サイボウズ株式会社

働き方が多様化しても、「仕事のしんどさ」は変わらない? ──個人のしんどい気持ちとの向き合い方を考えた

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 働く人々
  • 企業のマネージャーやリーダー
  • キャリアに悩むビジネスパーソン
  • 自己成長を目指す社会人
  • メンタルヘルスに関心のある人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を通じて、読者は働く上で感じる「しんどさ」の多様な側面とその向き合い方についての知識を得ることができます。具体的には、責任やプレッシャーが増すことで生じる「心のしんどさ」、新しい環境に適応する過程での葛藤、または自身の興味や強みを活かしきれないときに感じるフラストレーションなど、異なる種類の「しんどさ」が存在することが話し合われています。さらに、これらのしんどさは個人だけでなく、チームの中でも共有しやすい環境を作ることで緩和され、解消の道が開かれる可能性があることを学べます。例えば、しんどさを感じたとき、それを口に出してチームで話し合うことで、仕事の仕組みを改善できる場合もあるといった具体的な例も挙げられています。この記事は、働く中での「しんどさ」に対する認識とその対処法について考えさせられる内容となっており、読者に自身の働き方を見直すきっかけを提供します。

Text AI要約の元文章
サイボウズ

働き方が多様化しても、「仕事のしんどさ」は変わらない? ──個人のしんどい気持ちとの向き合い方を考えた

「仕事って、しんどいもの」というのは、働く人なら誰しも抱える気持ちなのかもしれません。

責任が重い、仕事内容が難しい、コミュニケーションがうまくとれない……そんな「しんどさ」とどのように向き合えば、気持ちをリセットできるのでしょうか?

今回サイボウズ式では、そんなマイナスの気持ちをゼロに戻すきっかけをつくるため、特集「ひとりじゃ、そりゃしんどいわ」を始めます。

記念すべき第1回目では編集部メンバーそれぞれの「仕事のしんどさ」とその向き合い方について、真剣に考えてみました。座談会の模様をレポートします!

責任、孤独、プレッシャー……仕事で感じる「しんどさ」の中身

神保 麻希
「仕事がしんどい」という経験は、みなさん一度はありますよね。

わたしの場合、やっと一通り仕事を覚えたと思ったら、また新しいことを覚える必要が出てくる……といった挑戦の連続に、ときどきしんどさを感じることがあります。

神保麻希(じんぼ・まき)。2019年キャリア入社。前職では総合PR代理店で広告営業・プランナーを担当。「心理的安全性」のテーマに興味関心あり

藤村 能光
たしかに。仕事って続けていると、どんどん役割が増えていきますよね。すると、影響する人数も多くなり、難易度も高まっていく
神保 麻希
そうなんです! プレイヤーとしてやっと仕事を覚えたと思ったら、次はリーダーとしてマネジメントのスキルが求められる、みたいな。

最初は「よしやるぞ!」って思えるんですけど、だんだん疲れやタスクがたまっていって、しんどいなと思ってしまう瞬間もあるんですよね。
竹内 義晴
「体のしんどさ」と「心のしんどさ」の違いもありますよね。

すごく短い納期の仕事があり、ずっと働き詰めだったら、疲労がたまるのがしんどい。でも、これは終わりが見えているからまだいいんです。

一方、心のしんどさは一人で向き合わなきゃならず、なかなか終わりが見えない

たとえば、僕は以前の会社で中間管理職になったとき、いままで同じ立場だったメンバーと距離が遠くなった気がして。そこで寂しさを感じたし、誰にもわかってもらえないつらさもありました。

竹内義晴(たけうち・よしはる)。2017年キャリア入社。新潟でNPO法人を経営しながら、サイボウズで複業している。コミュニケーション心理学やコーチングが専門

神保 麻希
なるほど、責任とプレッシャーと孤独が同時に来るみたいな……。
穂積 真人
世の中にも「仕事=しんどい」という方程式が存在しているように感じるんですよね。

たとえば、休みの日に友達から遊びに誘われたとき、「その日仕事なんだよね」と言うと、「え〜、大変だね」と返されてしまう。

「仕事って大変でつらいもの」と、みんな思っているんじゃないかなって。
神保 麻希
わたしもつい「大変だね」って言ってしまいます(笑)。でもたしかに、「そうなんだ。いま仕事で何やっているの?」という反応でもいいはずですよね。

「しんどい」基準がわからないから、防ぎようがないんです

高橋 団
環境が変わるしんどさもありますよね。僕は新卒でサイボウズ式編集部に配属されましたが、当時はいまほどチーム感がなく、独立して仕事をするスタイルで。

大学の頃は先輩といっしょにプロジェクトを進めることが多かったので、先輩の後をついていけばよかったんです。

だから、入社したての頃は、そのギャップがしんどかったですね。

高橋団(たかはし・だん)。2019年新卒入社。大学では学生記者をしながら、スポーツとチームワークに関心を持つ。複業ではフォトグラファーとして活動

神保 麻希
環境が変わるしんどさ、たしかにありますね。最近は入社時からリモートで働くことも増えていて、新人さんはとくに大変そうだなと。

実際にリモート入社を経験した深水さんはどう感じましたか?
深水 麻初
わたしの場合は、オフィスに出社して働いた経験がなかったので、リモートで働くいまの状況がしんどいというのが、実感できていなくて。

