サイボウズ株式会社

「マジョリティ VS マイノリティ」ではなく「課題 VS わたしたち」組織内のD&I実現に向けて──メルカリ寶納×サイボウズ中根

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 中小企業経営者
  • 人事担当者
  • D&I推進に興味のあるビジネスパーソン
  • グローバル企業で働く社員
  • 組織改革を考えるビジネスリーダー
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むことで、読者は企業内におけるD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進の重要性や具体的な取り組みについて知識を得ることができます。特に、メルカリとサイボウズといった企業の事例から、多様な背景を持つメンバーが快適かつ能力を発揮できる環境を整えることが、組織の成長や経営にどのように影響を与えるかを学べます。

メルカリでは、D&I専任チームを通じて言語や文化の違いを考慮したコミュニケーション施策を進めており、D&Iを如何に全社的なコンセプトとして浸透させていくかという実践的な方法についても詳しく紹介されています。中根氏と寶納氏の対談では、D&Iを「マジョリティ VS マイノリティ」ではなく「課題 VS わたしたち」と捉え直し、組織全体で課題解決に取り組む重要性が語られています。

記事では、D&Iがもたらす経済的なメリットを経営者にどう伝えるかや、組織文化としてD&I推進が自然な形で組み込まれるためのヒントも得ることができます。また、この取り組みが単なる社内の課題解決に留まらず、社会全体にもインパクトを与える未来への投資であるという視点も提供されています。さらに、D&Iの概念を広く組織内の誰もが取り組むべきものとして位置づけることの重要性についても考えを深めるきっかけを与えてくれます。

Text AI要約の元文章
カイシャ・組織

「マジョリティ VS マイノリティ」ではなく「課題 VS わたしたち」組織内のD&I実現に向けて──メルカリ寶納×サイボウズ中根

近年、グローバル化が進んだことにより取り組み始めた企業も多い「D&I(ダイバーシティアンドインクルージョン)」。 人種や国籍、言語など多様なバックグラウンドを持つメンバーがそれぞれの能力や個性を発揮し、心地よく過ごすための施策(および、その概念)を指します。

国内外問わず、多様なメンバーが集まる株式会社メルカリでは、2019年よりD&Iチームを発足。全社を挙げて、さまざまな施策を打ってきました。 同じくサイボウズでも、社内のD&Iを促進するためのチームやプロジェクトが近年立ち上げられています。

今回はD&Iの取り組みや課題について、メルカリでD&I施策をリードするPeople Development Teamのマネージャーを務める寶納弘奈(ほうのう・ひろな)さんに、サイボウズの人事本部長・中根弓佳がお話を伺います。

「D&I」という言葉がない状態が理想。コンセプトの言語化は課題を認識するために必要なプロセス

中根
サイボウズでは、それぞれのメンバーが心地よく過ごせるよう、これまで働き方改革に力を入れてきました。一方で、D&Iに関する動きはまだまだできることが残っています。

同じく多様なメンバーが所属するメルカリさんは、社内のD&I推進のためにさまざまな取り組みを行なっていると伺っております。本日は、そんなメルカリさんに、社内でのD&I推進についていろいろとお話しできれば。

さっそくですが、メルカリがD&Iの取り組みを始めたきっかけは何だったんでしょう?
寶納
わたしが入社した2018年当時、メルカリも言語や宗教などグローバル化が進んだ企業が抱えがちなダイバーシティに関する課題に直面していました。しかし、会社全体としてD&Iの視点を持ち、課題に取り組む体制ではなかったんです。

これだけスケールしている会社でD&Iを専門にするチームがないのは、今後の経営や組織成長に大きく関わるはず……。

そう思い、わたしから「D&Iチームを作りませんか?」と当時「ダイバーシティ部*」として活躍していたメンバーたちに働きかけ、共に組織横断型のプロジェクトチームとして走り出しました。

*メルカリではコミュニケーション施策のひとつとして「社内部活動」があります。社内には有志で設立されたさまざまな部活が存在します。

寶納弘奈(ほうのう・ひろな)さん。People Development Teamマネージャー。異文化コミュニケーショントレーナー。大学院在学中から教育非営利団体VIAでプログラムディレクターを務め、卒業後、カリフォルニア州立大学バークレー校でIntercultural Training Specialistに。帰国後、大手IT企業のグローバル研修の企画運営に携わり、2018年5月にメルカリに参画。2020年12月より現職。SIT Graduate Institute(異文化サービス・リーダーシップ・マネジメント修士)。ティラミス部・桜餅部部長

