サイボウズ株式会社

「コメントを深読みしてしまう」「テキストに思いを上手く乗せられない」――サイボウズ社員がテレワークの悩みを打ち明けてみた

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 企業内でリモートワークを行っている従業員
  • 新入社員やテキストコミュニケーションに悩んでいる人
  • サイボウズの企業文化に興味がある人
  • テキストベースでのコミュニケーションに困難を感じているビジネスパーソン
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むことで、読者はテレワーク下でのテキストコミュニケーションにおける一般的な課題と、その対処法についての具体的な考察を得ることができる。サイボウズではコロナ禍以前から情報のオープン化を推進しており、社内でのテキストコミュニケーションは非常に活発である。しかし、そのオープンな環境が故に心理的な負担や発言へのプレッシャーを感じる社員も少なくない。

新入社員の佐藤さんをはじめ、他の社員たちは深読みしすぎたり、テキストを使ったコミュニケーションで相手の意図を読み取るのが難しいと感じるなどの悩みを共有している。特に、コミュニケーションの速さや発言の公開性が負担となり、劣等感を抱くこともある。

これに対し、記事ではチーム全体で働きやすい環境を模索することが重要であると示されている。具体的には、テキストでは伝えにくい場合にはZoomなどのビデオツールで補うこと、初めは対面で会話する機会を設けること、またはチーム内で個別の相談スペースを使うことなどが有効とされている。さらに、個々の「弱さ」を理解し、チームで補い合っていくことの重要性も強調されている。

Text AI要約の元文章
サイボウズ

サイボウズのつくりかた

「コメントを深読みしてしまう」「テキストに思いを上手く乗せられない」――サイボウズ社員がテレワークの悩みを打ち明けてみた

テレワークの実施に伴い、テキストベースで仕事を進めている人も少なくないでしょう。

一般に「テレワーク下ではコミュニケーションが減る」と言われますが、サイボウズではチャットの書き込み量が5倍になったというデータがあります

そんなサイボウズですが、中にはテキストでのコミュニケーションに悩んだり、負担を感じたりしている人もいます。

そこで今回は、コロナ禍にオンライン入社を体験した新入社員の佐藤さん(仮名)による相談企画が始動。「テキストコミュニケーション」に悩みを抱えるサイボウズ社員3名で、普段の困り事や苦手な理由、対処法などを考えました。

議論をするうちに見えてきたのは、「苦手」をひとつの個性として捉え、働きやすい環境をチームで模索することの大切さでした。

相手の文章を深読みして、返信に数日悩むことも

佐藤
サイボウズでは、仕事上のやりとりはテキストベースで進めていて、kintone上では日々活発に議論が行われています。

でも、個人的にはそこにすごく悩んでいて。極端な話、「わたしはサイボウズに入ってよかったのだろうか……」と考えるくらいなんです。
林田
けっこう思い詰めてるね……! どうして、そう考えるようになったの?
佐藤
サイボウズには「自立と議論」「公明正大」というカルチャーがあり、多くの情報がオープンになっています。

それもあって、発信上手なメンバーも多いですし、積極的に意見を出す新人もいて、すごいなって思うんです。

でも自分は、そのオープン“過ぎる”カルチャーのなかで葛藤を抱えていて、やりづらさを感じている。

それで、わたしはサイボウズのカルチャーにマッチしていないんじゃないか、と入社早々ぐるぐる考えてしまって……。
大畑
自分もテキストコミュニケーションには悩んでいるので、とても共感できます。

そもそも僕たち新卒社員は、社会人として働くこと自体が初めての経験。その上、始めからテレワークで、ほとんどのメンバーと直接会ったこともない。

そうした慣れない環境に戸惑いを感じるのは、仕方ないことなのかも。

大畑 拓己(おおはた・たくみ)。2021年の新卒としてサイボウズに入社。開発本部に所属し、Garoon開発チームの仕事を行なっている。入社してすぐにサイボウズ社員の発信量の多さに驚いた

林田
そもそも、サイボウズはコロナ禍前から情報量が多いんですよね。わたしも中途入社した2018年当時は、日々情報を追うことに精一杯でした。

いまはそうした仕事の進め方には慣れてきましたが、テキストコミュニケーション自体はまだまだ手探り。

だからこそ、同じように悩んでいる新人メンバーが心配で。以前、佐藤さんに「わたしもテキストコミュニケーションに悩んでいるよ」と声をかけたのも、そういう気持ちからでした。

林田 恵美(はやしだ・めぐみ)。2018年、大手食品企業からサイボウズに転職し、関西営業を経て事業戦略室に所属。現在は大阪を拠点にしながらも、東京オフィスをはじめ各地各部署のメンバーとの仕事を行なっている。テキストコミュニケーションは3年経ってもまだ慣れない

佐藤
その時は、「テキストコミュニケーションで悩んでいるのは自分だけじゃないんだ!」ってすごく安心しました!

