターンしながら、「サイボウズの営業は、ほかとは何かが違うのかも?」と思って。

なので今日は、サイボウズの営業スタイルについて、いろいろ教えてください!
栗山
そもそも大学生から見て、営業職ってそんなに人気ないの?
山口
ないと思いますね。体育会系のイメージが強くて、「ノルマのためなら何でもします!」と言える人が求められているイメージです。
栗山
サイボウズでは、そういった兵隊みたいな営業はあまり求めてないかもしれません。

「サイボウズ製品を広く使ってもらうためには、どうすればベストなのか」を自分で考えられる人が活躍していますね

栗山圭太(くりやま・けいた)。2003年に、証券会社からサイボウズに転職。営業部に配属され、公共営業や大阪営業所の立ち上げなどを経験したのち、「サイボウズOffice」「kintone」のプロダクトマネージャーを務めた。その後、自身の強い希望で営業に戻り、現在は執行役員 営業本部長とグローバル事業本部 副本部長を兼務している。直近の数年間は、アジアの拡販にも注力。アジア10か国を訪問し、パートナー企業とのリレーションシップを図っている。お酒が全く飲めない栗山だが、「下戸でも営業部門の責任者が務まる」ことを体現。体育会系だったサイボウズの営業を「ロジカルな営業」へと変革させた立役者。

山口
営業って、口が上手でイケイケな人というイメージでしたが、そんなことはない、と。
栗山
はい。 ちなみに、新卒でサイボウズに入社した深澤君は企画を立てるのが得意で、いわゆる「体育会系の営業」とは全く違うタイプです。
深澤
飲み会は苦手ですね(笑)。

深澤 修一郎(ふかさわ・しゅういちろう)。2012年、新卒としてサイボウズに入社。7年間パートナー営業部に在籍し、サイボウズで最も大きな代理店を担当する傍ら、サイボウズのパートナー企業にも週1回8時間常駐し、複業している。取材後の2020年からビジネスマーケティング本部に異動。

山口
飲み会が苦手でも営業OKなんですね……!

営業でも複業や在宅勤務

山口
働き方はどうなんですか? 営業だとなかなか自由な働き方は難しい気がしますが。
足立
自由だと思いますよ。僕は保育園に子どもを預けてから9:30に出社しています。

今日は朝に会議があったので、9:30までは電車に揺られながらスマホで会議を聞いて、そのあと会議室に入って参加しました。

足立 宜親(あだち・なりちか)。2015年にIT系商社からサイボウズに転職した。現在は、パートナー第1営業部 に在籍。サイボウズで売上最大のパートナーの営業リーダーを務める。前職から一貫して、パートナー営業を極めている。

深澤
僕は満員電車を避けて生産性をあげるため、朝8時から在宅勤務をして、10時に出社するスタイルです。 あと、複業のために週4日勤務をしていますね。

サイボウズでは100人100通りの働き方を文章で宣言でき、グループウェア上で全社公開されるようになっている。深澤さんの働き方宣言には、朝に在宅勤務をすることや週4勤務である旨が記載されている。

山口
みなさん出社する時間もバラバラだし、働く日数も週5だけじゃないんですね。

営業に個人ノルマがないのは、意味がないから

山口
あとサイボウズの営業には、個人ノルマがないと聞きました。これって本当なんでしょうか?
栗山
そうですね、個人ノルマはありません
山口
営業といえばノルマのイメージですが……なぜなのでしょうか?
栗山
ビジネスモデル的に必要ないと判断したからです。

そもそもサイボウズはクラウドの情報共有サービスを月額で提供しており、これは「サブスクリプションモデル」と呼ばれています。
山口
サブスクリプションモデル……?
栗山
NetflixやSpotifyのように、利用期間に対して対価を支払うビジネスモデルですね。

サブスクリプションモデルの場合、お客様の満足度が大切になってきます。
山口
というと?
栗山
もし山口さんが新しくサービスを契約したのに、サービスがなかなかアップデートされなかったり、サポートが悪かったりしたら……どうしますか?
山口
すぐ解約しちゃいます。
栗山
そうですよね。 サブスクリプションのビジネスモデルの場合、大切なのは「お客様に満足いただいて長くご利用いただくこと」。

