サイボウズ株式会社

時間と場所の制約がなくなったいま「どう働きたいか」を見直す機会。ボクらはわがままになっていい

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 地方で働くことに興味があるビジネスパーソン
  • 在宅勤務やテレワークに関心がある人
  • 都会から地方への移住を検討している人
  • 働き方改革に興味がある社会人
  • 地方での事業に関心がある企業関係者
Point この記事を読んで得られる知識

この記事から得られる知識は、在宅勤務やテレワークという働き方が、コロナ禍を背景に急速に普及したことで、働く場所や時間の選択肢が広がり、従来の働き方に変革がもたらされているという点である。特に、地方での仕事のスピード感が増し、都市部に依存しない働き方が可能になりつつある状況が描かれています。

また、テレワークによって地方への移住の関心が高まっていることや、地方での複業の可能性についても議論されており、これにより人材不足や地域衰退の解決策の一つとして見られています。さらに、テレワークを通じてストレスの軽減やワーク・ライフの融合の新たな可能性が示されていて、従来のライフスタイルに変化をもたらす要因となっています。

この記事は、テレワークの普及が働き方や社会に与える影響についての多様な視点を提供し、読者に自分の働き方を再考する機会を与えます。

Text AI要約の元文章
働き方・生き方

長くはたらく、地方で

時間と場所の制約がなくなったいま「どう働きたいか」を見直す機会。ボクらはわがままになっていい

地方でNPO法人を運営しながら、サイボウズで副(複)業している竹内義晴が、実践者の目線で語る本シリーズ。今回のテーマは、在宅勤務・テレワークの広がりで変化していくであろう「これからの働き方」。

いままで、在宅勤務やテレワークといえば、介護や何らかの事情で「遠方で働かなければならない人」や、一部の「会社が推進している人」、あるいは「自分らしくはたらこう」などといった、ある意味「特別な人」の働き方だった。

一方、コロナ禍の広がりで在宅勤務やテレワークが広がり、「オフィスでなくても仕事ができる」ことを多くの人が体験した。

テレワークにより、働く場所や時間の制約がなくなる。「どこでも働ける」となると、東京一極集中や地方の衰退など、日本が抱える問題に何らかのインパクトがあるかもしれない。

そこで、地方で3年間、在宅勤務、テレワーク、複業をしてきた経験から、これからの働き方や社会の変化について考えてみた。

場所に関わらず仕事のスピード感が早くなる

わたしは新潟を軸に、サイボウズで働いている。もともと在宅勤務・テレワークだったため、コロナ禍で「働き方が変わったか?」と言われると、個人的にはあまり変わっていない。

だが、周囲がテレワークに慣れることによって、仕事のやり方がずいぶん変わった。もっとも変わったと感じるのは、都市部で働く人たちとの「仕事のスピード感」だ。

たとえば、わたしはサイボウズ以外に、新潟でNPO法人を経営している。いままで、都市部の企業からホームページなどから問い合わせがあると、決まって、次のような話になる。

「お打ち合わせをさせていただきたいのですが、次回、東京にいらっしゃる機会はありますか?」

地方にいる側としては、「たまには、新潟に来てくれたらうれしいのにな」と思わなくもないのだが、スケジュールを調整し、旅費交通費を使って東京に行くのが通例だった。

だが、最近は「オンラインでミーティングさせていただくことはできますか?」に変わってきて、スケジュール調整も「なんなら、いまからでも」といったケースもあり、仕事のスピード感が各段に速くなった

「テレワークの”場所や時間の制約がなくなる”というのは、こういうことだったんだ」と、改めて実感している。

この変化は、地方でも起こっている。

いままで、同じ地域の関係者と打ち合わせをするとき、「会ってナンボ」みたいなところがあった。新潟では「オンライン会議」などと口にしようものなら、「ここは地方ですよ。テレワークなんて、都市部の人がするものでしょ?」と言われるのが怖くて、いままで、親しい人以外には、一度たりとも提案したことはなかった。

だが、最近は地方でも、「ミーティングはオンラインでいいですか?」といった声が先方からあがることも多く、「地方で、しかも短期間に、これだけ変わるとは思わなかったなぁ」というのが実感。これは大きな変化である。

東京一極集中の流れが変わる

最近、「地方への移住希望者が増えている」との記事を目にすることが増えた

  • 「人生観変わった」テレワークきっかけに地方移住 高まる関心、人気の土地は(毎日新聞)
  • 高くて狭い都心、テレワーク時代も住む? 進む地方移住(朝日新聞)
  • 東京→九州、広がる「コロナ移住」 オフィス移転も(日本経済新聞)

なんでも、テレワークによって「会社でなくても働ける」ことが分かった人たちが、「これなら、地方でも働けるのではないか」と、地方への移住に関心が集まっているらしい。

移住で、もっとも高いハードルの1つが仕事だ(どんなに理想的な環境でも、収入がなければ不安ですからね)。だが、いまの仕事を地方で継続できるなら、移住のハードルはさがる。

