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タニタ公式Twitter「中の人」、退職していきなり個人事業主になって不安じゃないですか?

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 働き方改革に興味があるビジネスパーソン
  • 個人事業主としての働き方を検討している起業家
  • フリーランスとしてのキャリアに興味を持つ人
  • 企業でのイノベーションに興味があるビジネスリーダー
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を通じて得られる知識は、株式会社タニタが導入した「日本活性化プロジェクト」という制度についてです。この制度は、既存社員が個人事業主として独立し、タニタと業務委託契約を結ぶという新しい働き方の選択です。この仕組みにより、タニタを退職した社員は、タニタでの基本業務を続けつつ、他社の業務を受けたり、新たな領域への挑戦が可能になります。同プロジェクトは、固定的な会社員とフリーランスの利点を組み合わせたもので、成果と報酬が直接結びつくため、個々の成長を促すことを目的としています。この記事では、タニタ公式Twitter運用者がこうした制度に参加し、独立しながら業務を続け、時間の自由や家族との時間の確保を実現し、さらに会社全体の課題に積極的に取り組む姿勢を持つようになった実例が紹介されています。このように、プロジェクトは個人に多様な働き方と成長の機会を提供し、ビジネス環境における新たな可能性を示すものです。

Text AI要約の元文章
働き方・生き方

タニタ公式Twitter「中の人」、退職していきなり個人事業主になって不安じゃないですか?

ある日、ライターの菊池がTwitterを見ていると、こんなツイートがタイムラインに流れてきました。

(今日、みなさんに言わなければならないことがあります)

— 株式会社タニタ (@TANITAofficial) June 21, 2019

私、タニタを退職しました

— 株式会社タニタ (@TANITAofficial) June 21, 2019

タニタ公式Twitterの「中の人」が退職……? タニタの公式Twitterアカウントは、ユーモアとセンスあふれる投稿で、フォロワーが30万人を超えるなど、とても人気な企業アカウント。その運用者が会社を退職「した」とは、一体どういうこと……?

菊池
真相が知りたい……!

そう思った菊池が調べたところ、どうやらこれは、株式会社タニタがはじめた「日本活性化プロジェクト」という仕組みにTwitter運用担当の方が参加した、という意味のようです。

独立を希望する社員はタニタを退職、新たに「個人事業主」として同社と「業務委託契約」を結びます。それまで行なっていた仕事は「基本業務」として担当できるこの仕組み。個人事業主として、他社の仕事を請け負ったり、正社員時代には取り組みづらかった新しい領域の仕事にチャレンジしたりできます。

タニタの働き方革命』(日本経済新聞出版社刊)によると、「この活性化プロジェクトは、『会社員』と『フリーランス』のいいとこ取りができる仕組みだ」と代表取締役社長 谷田千里氏は述べています。

話を聞く限り、とても魅力的な仕組みに思えます。でも、いきなり個人事業主になって不安じゃないの? 給与って減らないの? 退職してみて実際のところどうなの──?

気になった菊池は、タニタ公式Twitter中の人に話を聞きに行きました。

株式会社タニタ公式Twitter運用担当者「中の人」。ブランド統合本部新事業企画推進部。現在35歳、実名と顔は非公開。2008年にタニタに新卒入社し、営業の仕事を担当するなか、2011年にTwitterの運用をスタート。8年間ほぼ毎日コツコツとツイートを続け、愛される企業アカウントに成長させた。2017年、日本活性化プロジェクトの第一期メンバーとして参加。同年タニタを退職し、個人事業主としてタニタの業務を継続している。

新しいことに挑戦すれば、この先なにがあっても生きていける力が身に付く

菊池
今日は、退職してみて実際のところどうなのか、お話を聞きに来ました。
中の人
わかりました。なんでもお答えしますよ。
菊池
ありがとうございます! そもそも会社で「日本活性化プロジェクト」の話を聞いたときは、どう思いましたか?
中の人
最初はよくわからないなと思いました(笑)。

なぜ社員を個人事業主化する必要があるのか、個人事業主になったらどんな働き方になるのか。業務委託としてタニタで働く……。話を聞いた直後はどういうことなのか理解できなかったですね。
菊池
では、なぜ参加を決めたのですか? 
中の人
話を聞いてからしばらく考え続けて、このまま10年、20年と正社員として働き続けても、自分を変えられないと思ったのです。もっと成長していくためには、環境を変える必要があるのではないかと。