だからこそ、しんどさを予防できないんじゃないか、と。それが新人としての悩みなのかもしれません。

深水麻初(ふかみ・まうい)。2021年新卒入社。特集「多様性、なんで避けてしまうんだろう?」の担当。大学では社会学を専攻し、ジェンダーを学ぶ

竹内 義晴
基準がないから、どれがしんどさなのかがわからない、と。
深水 麻初
そうですね。たとえば、自分は定時退勤できているから、何時間も残業している先輩がいる前でしんどいなんて思えないな、みたいな。

常に周りと比べて、しんどさを測っているところがあります。

苦手なことを言い出せない、やりたいことができない……自分に正直になれないしんどさ

鮫島 みな
わたしは自分が不得意だったり、興味関心が薄かったりする分野にしんどさを感じます

ほかの分野と比べて、どうしてもエンジンがかかりにくかったり、パフォーマンスを発揮できなかったりするんですよね。

鮫島みな(さめじま・みな)。2018年に新卒でサイボウズ入社。1年半営業を経験し、コーポレートブランディング部へ異動。サイボウズ式とUS版メディアKintopiaの企画・編集にかかわる

神保 麻希
うんうん。苦手なことや興味のないことをきちんと言えるのって、本当は悪いことじゃないと思うんです。

でも、バレちゃいけない、言っちゃいけないって思っていると、しんどいですよね。
鮫島 みな
そうなんです。ダメではないはずなのに、素直に「苦手です」とは言いづらいんですよね。
アレックス
わたしは逆に、「やってみたいことがあるのにできない」というしんどさを感じたことがあります。

「こうなりたい、あれをやりたい」と思っているのに、いまの環境ではどうにもできない、というのもしんどいですよね。
藤村 能光
そんなふうに自分を偽る状態が続くと、しんどくなっていきますよね。
高橋 団
本当は、みんなもっと「欲」に忠実に生きていいと思うんです。

生きていくためには働かなきゃいけないですが、「やりたいことができなくても、仕事だから仕方ない」と振り回され続けていると、しんどさは消えないままですよね。

求められる仕事をしつつ、ある程度自分の欲も出していく。この塩梅って難しいですよね。

「成長」や「やりがい」が見えていれば、仕事もしんどいだけではない

アレックス
「何のためにやっているのか?」が明確で、成長ややりがいが感じられる仕事なら、そこで生じるしんどさはハ―ドルにならない気もしますね。

アレックス・ストゥレ。2018年キャリア入社。スイス出身。グローバルコンテンツ、英語ブランディングを担当。イギリスのノッティンガム大学で修士人権法を学び、2016年から日本に在住

竹内 義晴
たしかに。でも、すごくしんどいときって、正直成長とか考える余裕がないんですよね。

後から振り返ると、「あのときの経験が生きているな」と思うことはあるけれど。
神保 麻希
わかります。わたしはそういうとき、誰かに自分の現状を客観的に見てもらうことで「これはしんどいけど次につながる経験なんだな」と、気がつくことがありますね。
アレックス
そう。だからこそ、おたがいのしんどさをチームで話せることは大事だと思います。

最近編集部では、ザツダン会や振り返り会を設けていますが、そこがしんどさを共有する場になっていますよね。

しんどさを吐き出しやすくなったのはもちろん、「これをやってみたい」という声も出てきて、いろいろなプロジェクトが生まれる場にもなっているなと思います。

サイボウズ式編集部では「仕事の進め方の振り返り」アプリを使用し、不安をチーム内に共有。ネクストアクションや改善につなげている

神保 麻希
うんうん。もちろん、話すまではすごく勇気がいるし、「評価がさがるかも」という不安もある。

でも、チームメンバーに話すことで、頭の中が整理されて楽になったり、手伝ってもらえたりと、お得なことも多いんですよね。
深水 麻初
誰かがしんどさを話すことで、同じしんどさを抱えているメンバーの声が集まり、仕組み自体が変わることもありますよね。