営業が売って終わりじゃなくて、製品を定期的に改善したり、良いサポートを受けられたりすることも重要です。

クラウド製品を提供するフロー。順に「マーケティング」「製品開発」「営業」「アフターサービス」のプロセスがある

山口
なるほど!
栗山
そうなるとサイボウズの場合、営業に個人ノルマを課さないほうが合理的なんですよ。

お客様にサービスを継続して使っていただくためにいろいろな部署で努力する必要があるのに、営業だけに個人ノルマを課すのは意味がないですし、社内で足の引っ張り合いが生まれてしまいますよね。

個人ノルマなしで、モヤモヤしないんですか?

山口
個人ノルマなし、働き方も自由。でもそれで会社が成り立つんでしょうか。さすがに、何かしらの数字目標はありますよね……?
栗山
もちろんです(笑)。 個人ノルマはないですが、全社で目指す売上目標はありますし、営業チームごとの売上予算もあります。
山口
チームの目標はあるけど個人ノルマがないって、モヤモヤすることはないんですか?

自分はこんなに成果をあげてるのに、チームの成果になっちゃうのか……って。
足立
私は特にないですね。 むしろ個人ノルマがあったときのほうがモヤモヤしてたかもしれません。
山口
というと……?
足立
前職の営業はまさに個人ノルマがある営業だったのですが、自分のノルマを達成することだけで頭がいっぱいでした。

「多少のクレームよりも、大きな売上を上げることを優先すべきだ」と思っていたんです。
栗山
でもそれだと営業も疲れちゃうし、本当にお客様の役に立っているのかモヤモヤするよね。
足立
そうですね……(笑) サイボウズに転職してからのほうが、お客様のことを考えた本質的な取り組みができるようになったと感じます。

サイボウズの営業活動は「全員野球」

山口
他にサイボウズの営業で特徴的なことはありますか?
栗山
「全員野球」なところですかね。

ふつうの会社の営業だと個人の売上目標を達成することが重要とされますが、サイボウズの場合は全社の売上目標を達成してはじめて全社員にボーナスが出るんです
山口
へえ、そうなんですね。
栗山
なので開発やマーケティング、カスタマーサポートや情シス、人事など「みんなで協力してサイボウズ製品を広めよう」という意識が強いです。
山口
とはいえ、社会人の先輩の話を聞いていると「部署間で協力しづらい」という話がよく出てきます。サイボウズの場合、実際はどうなんでしょうか?
深澤
部署を超えたチームワークを感じることは多いですね。

たとえば、案件中に機能面でわからないことがあったとき。 社内SNSのキントーンでわからないことを登録すると、サポートのメンバーがすぐに返信してくれるので、その日中に解決できちゃうんです。
山口
それは心強いですね。
深澤
あとお客さまからいただいた声を開発メンバーに直接共有できるのも好きですね。

「こんな要望があって、不便だから改善してほしい」と伝えるとプロダクトマネージャーからすぐ返信がくるんです。

営業がキントーン上で要望を伝えると、開発のプロダクトマネージャーからすぐに反応がある。

山口
約900人の会社なのに、エンジニアと営業の距離が近い……!
深澤
営業と開発の仲が悪い会社も多いですが、サイボウズの場合は営業の声が実際に機能の改善につながることも多くてやりがいを感じますね。

マーケティングの部署と連携して進めるプロジェクトも多いですし、いろいろな部署と協力して「チーム営業」ができている感覚があります。

「個人ノルマ無し」でサボらないの?