同じ悩みを共有できる先輩がいるのは、新人としては本当にありがたいです。
林田
そう言ってくれると、声をかけた甲斐があるなぁ(笑)。

わたしは、テキストの裏にある相手の心情を深読みし過ぎる性格で。いろいろ気にするうちに、ちょっとしたメッセージを作成するのにも時間がかかってしまうんですよ。
佐藤
わたしも深読みして、ひどいときは数日悩むこともあります……。
大畑
進捗報告や確認・承認の依頼みたいに、ルーティン的な連絡はそこまで悩むことはないんですけどね。純粋な業務連絡だから、心理的負荷が小さいというか。
佐藤
そうそう。テキストに自分の思いを乗せたり、テキストから相手の考えを読み取ったりといった「コミュニケーション」の側面が強くなると、途端にしんどさを感じるときがある

それこそ、テキストだとコミュニケーションにタイムラグが発生するので、相手の返信がなかなか来ないと、「この言い方でよかったかな?」「考えが浅かったかな?」とか気にしてしまって。
大畑
うん、うん。すごくわかります。

サイボウズのオープン過ぎる社風がプレッシャーに

林田
あと、単純にやりとりの速さも、苦手意識を生む原因になっているかも。

前職では、メールでやりとりしていたので、そこまでスピード感を求められることはなかったんです。でも、kintoneを使っているサイボウズでは、スレッド上で分単位の議論が進むことがよくある。

そこで、自分みたいにじっくり考えがちな人間だと、どうしても発言が遅れてしまうんです。そうして発言量が減っていくと、劣等感を覚えることも……。
佐藤
劣等感、すごくわかります! サイボウズならではのオープンな風土がプレッシャーになるときがあるんですよね。
林田
そうそう! サイボウズのスレッドはメンバーなら誰でも見られるから、不特定多数に向けてテキストが残る。

だから、「自分のささいな発言も、誰かに見られているんじゃないか」と気構えてしまう。
大畑
本来の業務とはまた違ったところにエネルギーをとられているような感覚がありますよね。

実際、僕もあまり馴染みのないスレッドをのぞきに行くことがあるんですよ。たまに、意見の衝突が起きている場面を見ることもあります。

当人たちはフランクに議論しているだけで、別に仲が悪いわけじゃないと思うんです。でも、自分が一度も話したことのない方同士の意見の衝突を見て、ちょっと萎縮してしまったこともあります。
林田
あるよね。わたしたちのチームのスレッドだと、他部署・チームからレスがつくこともよくあります。

もちろん、そんなふうに情報がオープンになっていることには大きなメリットもあって。たとえば、 いろんなメンバーから意見をもらえるから、アイディアが独りよがりになりづらいこと。
佐藤
そうなんですよね。わたしのチームメンバーも企画を立てる際に、スレッドに寄せられた意見から着想を得ることが多々あります。

kintone上で独り言のようにつぶやいたコメントに、さまざまなメンバーから意見が寄せられる様子。サイボウズでは、こうしたやりとりが活発に行われている

林田
ほかにも、遠隔地で働くメンバーにも社内の状況が伝わるのも、大きなメリットかな。本社メンバーだけで立ち話して決まったことなどは、支社には伝わってこないので。

特にわたしは拠点を大阪にしながら、全社プロジェクトのような業務をしているので、実務上はその恩恵を大きく受けています。

経営層の考えや会社の方向性までオープンになっているのは、他社にはなかなかないよさだなと思います。
大畑
そうしたオープンなカルチャーのいい面も悪い面もわかるからこそ、悩ましいところですよね。

テキストだけでは、相手の人柄や雰囲気を掴めない

佐藤
ネット上では「リモートワーク時のテキストコミュニケーション術」に関する情報はたくさんあって。わたしも以前、そういう記事を見たことがあるんです。
林田
そうなんだ!何か参考になる解決策はあったのかな?
佐藤
いえ、それが「語尾に『!』をいれて、感じよくしましょう」とか当たり前の小手先のテクニックばかりで……。

「そんなんで解決したら苦労しないよ!」って思っちゃいました(笑)。
大畑
確かに、「!」をつければいいのかっていう問題じゃないですよね(笑)。

僕が思うのは、相手をよく知っているかどうかがカギなのかな、と。親しい方であれば、多少味気ないテキストでも「問題なく受け取ってくれるだろう」と想像がつくから、意外と大丈夫だと思えることも多いです。

その点、僕と佐藤さんは新卒なので、そもそも知っているメンバーのほうが少ない。だから、緊張しやすいのかもしれない、と思いました。
佐藤
なるほど、それはあるかもしれない……!
大畑
たとえば研修期間中、わからないことがあったら所属しているチーム宛のメンションをつけて質問する時期がありました。