中根
なるほど。寶納さんが異文化コミュニケーションを専攻していたからこそ、課題に気づけたというのもありそうですね。
寶納
そうかもしれません。これまでのわたしの経験を生かすことで、組織の中で多様なバックグラウンドを持つ人たちとのコミュニケーションをスムーズにし、共存を促すお手伝いができる、と感じました。

その後、経営陣からも承諾とサポートを得て、2019年2月にD&I専任チームが誕生し、いまに至ります。
中根
D&Iチームとして、どんな取り組みをしているのでしょうか?
寶納
まずはメルカリという企業においてのD&Iを定義した上で、これから目指す姿について言語化しました。そして、それが組織の共通認識となるようにチームで推進したんです。
  • あらゆるバックグラウンドを持つメンバーにフェアなチャンスを提供する
  • 多様なメンバーがポテンシャルを発揮し成長するための、学びの文化を創造する
  • 誰もが心地よく帰属意識を持ちながら働けるように、信頼し合える組織を整える
メルカリでは、D&Iに対する想いを「ステートメント」という形で発表。「組織としてメンバーの多様性を包括し、それぞれがベストを尽くせる環境をつくろう」という思いが、ステートメントに表れている
中根
言語化して、初めて見えてくる課題もありますよね。わたし自身「女性役員」として働いていますが、「女性活躍を推進しましょう」と話すのは正直違和感があるんです。一方で、そうしてカテゴライズすることで、初めて認識できる課題もある。

でも、本当は「D&I」という言葉・概念が必要ないほど、当たり前に組織の中で多様性が認められる状態が理想じゃないかな、と。

性別や言語といった表面的な要素で人をカテゴライズするのではなく、各個人の内面にある多様性に着目できるような世界になればいいなって。

中根弓佳(なかね・ゆみか)。サイボウズ執行役員、人事本部長 兼 法務統制本部長。慶應義塾大学 法学部法律学科を卒業し、関西の主要電力会社に入社。2001年にサイボウズに入社し、法務部門を立ち上げ、知的財産法や契約交渉、M&Aなどに幅広く携わる。その後、サイボウズの採用方針を含む人事戦略を手掛ける

寶納
それは私も共感します! とは言うものの、D&Iの課題は人やチーム、組織によっても異なるんですよね。

だからこそ、最終的に「D&I」という言葉がなくなることを理想としつつ、まずはメルカリにとってのD&Iのコンセプトを言語化し、共通認識を作り出すことが大切だと思ったんです。

メルカリD&Iチームに3つあるコミュニティの1つ「Pride@Mercari」。LGBT+コミュニティとアライを支援すべく、ワークショップなどを実施している。写真は2019年度に開催した際のもの

多文化・多言語間の理解促進を進めるコミュニティ「Multicultural@Mercari」。ムスリムの社員によるラマダン・セミナーの様子。写真は2019年度に開催した際のもの

女性のメンバーが、より自分らしく活躍できる環境や機会をつくるためのコミュニティ「Women@Mercari」。Twitter Japan、Facebook Japan、メルカリ、Google合同会社の4社共同での「Connected Women Tokyo」ローンチイベントの様子。写真は2019年度に開催した際のもの

中根
D&Iを共通認識として推進するほか、メルカリではどのようなことを行っているのでしょうか?
寶納
社内にどんなD&Iの課題があるかを探る活動をしています。たとえば、昇進や登用の制度がフェアにできているのか、メンバー間のコミュニケーションが包括的にできているのかなど。

これは1対1の関係性はもちろん、チーム全体にも当てはまります。母国語が違うチームメンバーがいるのであれば、チーム内における言語がどれだけインクルーシブ(全員が理解できる状態)なのかを調べたり、それをどうデータ化するかを検証したりしているチームもあります。
中根
D&Iチームはどのように各チームと関わって、調査やニーズの発掘をしているんですか?
寶納
各部署を担当するHRBP(ヒューマンリソースビジネスパートナー)と連携しているほか、各チームの課題をエンプロイーエンゲージメントサーベイ*から抽出した結果に基づいて、取り組むべきことを一緒にディスカッションしています。