山口
ちなみに、個人ノルマがない状態で、サボろうとする人はいないんですか?
栗山
え~どうなんだろう……。僕が気づいていないだけかもしれないな。足立くんは、サボろうと思ったこと、ある?(笑)
足立
ないですね~。社員は自分の活動をキントーンで発信しているので、それに刺激されるんです。

「自分も良い仕事がしたい」と思いますし、メンバーの頑張りに対して、「恥ずかしい仕事はしたくない」「負けたくない」という気持ちのほうがつよくなりましたね
深澤
僕もサボろうとは思わないですね。 むしろ個人ノルマがないからこそ、わからないことや不安なこともオープンにしてみんなで解決しようという雰囲気があると感じています。
山口
不安なこともオープンに……?
深澤
このあいだだと、営業メンバーの一人が「案件について一生懸命準備をしていたけれど、連携に関する質問の準備を忘れてしまった!」と、キントーン上に投稿したことがありました。

※このキャプチャはイメージです

山口
事前に準備をしておくことが大前提だとしても、「ついうっかり……」ってトラブルはどんな会社でも起こりそうです。その案件はどうなったんですか?
深澤
そうしたら短時間で次から次へとアドバイスがキントーン上に集まって、結果的にその案件はうまくいって内示に至ったそうです。

※このキャプチャはイメージです

山口
なんと!
足立
個人ノルマがあって競争が激しい社風だったら、こんな風に「案件準備を忘れた!」なんてつぶやけないよね(笑)
深澤
サイボウズでは自立している人が多いので、サボるというよりはむしろ協力して助け合う風土がある気がしますね。
深澤
とにかくキントーンで徹底的に情報共有しているので、お客様からの問い合わせや提案資料も調べたらすぐ出てくるし、それが働きやすさや助け合いの風土に繋がっている気がします。

個人ノルマ=「悪い」わけじゃない

山口
お話を伺っていると、なぜ世の中の営業に個人ノルマがあるのかわからなくなってきました……。
栗山
いや、必ずしも「個人ノルマがある営業=悪」ではないんですよ。個人ノルマのある仕事には、いい面もあって。
山口
いい面?
栗山
ノルマを達成すればインセンティブ(報奨金)がもらえるので、夢がありますよね。

売れる営業なら30代で1000万以上稼げるので、若いうちに多くお金を稼ぎたいなら、ノルマのある営業も立派な選択肢です。
山口
たしかにお金は魅力的ですよね。
栗山
サービスによっては、営業に個人ノルマやインセンティブをつけたほうが売れるビジネスモデルもあります。

なので個人ノルマ自体が良い・悪いではなく、その会社のサービスの立ち位置や戦略、ビジネスモデルよってとるべき選択肢が変わってくるだけ。


人によって合う営業スタイル・合わない営業スタイルがあるので、適切な選択をすることが大切です。

今の営業スタイルは「合理性」を追求した結果

山口
いままで漠然と「営業ってノルマがあってつらそうだな……」と思っていたのですが、今日お話を聞いて、世の中にはいろいろな営業の形があることがわかりました。
栗山
個人ノルマがないことで「社員に優しい会社」と思われることも多いのですが、サイボウズの場合は純粋に「合理性」を追求した結果、今のチーム営業スタイルになっただけですね(笑)

結果的に、売上も順調に伸びています。
山口
チーム営業、おそるべし……。

「働き方も自由で個人ノルマもなくてどうなってるの?」と思っていましたが、サイボウズのビジネスモデルの特性に合った戦略なんだとわかって安心しました。
栗山
よかったよかった。一般的な営業のイメージとは少し違いますが、自分で企画するのが好きな人であれば向いていると思います。
山口
キントーンで情報共有をして、助け合うチーム営業の文化がよくわかりました。ありがとうございました!
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文:流石香織/撮影:栃久保誠/編集:松尾奈々絵、熱田優香

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執筆

ライター

流石 香織

1987年生まれ、東京都在住。2014年からフリーライターとして活動。ビジネスやコミュニケーション、美容などのあらゆるテーマで、Web記事や書籍の執筆に携わる。

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撮影・イラスト

写真家

栃久保 誠

フリーランスフォトグラファー。人を撮ることを得意とし様々なジャンルの撮影、映像制作に携わる。旅好き。

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編集

ライター

松尾 奈々絵

コンテンツメーカー・有限会社ノオトのライター、編集者。担当ジャンルは働き方や街紹介メディアなど。

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