また、あまり大きな声では言わないが、金銭的な面を考えたとき、実は「給与は東京の会社で。生活は地方で」という働き方は、コスパがもっとも高い。

さらに、在宅勤務をするなら、空間に限りがある東京のマンションよりも、地方の戸建てのほうが住環境は恵まれているし、テレワーク用の仕事部屋も確保しやすい。

だからといって、実際のところは、すぐに移住にはならないとは思うけれども(会社や家族の理解は必要ですからね)、「これなら、地方でも働けるのでは?」という可能性を感じる人が増えたのは、いままでなかった変化だ。

ひょっとしたら今後、東京一極集中の流れが変わるかもしれない

若い人たちの「就職スタイル」が変わる

テレワークがもう少し進むと、若い人たちの「就職スタイル」が変わるのではないかと、期待を寄せている。

いままでの就職といえば、なにか、やりたいことがあったら「ふるさとを離れて、東京(都市部)へ行く」だった。都市部のほうが選択肢がたくさんあるし、やりたいことにもつながりやすい。

それゆえ、地方の学生は大学を選ぶときから、「地元には行きたい学校がないから、東京へ行くよ」というのが当たり前だったし、親もつい「こんな田舎じゃ仕事がないから、家を出て東京に行きなさい」なんて言ってしまうことが少なくなかった。

でも、もし子どもが、地元のことが大好きだったら、こんな風に言われたら酷だよね。親だって、本音では「身近にいてくれたらうれしいな」と思っている。でも、子どもの未来を思うと、つい、本音とは違う言葉が出てきてしまう。

だけど、「田舎に仕事はない」は、事実と言えば事実。その結果、地方から若者がどんどん出ていき、東京一極集中に拍車がかかっていたのだ。

だが、これからは「地元や地方で、在宅勤務するのが前提」とか、仮に、一度は都市部に出たとしても、「将来的に、地元で在宅勤務するのが前提」のような形で、就職先を選ぶ若者が増えてもいいのではないか

もちろん、経験を積むことは大切だから、一時は実家を離れて、独り立ちして、東京をはじめ都市部で働くのは悪いことではない。というか、いい経験にもなる。

でも、「テレワークなら、地元で働くのが可能かも?」なのと、一度、都市部に出たら「地元を捨てなければいけない」のとでは、気持ちのありように大きな違いがあるのではないか。

近い将来、テレワークができない会社は、若者から選ばれない日が来るかもしれない。

「地方で複業」する人が増える

わたしは、新潟を軸に東京のサイボウズで複業しているのだが、働きだしてすぐに、「もし、ボクの逆をする人が増えたら――つまり、都市部の人が地方の企業で複業することができたら――地方が抱える人材不足や地域衰退の課題が解決できるのではないか?」と考えてきた。「地方×複業は、地方を救う画期的なアイデアだ!」と思った。

2018年6月 7日地方移住はハードルが高い。都心で働く人には「地方複業」がベストではないか

2019年8月 8日否定的な意見が多かった「地方で複業」。だが、潮目は変わった

だが、これを実現するためにはハードルもあった。もっとも高いのは、地方企業の「意識のハードル」だ。「都市部の人材が、地方の企業に関心があるのか?」とか、「テレワーク&複業なんて半端な形で、ちゃんと仕事になるのか?」とか。

でも、今回のコロナ禍によって、地方にもテレワーク……とまではいかなくとも、「オンライン会議を体験した」とか、「オンラインイベントに参加した」といった人は、以前と比較すれば確実に増えたのではないか。

その結果、テレワークに対する「意識のハードル」はさがったのではないかと思っている。

もちろん、「地方で複業」を実現するためには、地方企業の仕事を切り出したり、都市部人材とマッチングしたりと、もうしばらくは、時間が掛かるだろう。

2019年6月 6日「地方は仕事がない」は幻想でしかない――ひとりの力が地域に与える「複業×二拠点生活」の影響力

だが、人手不足で悩む地方の企業にとっても、都市部での経験を地元や地域に還元したい、関係を持ちたいと思っている都市部の人にとっても、両者にとってWin-Winの「地方で複業」は、かならず役立つ仕組み、必要になる仕組みだと思っている。

近い将来、この仕組みづくりに関わってみたい。

「ストレスとのかかわり方」が変わる

悪い人間関係や長時間労働をはじめ、過度なストレスを抱えているビジネスパーソンは少なくない。実際、メンタルヘルスは社会問題にもなっており、2015年12月より、50名以上の会社でストレスチェックが義務化されている。

いままでの「ストレス対策」といえば、ストレスチェックをして、問題があれば医療機関を受診……という流れだった。

だが、休職して、薬を飲みながらアパートで一人過ごす生活では、ますます不調になってしまう……わけではないかもしれないが、復職などを考えると不安だ。

そこで、もし地方でテレワークができたとしたら、いままでにないストレスとのかかわり方ができるのではないか

まず、職場と離れた環境でテレワークをすると、人間関係を切り離すことができる。人間関係がストレスに与える影響は大きいから、その関係を切り離すだけでストレスが軽減できる。実際、今回の自粛期間中に、在宅勤務をすることでストレスが軽減した人も多かったんじゃない?