また、さまざまな部署にいるD&Iコミュニティメンバーからの情報を活用したり、経営陣に直接ヒアリングすることもあります。

*従業員と企業間のエンゲージメント(心的なつながり)の状態を数値化し、現状を把握する社内調査のこと

中根
なるほど。D&Iチームから解決策を提案するのではなく、すでに各チームが直面している課題に対して、解決に向かうお手伝いをしている、と。
寶納
そうですね。D&Iには課題解決の特効薬はないので。それぞれの部門やチームが抱えている課題の中で、「D&Iの観点から分析すると、ここが問題点じゃないですか?」といったアプローチを心がけています。

正直、お金や時間を割いてまでD&Iを進める必要ってあるんですか?

中根
「お金や時間を割いてまで、D&Iを進める必要あるの?」と疑問に思う人はいると思います。

そういう人たちにD&Iの重要性を理解してもらうには、どうすればいいのでしょうか?
寶納
それは企業のD&I担当者がもっとも苦労するポイントですよね。わたしは感情的に訴えるのではなく、経営目線でどんなメリットがあるのか、他社の事例などのエビデンスを用いてお話しすることが大切だと思っています。

米国では昨年の夏、SEC(米国証券取引委員会)が上場企業に対して、人的資本の情報開示の義務付けを発表しました。
中根
ふむふむ。
寶納
日本ではまだ義務化までは進んでいませんが、株主のみなさんは企業が推進するSDGsや環境施策に注目されていますよね。

その流れで、今後は事業の収益性や自然環境への配慮だけではなく、社員を取り巻く環境や、組織文化も、社会に影響をもたらす指標として注目されていくのではないでしょうか。その意味で、D&Iへの取り組みが必須になるのは時間の問題だと思います。

ですので、「D&Iへの取り組みは社外のサポーターの方たちから信用を得るためにも必要な視点であり、未来への投資である」とお伝えするようにしています。
中根
それは説得力がありますね。実はサイボウズでも、D&Iを推進するチームのひとつである「グローバルコミュニケーションチーム」を半年前に発足したんです。

社内で調査を進めるうちに、いままで見えていなかった、あるいは、見ないようにしていた課題に気づかされています。
寶納
たとえば、どんな課題がありましたか?
中根
いくつかありますが、ひとつは「言語を問わず、伝わるコミュニケーションができていなかった」という課題です。

最初は、日本語・英語スピーカー間の言語の課題があると思っていたのですが、調べていくうちにどうやら言語だけの問題じゃなくて……。

そもそも日本語でも伝わりにくい表現を使っていて、日本人同士でも正確なコミュニケーションが取れていないこともあると気づいたんです。
寶納
言語だけではない問題にも気づかされますよね。

メルカリでは、日本語が母国語じゃない人ともきちんとコミュニケーションが取れるように、慣用句的な表現を使わない、二重否定を使わないという「やさしい日本語」、そして英語バージョンの「やさしい英語」の使用を推進しています。

メルカリで実施している「やさしいコミュニケーション」資料より

中根
言語面での当たり前を因数分解して、伝えることへの感度を上げることは大事だなって痛感しています。
寶納
まずはそこですよね。そもそもコミュニケーションの癖とか好みって一人ひとり違う。だからこそ、それぞれに合わせたコミュニケーションの形を模索していかなければなりません。

「マジョリティ VS マイノリティ」ではなく「課題 VS わたしたち」

中根
これまで見えていなかった課題に気づけるようになったのも、D&Iという共通認識が組織に浸透したからこそですよね。

とは言っても、まだまだ「マジョリティ」と呼ばれる人たちは、「マイノリティ」と呼ばれる人たちにどんな情報が伝わっていないのかがわからず、課題そのものに気づけないこともある。

その結果、マイノリティの人たちは「わたしたちは包括されていない」と疎外感を覚える。
寶納
そもそも、社会構造としてマイノリティの人たちは声を上げづらく、マジョリティの人たちのほうが権力を持ちやすくなっているんですよね。