そこで、成果と評価が直結しやすい個人事業主になってみようと考えました。
菊池
もっと成長が必要だと思ったのですね。
中の人
10年先の未来を考えたときに、どんな仕事に価値があり、どんなスキルが求められるかは、わからないじゃないですか。今成長している企業だって倒産する可能性もあります。

自分の成長を考えずに、日々同じ仕事だけをしていたら、勤めていた会社が倒産したときに、選択肢がほとんどなくなるかもしれません。逆に新しいことに挑戦すれば、この先なにがあっても生きていける力が身に付くと思ったんです。
菊池
『タニタの働き方改革』には、「社長が言うんだからやってみようと思った」とも書かれていましたよね。
中の人
私が入社した年の途中で現社長が就任したのですが、その頃から一緒に仕事をする機会が多くあり、社長のことを信頼していました。

「会社が成長していくには、どんどん新しい挑戦をしないといけない。そのためにも社員それぞれが思う新しいことを自由にやってほしい」と繰り返し伝えてくれたことが、印象に残っています。

「会社が苦しくなったらいつでもクビにできるってことじゃないの?」

菊池
社長を信頼していたからこそ、プロジェクトへの参加もすんなりと決断できたんですね。
中の人
でも家族には、ものすごく反対されました。
菊池
そうですよね……。せっかくいい会社で正社員として勤めていたのに辞めるなんて。
中の人
「会社が苦しくなったらいつでもクビにできるという、会社本位の制度じゃないの?」と家族から言われました。私がいきなり正社員じゃなくなることが不安だったみたいです。
菊池
どのように納得してもらったのでしょう?
中の人
伝えたことは二つあります。

まず「企業だって倒産する可能性があるのだから、正社員=安心なわけではない」と。「企業が倒産しても仕事をしていけるように、早いうちから準備をしておいたほうがむしろ安心だと思う」と伝えたんです。
菊池
たしかにそうですね。
中の人
次に「社長が言うのだから信じてみたい」と。

そもそも当時、会社は、人手が十分に足りている状況ではなかったので、あえて誰かを辞めさせる判断はしないはずだと思いました。

それにこれまで社長と一緒に仕事をしてきて、社員をクビにするためにこのプロジェクトを導入するような人ではないとわかっていました。だから、家族には「一緒に信じてほしい」と言いました。
菊池
経済的な面での不安の声はありませんでしたか?
中の人
直接言われたわけではないですが、不安はあったと思います。

でも、蓋を開けてみると、手取り収入は増加してたこともあり、今は家族も理解してくれているように思います。

自分ごと化の頻度が高くなり、引き出しが増えた

菊池
退職以前と以後で業務内容はどのように変わったんですか?
中の人
基本的には、これまでタニタで担当していた業務を引き続き担当しています。公式Twitterアカウントの運用と、それ以外に、他社とコラボする商品企画の立案に携わっています。
菊池
では、個人事業主になってからも業務内容に大きな変化はないのでしょうか?
中の人
2019年10月からは、それに加えて新しくマネジャー業務を委託されて、担当しています。

マネジャー業務は追加の契約として、別途報酬をいただいていますね。
菊池
そうか。個人事業主だから、業務が追加になれば、その分報酬も増えるんですね。それにしてもマネジャー業務を個人事業主に委託するなんてすごい……。
中の人
普通だと、個人事業主にマネジャー業務を任せるなんてありえないですよね(笑)。でも、会社の中のことをよく知っていて社内から信頼してもらえているので、そういった業務も任せてもらえる。

これは「日本活性化プロジェクト」の座組みならではの仕事の受け方だと感じますね。
菊池
個人事業主として、タニタ以外でもお仕事されているのでしょうか?
中の人
今のところは、Twitter運用に関するセミナーの登壇くらいです。単発で受けており、継続的な契約は他ではしていません。

機会があれば受けるかもしれませんが、今のところは、タニタと一緒に仕事をしていきたい気持ちが強いです。

社員でも個人事業主でも、成果を出すためにスキルを磨き続ける点では変わりはない

菊池
正社員から個人事業主に変わって、働き方や生活面ではどのような変化がありましたか?
中の人
自分のペースに合った働き方を実現できるようになりました。場所と時間を選ばず、土日に働いてもよくなったので、平日は1日6時間、土日は2〜3時間ずつを仕事にあてるような形で働くことがあります。

退職する前は「平日のうちに完全燃焼しなきゃ!」と思っていたので、自分から進んで朝早くから夜遅くまで働き、その反動で土日は疲れ切っていたんです。

今は時間の使い方がより自由になった分、使うエネルギーが分散できて疲れにくくなりました。
菊池
いいですね。ただ、会社や他の人が管理してくれない分、タスクや健康の管理など大変じゃないですか?