先輩方としては、「手が空いている人がすぐ対応できるように」と配慮してくれたのだと思います。

ただ、僕個人としては、一気にチーム全員の時間を奪ってしまう感覚があって、ちょっと気が引けたんです。実際に、複数人の先輩が同時に答えてもらったこともありましたし。
佐藤
そもそもリアル・リモートに関わらず、仕事の進め方が理解できていないと、「こんなこと聞いていいのかな?」という葛藤があるよね。
大畑
まさに。「そのくらい自分で調べなよ」って言われてしまうんじゃないかと、不安になりますね。

もちろん、実際に質問してみると、ものすごく優しく教えてくださります。ただ、やっぱりテキストだけでやりとりしていると、心理的な負荷を感じることが多いです。

幸いにも、研修後に配属されたチームでは、主に業務連絡はテキスト、相談や決定事項が伴う議題はZoomと、使い分けされています。そのためいまは状況がいい方向に変わって、心理的に安全なテキストのやりとりができています。
林田
話す内容に応じて、コミュニケーションの仕方・ツールを変えるのはいいね。

たしかに、わたしも新人メンバーに対して、個別にメッセージを送ることがあります。

対面なら表情などで「話の内容が伝わっている」と察せるんですけど、リモートだとそのあたりの微妙な雰囲気が掴みづらいので。
大畑
とくにテキストコミュニケーションだけだと、相手の人柄や雰囲気がわかりにくいですよね。

一度でも話したことがあると、そこがつかめてくるので、同じ文章でも印象が変わってくるのですが。

「弱さ」をひっくるめて、チームでよりよい働き方を模索していく

佐藤
大畑さんの話や、林田さんの工夫を聞いて、テキストコミュニケーションの難しさを解決するキーワードは「チームぐるみ」かなと思いました。

たとえば、最初だけでもZoomや対面で話す機会を設けたり、テキストで伝えにくいことはZoomに切り分けたり。そうした工夫が、安心して話せる場所をつくり出しているのかなと。
大畑
うんうん。
佐藤
あと、わたしの場合はチームメンバーに「テキストコミュニケーションにしんどさを感じる」と知ってもらうことで、「無理にテキストだけで思いを伝えなきゃ!」と焦ることがなくなり、負担感が減りました。

「この人はテキストにやりづらさを感じているんだ」と知ってもらうだけでも、いい方向に向かうかもしれません。
林田
メンバーの状況を知っておく・知ってもらうのは大事だよね。

わたしを含めて発信がしんどい人って「発信がしんどいです!」となかなか言わないんです(笑)。だから、うっかりすると気づくのが遅れてしまう。

その意味では、「実はみんな悩んでいるのかも?」くらいの慎重さで対応するほうが、結果的に配慮が行き届くのかも。
大畑
林田さんみたいな先輩がいると、自分たちとしてはとてもありがたいです。

もちろん、いつまでも手厚くケアを求めて、先輩に甘えたままではいけないと思っています。ただ、少なくとも入社したての頃だけは、顔を合わせて話せる場があったほうがいいな、と。
佐藤
それから、ある意味でサイボウズのオープンなカルチャーと矛盾するかもしれませんが、業務以外では“クローズド”な場があると安心できますね。
大畑
ああ、確かに。自分の場合はkintone上にある、同じ部署に配属された同期で会話するスペースがそれに当たるかも。

もちろん、社内グループだからオープンなんですが、内容が雑談ベースなため、ほかのメンバーから見られる機会がめったにないんです。

そんなふうに「開かれつつも、包まれている場」だと、いつもより安心して話せている気はしますね。
佐藤
それぞれのチームがそういう場になれるといいのかも。わたしはチームメンバーに「テキストコミュニケーションにやりづらさを感じている」と相談したとき、「それも個性のひとつだから、無理に慣れなくてもいいよ」と言われて救われたんです。

「アイデアを出すのは得意だけど、まとめるのは苦手」「資料づくりは好きだけど、プレゼンは負担に感じる」など、人それぞれ個性があるよね、と。

もちろん、仕事なので最低限のスキルや努力は欠かせません。ただ、「チーム」で取り組んでいるのだから、そうした「弱さ」をひっくるめて補い合っていくことも大事なんじゃないか、と。

だから、テキストコミュニケーションに限らず、多様なメンバーが働きやすい環境づくりのために、これからもチーム全体で考えていきたいなと思います。

企画:サイボウズ式 編集部/執筆:夏野かおる/撮影:栃久保誠/編集:野阪拓海(ノオト)

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執筆

ライター

夏野かおる

フリーランスの編集者・ライター。高等学校教諭一種免許状(国語)保有。京都大学大学院博士課程指導認定退学(博士論文準備中)。ライターとしての専門分野はICT教育・STEAM教育。趣味はゲーム。

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栃久保 誠

フリーランスフォトグラファー。人を撮ることを得意とし様々なジャンルの撮影、映像制作に携わる。旅好き。

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野阪 拓海

コンテンツメーカー・有限会社ノオトのライター、編集者。担当ジャンルは教育、多様性など。

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