マイノリティの人たちの多くは、既存の組織文化と異なる意見や要望を伝えたら、人間関係や評価に影響するのではないかと考えてしまうので。

もちろん、歩み寄りや対話をする責任は双方にありますが、構造的に権力を持ちやすいマジョリティの人たちは、より敏感に課題に気づかなくてはいけないと思います。
中根
とはいえ、マジョリティだからこそ気づきにくいことも多いのではないでしょうか。D&Iチームとしては、双方の歩み寄りを促すために、どんな働きかけを行なっていますか?
寶納
それは大いにあると思います。そんな時は、「マジョリティ VS マイノリティ」ではなく「課題 VS わたしたち」という向き合い方に転換するよう働きかけています。

たとえば、D&I的に見てAという課題を解決したいとします。このとき、「権力を持っているあなたの行為によって、わたしはこんなに傷つきました」という対立の構造にするのではなく、「このAという事象に対してわたしたちはそれぞれの課題を抱えています。だったら、課題 VS わたしたちですよね」という方向性で話すよう心がけています。
中根
確かに「課題 VS わたしたち」という話の進め方なら、いっしょに解決していこうと思えそうです。
寶納
もうひとつ、いまの会話の中では「権力」と言いましたが、普段の会話の中でそういった言葉は使いません。相手の罪悪感を駆り立てるような言葉を使えば、一気に相手から敵対視されてしまうからです。
中根
なるほど。罪悪感で動いてもらいたいわけではないですからね。
寶納
そうなんです。そもそもD&Iの課題への感度は、個人の性格もありますが、時代やそれまでの会社の風土によるところが大きいものです。

もしわたしが60歳の男性で、日本の大企業の社長だったら、いまみたいにD&Iの課題に細かく気づけなかったかもしれません。


そのため、個人を責めるのではなく、「この状況が問題なら、一緒に解決したいですよね」というアライシップ*のアプローチをしたいと思っています。これは「無責(誰のせいにもしない)」の状態にするイメージで、難しいんですけどね。

*英語で同盟や連携を意味する「Allicance」から来ている言葉で、マイノリティを取り巻く課題を理解し支援するスタンスのこと

多くの人にとって障害となっている事柄は個人の問題ではなく、組織や構造的な問題の可能性が高い

中根
パーソナルな話題になると感情的になってしまうこともありますが、立場を外に置いて問題を俯瞰する姿勢は有効ですね。それぞれの価値観が悪いわけではないですし。

その上で、おたがいを理解するよう意識し、課題解決のために知恵を出し合い、いっしょに価値観をアップデートしていく姿勢が大切だと思います。

でも、それはメンバー同士の信頼関係が築けていることが前提になりそう。
寶納
おっしゃるとおり、D&Iはメンバー間の信頼関係がとても大切です。関係性が築けて初めて「ここを直してほしい」「こんな不満がある」と話しづらいことも話せるようになりますので。

メルカリには、「Trust & Openness」というカルチャーがあります。相互の信頼関係を大切にし、その信頼を前提に、社内情報の透明性とフラットな組織構築を目指しています。

こうしたカルチャーが根付いていることで、誰もが発言しやすくなっています。
中根
サイボウズで大切にしている「公明正大」や「自立と議論」の文化と似ていますね。信頼関係を築くための環境づくりを会社として行なうのは大切だと思います。
寶納
もちろん、正直に話すこと自体がリスクになってしまうこともあるので、必ずしもさらけ出さないといけない訳ではないです。そこは先ほども述べたとおり、特にマジョリティ側がセンシティブになる必要があると思います。
中根
それもありますよね。あとは、たとえ信頼関係ができていても、当事者からするとD&Iの問題なのか、それとも個人の問題なのかわからないために、声を上げられないこともある。

女性であるわたしも、男性社員から「そんな問題意識があったなら言ってくれればよかったのに。自分でガラスの天井を作っているよ」と言われたことがあります。そういう場合、どんな基準でD&Iの問題だと判断し、対処されますか?
寶納
D&Iの問題か、個人の問題かというのは、結局相手としっかり話してみないとわからないですね。

もしコミュニケーション不和を感じたら、「どうして違和感を覚えるのか」をまず相手にお伝えする。逆に、相手が違和感を伝えにきてくれたら、しっかり耳を傾けることが大事かなと思います。