編集部でも「1日あたりの会議数が増えていて、しんどい」という声をきっかけに、チームで会議の内容や頻度を見直しましたね。

毎週の会議を隔週にしたり、会議のオーナーを分散したり、一部の会議を自由参加にしたり……。しんどさを共有することで仕組みが変わったいい機会でした。

「しんどいって言ってくれてありがとう!」と伝えられる関係がいい

鮫島 みな
しんどさを一人で抱え込みすぎると、心身ともにつぶれてしまいますよね。そうすると本人もきついし、結果的に周りの人にも迷惑がかかってしまう。

いっそのこと、みんなが「チームのためにもしんどさは伝えていい」くらいの認識を持てれば、言いやすくなるんじゃないでしょうか。
藤村 能光
ほんとそう思います……! 「しんどいって伝えてくれてありがとう」と言い合えるチームだといいですよね。
高橋 団
しんどいを言い合えて、しかもそれを感謝しあえるチーム……!
藤村 能光
でも、マネジャーの立場からだと、簡単に「しんどいことがあったら教えてね」と言ってしまうことがあるんです。

だけど、「そもそも言えないから、苦労してるんだよ」って気持ちが、いろんなチームや会社の中であるような気がして。

藤村能光(ふじむら・よしみつ)。サイボウズ式編集長。「仕事のしんどさ」も含めたストレスが大の苦手。頭の中にある不安を紙に書き出すジャーナリング、マインドフルネスのためにサウナに行くなど、自分で対処できるストレス対策を実践中

神保 麻希
あぁ、わたしもつい言っちゃいます……。ある意味、「しんどかったら言ってね」って便利な言葉ですよね。
アレックス
勇気を振り絞って伝えてみても、「あぁ、なるほど」と言うだけで、何も変わらないで終わることもよくあって。

もちろん、それぞれが抱えるしんどさの中身は異なり、理解しきれないしんどさもあるとは思います。

でもだからこそ、理解できなくても受け入れて、改善できる道をみんなで探っていくことが、大切なんじゃないかな、と。
藤村 能光
うんうん。僕らマネジャーも、メンバーからしんどさを伝えてもらえることで、「何かできないかな、いっしょに改善していけないかな」とようやく考えられる面もあって。

むしろ、「しんどい」と言ってくれることこそが、未来に向かうための一歩になるんだと。そういう認識に変わっていけばいいなって思います。

しんどい気持ちが、ゼロに近づけるコンテンツを

神保 麻希
これからサイボウズ式では、仕事のしんどさをテーマとした特集「ひとりじゃ、そりゃしんどいわ」が始まります。

今回の特集を決めるまでに、編集部ではさまざまなテーマ案を出し合いましたね。

そして、挙がったどのテーマにも「仕事=ツラい、しんどい、我慢が多い」が当たり前になっている、という共通点がありました。
藤村 能光
そうですね。サイボウズ式を始めた10年前に比べると、働き方や生き方は多様になり、大きく変わってきたと思うんです。

でも、一人ひとりが仕事に対して感じている「しんどさ」は、いまでも変わらない気がして。
神保 麻希
もしかして仕事とは、いつの時代も誰にとっても、普遍的にしんどいものなんじゃないか……?

何度も話し合いを重ねる中で、そんな再発見がありましたね。
藤村 能光
そうですね。働き方について探究し続けてきたサイボウズ式ですが、10周年を迎えるこのタイミングであらめて「仕事のしんどさ」と向き合ってみる。

その中で、個々が抱えるしんどさやそれとの付き合い方を共有し、読者の方の重荷を少しでも減らせたらな、と。
神保 麻希
今回の座談会はその第一弾の記事となります。

この特集を通じて、読んでくださる方に感じてほしいことを、みなさんに聞きたいです。
穂積 真人
社会では「しんどい思いをしている=頑張っていてえらい」といった認識があるような気がして。それが変わるきっかけになればいいなと思います。

たとえば、しんどい思いをしている人がいたら、「たくさん働いていて、えらいね」ではなく、「みんなで解決できないか話してみよう」という反応に変えていく。

社会全体がそうなれば「仕事=しんどい」という方程式も、徐々に変わっていくんじゃないかなって思います。

穂積真人(ほづみ・まさと)。2021年キャリア入社。前職では総合広告代理店で勤務。福島県に在住しながら、複業で「移住施策アドバイザー」を勤める

鮫島 みな
それこそ、この特集が職場で「しんどさ」について話すきっかけになるといいですよね。

読者のみなさんに「しんどいって感じていてもよかったんだ」と思ってもらいたいし、周りのしんどそうな人に共有したくなるコンテンツになればいいなって思います。
藤村 能光
仕事がしんどいものだとしても、それが心身を壊す方向には絶対に行ってほしくなくて。ワクワクすること、楽しく生きることにつながるものであってほしいな、と。

僕らも特集を通じてこうしたことを伝えつつ、読者からも「こんなしんどさがあるんです」っていろいろ教えてもらえたらうれしいですね。

企画:サイボウズ式 編集部/執筆:モリヤワオン(ノオト) /編集:野阪拓海(ノオト)

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執筆

ライター

モリヤ ワオン

コンテンツメーカー・有限会社ノオト所属のライター、編集者。よく担当するジャンルは、ライフスタイルや健康にまつわるもの。

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編集

ライター

野阪 拓海

コンテンツメーカー・有限会社ノオトのライター、編集者。担当ジャンルは教育、多様性など。

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