多田 慎介
1983年、石川県金沢市生まれ。求人広告代理店、編集プロダクションを経て2015年よりフリーランス。個人の働き方やキャリア形成、教育、企業の採用コンテンツなど、いろいろなテーマで執筆中。
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この記事を読むことによって、サイボウズという日本企業がどのように国際的な市場で自社のブランドを発信し、現地ニーズに合わせて適応しようとしているのかが分かります。サイボウズは自社メディアである『サイボウズ式』を通じて、英語の記事や海外の専門家を取材した記事を発信し始めることを計画しています。これは、自社が提供する製品と理念、特にチームワークを重視した企業文化を世界に伝えることで、競合との差別化を図ることが目的です。アメリカ市場ではIT業の競合が激しいため、単なる製品プロモーションに留まらず、企業の文化や価値観を伝えることが重要だとされています。
さらに、スイス出身のアレックスが編集部に加わることで、国際的な視点からサイボウズが世界に与える影響を考察しています。アレックスは、サイボウズの働き方が『100人100通り』を推進し、多様性と個性を尊重した企業風土を持つことを示し、これは日本国内だけでなく国際的にも先進的であると示唆しています。また、サイボウズが追求する多様性は、一般的に言われる『diversity』よりも『individuality(個性)』であると述べ、人々がそれぞれの個性を活かして働ける環境を提供していることが強調されます。
サイボウズ式では今後、全世界へ向けて英語記事や、海外の事例や専門家を取材した記事を積極的に発信していくことになりました。サイボウズは現在、キントーンをアメリカ市場で展開すべく奮闘中。そこで自社メディアであるサイボウズ式でも、私たちの思いを伝えていきたいと考えています。
そのためのキーマンとして編集部に加わったのが、スイス出身のアレックス。スイス外務省と慶応義塾大学職員を経てサイボウズに入社した、異色のキャリアの持ち主でもあります。
サイボウズ式はこれから、世界へ向けてどんなメッセージを発信していくのか? アレックスとコーポレートブランディング部長の大槻幸夫(サイボウズ式初代編集長)の2人で、ざっくばらんに語り合ってもらいました。
あと、実際に会ってみたら「日本人と話しているのかな?」と思うくらいコミュニケーションが自然でした。日本語はとても上手だし、謙虚さと落ち着きがあって会話もしやすいし。
大槻 幸夫(おおつき・ゆきお)。サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長。「サイボウズ式」の初代編集長。
ちなみに、スイスを出て日本に行くことはいつ頃から考えていたんですか?
それでさらに興味を持ち、旅行で何度か実際に日本を訪れる中で「ここに住んでみたいな」と。外務省を辞めて日本へ来たんです。
Alexander Steullet(通称アレックス)。サイボウズ式のグローバルコンテンツ担当として、2018年11月にサイボウズへ入社。 ソ連生まれ、スイス出身。
そんなときにリクルーターさんが、「サイボウズにはコーポレートブランディングでオウンドメディアを手がける部署がある」と教えてくれたんです。
ただ、アメリカはITの本場だけあって競合がとても多いんです。キントーンと同じカテゴリーの製品が毎週1つは誕生しているような印象です。
それでは、僕たちは何を売りにするべきなのか。考えた結果、サイボウズの理念や文化をアメリカでも伝えていくべきだと思ったんです。
対して、サイボウズのキントーンの売りは、ボトムアップで「みんながチームのコミュニケーションを良くしたいから導入する」ツールだといえます。
これはサイボウズが持つ働き方へのこだわりにもつながっています。僕たちが『サイボウズ式』で発信してきたメッセージを海外にも届けていくことが、競合との差別化になると考えているんです。
ただ今のサイボウズ式を見ていると、日本の有名人のインタビューや日本の文化を紹介するような「日本フォーカス」の記事が多いですよね。
日本に限らず、海外の先進的な事例を取材して、そこから学んでいく必要があります。いつか国内外で先進的な思想を持った企業が生まれてくると思いますが、そこから学んでアップデートしていかないと、サイボウズはイノベーティブな存在だとは言えなくなります。
そうなってしまうのはとてももったいない。私たちは早く、世界レベルでの会話に参加をしなければいけないと思うんです。
もちろん、海外のテック系企業にも柔軟なところは多いです。フレックスタイム制や在宅勤務といったポイントだけを見れば、サイボウズが特別というわけでもない。
でも、理念と制度と風土があるという点では、唯一の会社だと思うんです。
そのためにいろいろな制度があるし、働いているみんなは「制度があるから乗っかろう」という感じではなく、「自分がやりたいことをやって、チームに貢献するために制度を利用しよう」と考えています。
でも、サイボウズの考え方という点では、私は入社前にちょっと疑っていた部分もありました。
海外の、例えばアメリカの企業であれば働く人は人種も宗教もさまざまなので、自然と多様性について考えることになります。でも日本の企業の場合、働いている人はほとんど日本人ですよね。背景が全然違うと思いました。
そうした中で語る「多様性」ってなんなのだろう?と。
そういえばこの間、アレックスがツイッターで発信しているのを見て新しい発見があったんですよ。
サイボウズって多様性に拘っている会社とよく言われる。英語で多様性はdiversityですね。
— AlexSt (@SwissBozu) December 20, 2018
でも青野さんの説明を聞くと、実はdiversityではなく、individualityという言葉の方がサイボウズの理念と近いんじゃない、と個人的に思っちゃいます。
つまり、ここで働く一人ひとりの個性を大切にするということですよね。「たしかに!」と思いました。
実際にサイボウズで働く人を見て、多様だと感じますか?
みんな、「自分の個性が魅力になるんだ」と考えていて。同じように進むのではなく、「自分の個性をどう発揮するか」ということを考えて動いていますよね。
例えば『大事な商談の日なのに、保育園に預けられない─両親の代わりに営業チームで子守をした話』。
オリジナルコンテンツとしては、今のサイボウズ式の中心である「100人100通りの働き方」についての考え方も発信していきたいです。海外向けの記事では、もっと幅を広げるチャンスもあるかもしれません。
会社は儲けを追いかけるだけでいいのか? 個人と会社はどんな関係を築くべきなのか? 会社とはただ出社して仕事をするだけの場所でいいのか? 今の時代に必要なリーダーシップは?
ヨーロッパにもおもしろい専門家がたくさんいますし、労働問題に関する専門機関の本部は私のふるさとのスイスにあるので、取材してみたいですね。
サイボウズ式を立ち上げたときのように、僕たち自身もさまざまな社会課題に触れ、悩みながら進んでいく姿を見せていきたい。めちゃくちゃ気合いが入ってます!
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1983年、石川県金沢市生まれ。求人広告代理店、編集プロダクションを経て2015年よりフリーランス。個人の働き方やキャリア形成、教育、企業の採用コンテンツなど、いろいろなテーマで執筆中。
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1992年生まれ、京都出身、東京在住。 大学時代に本屋で働いた経験から、文章に関わる仕事がしたいと編集者を目指すように。2015年サイボウズへ新卒で入社。製品プロモーション、サイボウズ式編集部での経験を経て、2020年フリーランスへ。現在は、ウェブや紙など媒体を問わず、編集者・ライターとして活動をしている。
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