国籍や人種などでカテゴライズして接してしまうと新たなバイアスを生んでしまうので、基本的にはケースバイケースで考えるようにしています。

一方で、多くの人にとって障害となっている事柄であれば、それは個人の問題ではなく、組織や構造的な問題の可能性が高いです。その判断基準を明確にしておくことはとても大事だと思います。
中根
ケースバイケースということですが、見分ける時はD&Iの専門知識を持った人が対応したほうがいいのでしょうか?
寶納
会社にD&Iの専門家がいるほうがいいかは、会社のフェーズやニーズによるかなと思います。

メルカリでも専門知識を持ったメンバーがサポートし合いながら、無意識バイアスのトレーニングやコミュニケーション関連の研修を行なっていますが、運営メンバー全員が最初から専門家だったというわけではありません。

専門知識を持っている人とそうでない人が協力し合えば、問題なく補えるのではないかと思います。

「堅苦しくて真面目な人たち」だけではなく、一人ひとりが何かしらの形で関わっていけるのがD&I

中根
D&I専任者だけが推進するのではなく、みんなでD&Iに取り組もうということですね。
寶納
まさにおっしゃる通りです。実際に社内では、多くのメンバーの辞書に「D&I」という言葉が加わり、D&Iに関する課題を認識する場面が増えてきました。そうして、みんなでD&Iに取り組むことで、課題解決が進むと思います。

最後に少し私の想いを話しても良いでしょうか? 「D&Iは時間と労力がかかるのでやりたくない」という話はよく聞きますが、わたしはそうは思いません。

なぜなら、D&Iという考え方自体が、公民権運動、市民権運動、平和教育、人権教育など、長い歴史の中で人々が不平等と闘い、醸成されてきたコンセプトだからです。
中根
なるほど、D&Iについて考えるときは、未来への投資という観点だけでなく、これまでの歴史の積み重ねを含めた全体像を見ることが重要なんですね。
寶納
その通りです。現時点だけ見れば、D&Iの取り組みはコストがかかるものだと感じるかもしれません。しかし過去を振り返って考えてみれば、多くの人たちが苦労しながら築いてきた人権意識などの基盤がある。そのおかげで、膨大な労力を割かずに、わたしたちはここまでD&Iについて考えられるようになった。

ある意味、先人たちのおかげで近道できているようなものです。こんなラッキーなことはないと思います。
中根
先人たちが積み重ねてくれた歴史の上に、いまのD&Iがある、と。
寶納
「D&I」と言うと、堅苦しくて真面目な人たちがやっている活動と思われがちですが、わたしは「みんなでやったらいいじゃん」って思います。

たとえば、バス車内で隣の席の人がうずくまっていたら助けるじゃないですか。そのくらい当たり前に、「この人が心地よく過ごすためにはどうするべきか」というD&Iの視点を持って、日常生活を過ごせるようになればいいな、と。
中根
確かにD&Iは、「堅苦しい」とか「大層な取り組み」というイメージを持っている人は多そうです。

一方で、近くに困っている人がいたら助ける、といったように、無意識の間にD&Iの視点を持って過ごしている人もたくさんいると思います。
寶納
D&Iを推進してない会社で働いていたとしても、家庭でD&Iのコンセプトやスピリットを伝えることもできるし、ローカルコミュニティで活動をすることもできる。一人ひとりが何かしらの形で関わっていけるのがD&Iかなって。

組織に所属しているからD&Iを進めるというよりは、みんなで一緒にやっていく。そのほうが社会全体がよりよい方向に進んでいくと思っています。
企画:鮫島みな/執筆:中森りほ/編集:野阪拓海(ノオト)/撮影:栃久保誠
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執筆

ライター

中森りほ

旅が大好きな東京在住のフリーライター&編集者。生き方・働き方系を考えるインタビュー、グルメ、旅、温泉、カルチャー系が好きです。

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撮影・イラスト

写真家

栃久保 誠

フリーランスフォトグラファー。人を撮ることを得意とし様々なジャンルの撮影、映像制作に携わる。旅好き。

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編集

ライター

野阪 拓海

コンテンツメーカー・有限会社ノオトのライター、編集者。担当ジャンルは教育、多様性など。

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