また、一旦休職してしまうと、復職には時間を要するが、テレワークで仕事が継続できれば、将来に対する不安が少なくなる。

さらに、わたしは新潟の自宅で、米や野菜を作っているのだが、経験則として、農作業はストレス改善にかなりよい。「種をまく」「雑草をむしる」などの単調作業は無心になれるし、植物の成長に自分を重ねて「大切なのは、先急ぐことではないな」などと考えることもある。

いずれ、新潟の自然を生かすような、いままでになかったストレス改善プログラムが作れたらいいなと思っている。

仕事とプライベートが融合する

令和2年度に入り、地方公共団体・事業者向け支援事業として、政府がワーケーションの推進を支援しはじめた。

ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、「仕事をしながら、休暇も楽しむ」とする働き方として、地方自治体まわりで注目を集めている。令和元年末には、全国65の自治体で「ワーケーション自治体協議会(ワーケーション・アライアンス・ジャパン)」が設立された。

「仕事をしながら、休暇も楽しむ」とする働き方自体、まだ、その定義がなんとなくふわふわしているし、「旅をしながら働くなんて、特別な人しかできないんじゃないの?」「旅先でPCを広げて仕事をするのと何が違うの?」という疑問もなくはない。

だが、在宅勤務やテレワークを経験することで、仕事の時間と場所に制約がないこと知ってみると、「そういうのも、アリかもな」と、なんとなく思うようになってきた。

たとえば、盆暮れ正月に実家に帰省したとき、いままでなら交通渋滞に巻き込まれながらも、出社に合わせて帰宅しなければならなかった。だが、もう少し実家にとどまってワーケーションができれば、仕事も出来るし、親も喜ぶし、子どもも喜ぶし、渋滞に巻き込まれずゆっくり戻ってこれるしで、みんながハッピーになれる。

また、子どもが春休みのとき、多くの親は仕事だから、家族をどこにも連れていくことができないが、もし、ワーケーションができれば、仕事もできるし、家族も喜ぶしで、これまた、みんながハッピーになれる。

このように、ワーケーションが進むと、仕事とプライベートの区別がゆるくなり、融合していくような感じになっていくのだろうなぁ。

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がある。ご存じの通り「仕事とプライベートはバランスをとりましょうね」というやつだ。これは、オフィスと家庭が分かれているから、「バランスをとりましょうね」になるのだと思う。

だが、本来、ワークとライフは「仕事と家庭、どっちが大事なの?」と問いただすものではなく、「両方大事」だ。それならば、「どっちか」で選んだり、バランスを取ったりするよりも、両方、いい塩梅でうまくやりくりすることが大切なのではないか。

そもそも、「ライフの中に、ワークや家族との時間がある」のだから。

今後は、仕事とプライベートの「バランスをとる」というよりは、うまく「融合していく」といいのだろうなぁ。

仕事のやり方が変わると、社会が変わる

ここまで、在宅勤務やテレワークが広がることによる、働き方や社会の影響について見てきた。

ここに書いたのは、いま、変化の途中のものもあるし、正直なところ、まだ夢物語なものもある。描いたものが、すべてこの通りになるわけではないだろう。

だが、コロナ禍が広がる前、在宅勤務やテレワークがここまで広がるとは誰もが想像できなかったように、未来がどうなるかは、誰にも予測できない。変化が激しい近年は、特に。

それならば、そのときどきで「この問題は、どうすれば改善できるかな?」「どうすれば、もっとよくなるかな?」という問いを自分自身で立てて、いま、できることをやっていくこと――それが、目の前の現状をよりよくしていくコツなのかもしれない。

その先に、100人100通りの働きやすさ、仕事の楽しさがあるんじゃないかなぁ。ボクたちは、もっとわがままでいいんですよ。

そういう意味では、今回のコロナ禍は一見すると、わたしたちにネガティブな影響を及ぼしたように見えて、見方を変えると、実は、わたしたち一人ひとりが「どんなふうに働きたいか」を改めて考えるタイミングなのではないか。

これを機会と捉えて取り組んでいけば、ボクらの未来は可能性に満ちあふれているのではないか……と、個人的には思っている。

執筆・竹内義晴/イラスト・マツナガエイコ

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執筆

編集部

竹内 義晴

サイボウズ式編集部員。マーケティング本部 ブランディング部/ソーシャルデザインラボ所属。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。

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撮影・イラスト

イラストレーター

松永 映子

イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。

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