たとえば、つい仕事をサボってしまいそうになるとか。
中の人
ご心配ありがとうございます(笑)。

でも、正社員だろうと個人事業主だろうと、仕事に向き合う姿勢は変わらないですね。仕事する以上は成果を出したいし、そのためのタスク管理も、雇用形態が変わったからといって変わるわけではない。

でも、健康管理は以前より気にするようになりました。自分が病気になると仕事が止まってしまう。なので、無理はせず、もし体調を崩した場合はすぐ休み、早くリカバリーできるようにしています。
菊池
プライベートの時間の使い方も変わったのでしょうか?
中の人
朝は家族と一緒に過ごせています。もともと私は朝型なので、正社員だった頃は家族がまだ起きていない時間に家を出ていたのです。今は家族との時間が増えた気がします。

ただ、いつでも仕事ができるようになった分、つい仕事をはじめてしまうこともあるので、家族との時間をいつ取るのかは意識的に決めています。
菊池
ここまで聞いてきて、いいこと尽くしだと思ったのですが、個人事業主になったデメリットはなかったのでしょうか?
中の人
うーん……。それがあんまりないんですよ。よくある「税金関係が面倒だ」という話も、メリットだと思うんです。

正社員だった頃は自分の給与から税金がどう引かれているのか全く知らなかった。今は自分で管理してお金を払うので、金額や内容が見えるようになって、勉強になりました。

特定の部署に縛られないからこそできる貢献の形

中の人
あ、先ほど、「仕事に向き合う姿勢は変わらない」と言ったのですが、ひとつだけ変わったことがありました。
菊池
なんですか?
中の人
個人事業主として関わるようになって、会社全体の課題に向き合おうという気持ちが強くなったのです。
菊池
会社全体にある課題に向き合う……?
中の人
社員のときは、部署ごとに縦割りでやるべき仕事が決まっており、組織的な課題を見つけたとしても、部署以外の仕事に手を挙げるメリットは少なかった。

たとえ自分が引き受けたかったとしても、上司が首を縦に振らない可能性もあります。
菊池
たしかに、組織の課題に気づいたとしても、自分の部署と関係ないことだったら動きづらいですね。
中の人
でも、個人事業主になったことで、特定の部署に縛られない形になりました。

この働き方であれば、部署の都合に関係なく、会社全体としてやった方がいいことを、仕事として受けられるようになりました

組織内では取り組みづらかった仕事を個人事業主が取り組んで会社を活性化できる。たしかにこれは理にかなっていると思いますし、退職したからこそ貢献できる仕事があるのだと気づきました。
菊池
新しい視点ですね!
中の人
はい。一度退職したからこそ、多様な形でタニタとは仕事ができると思っています。退職して関係が途絶えてしまうのではなく、つながっていける。

だからこれからも、タニタを盛り上げたいですね。
文:菊池百合子/撮影:川島彩水/編集:木村和博・明石悠佳

変更履歴:誤記がありましたので、下記のように変更しました。(2020/2/06 10:20)

変更前:株式会社タニタがはじめた「日本活性化プロジェクト」という仕組みをTwitter運用担当の方が参加した

変更後:株式会社タニタがはじめた「日本活性化プロジェクト」という仕組みに、Twitter運用担当の方が参加した

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執筆

ライター

菊池百合子

フリーランスの編集者・ライター。2018年にフリーランスとして独立。滋賀県長浜市在住、仕事は東京。インタビュー記事を中心に執筆している。

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撮影・イラスト

写真家

川島彩水

1989年生まれ 女子美術大学デザイン学科卒 フリーランスフォトグラファーとして、人物写真を中心に様々な媒体で撮っています。

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編集

ライター

木村和博

フリーランスの編集者・ライター。

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