サイボウズ株式会社

仕事がしんどいなら「チーム」だけでなく「孤独」も使いこなせ

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 社会人のビジネスパーソン
  • 特にリモートワークを経験している人
  • チームリーダーやマネージャー
  • 職場の人間関係に悩む個人
  • 働き方に興味がある人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むと、リモートワークの普及に伴う職場での「孤独」とチームワークの重要性について理解が深まります。リモートワークによって、通勤時間が減り生活の自由度が高まるというメリットがある一方で、他者との関わりが減ることで孤独感が増すというデメリットがあります。これにより、特にリモートワーク時代ではチームで働くことの重要性が再認識されているということが学べます。

さらに、チームでの働き方やコミュニケーションが軽視されると、人材の定着に問題が生じることもわかります。具体的な例として、一匹狼的な働き方をしていたソフトウェアエンジニアのチームが、生産性は高かったものの、孤独さからメンバーが次々と辞めることになり、結果的にチームとしての持続可能性に問題が生じたというケースが紹介されています。また、チーム内における安心感がどれくらい大切かも強調されており、チームワークの欠如が心理的な負担を増大させることが記されています。

また、どんな問題にもチームでの解決がすべてではなく、自分自身で考えて決断を下す必要がある場合もあることが指摘されています。特にキャリアに関する問題は、自分ひとりで考え判断を下さなければならないことを示し、他者の助言を参考にしつつも最終的な決断は自分で行う練習の重要性について学べます。最後に、「チーム」と「孤独」を状況に応じて使い分けることで、より健康的で持続可能な働き方ができることが提案されています。

Text AI要約の元文章
働き方・生き方

仕事がしんどいなら「チーム」だけでなく「孤独」も使いこなせ

サイボウズ式特集「ひとりじゃ、そりゃしんどいわ」。今回は日野瑛太郎さんに、「チームと孤独の使い分け」についてコラムを執筆いただきました。
#仕事しんどい#ちょっとマシになるかも?

今まで以上に「チームで働くこと」の価値が問われる時代

コロナ禍がきっかけとなり、リモートワークを導入する企業が一気に増えました。オフィスを完全に廃止して、すべての仕事をリモートで行うところまではいかなくても、部分的に自宅から仕事ができる体制を取り入れた企業は、かなりの数にのぼります。

僕自身も、ここ数年間はほとんどリアルで出社はせず、自宅からリモートワークをするという体制で働いてきました。実際にやってみると、この働き方にはメリットがたくさんあることがわかります。

それまで通勤に使っていた時間が削減され、余暇や家族と過ごす時間が増えました。オフィスで働いていた時には、ちょっとしたことで話しかけられて作業に集中できなくなることがありましたが、リモートならある程度は、この手の邪魔をコントロールして作業時間を作り出すことも可能になります。

一方で、 リモートワークには「孤独になりやすい」という無視できないデメリットもあることを感じています。

つい先ほど、オフィスにいるとちょっとしたことで話しかけられて作業に集中できなくなることがあると書きましたが、これは裏を返せば、オフィスではそれだけ他人に話しかけるのが簡単だということ——つまり、孤独になりにくいということを意味しています。

たとえば、オフラインの場合、自席で頭を抱えている人がいれば、仕事でなんらかの問題を抱えていることはすぐに周囲に伝わります。しかし、オンラインだとなかなかこういった非言語的な変化は伝わりづらいものです。

思うに、現代のようなリモートワーク時代は、今まで以上に「チームで働くこと」の価値が問われていると言えます。

そもそも、なぜ人はチームで働かないとしんどいと感じてしまうのでしょうか。また、すべての問題はチームで働くことさえできれば、解決できるのでしょうか。

今回のコラムでは、そんなことを考えてみたいと思います。

生産性向上のために、「チームで働くこと」を軽視していたチームの話

以前、僕が所属していたあるチームでの話です。

このチームは、ソフトウェアエンジニアばかりが7人ほど所属していたチームでした。それぞれのエンジニアが独自に遂行すべき案件を抱え、他のチームからの依頼に基づいてシステムを開発することをミッションとしていました。

チームのパフォーマンスを評価する指標は、ずばりこなした案件数。となると、ひとりが何案件も抱えて、並行していろいろな仕事をこなしていくのが最も効率がよいことになります。そういうこともあってか、このチームに所属するエンジニアは、誰もが一匹狼のような働き方をしていました。

チームを名乗っている以上、チーム全体でのミーティングなども存在はするのですが、みんな自分のことで手一杯なので、なかなか他人の抱えている仕事の中身まで把握する余裕がありません。なので実態は、チームというよりは、それぞれ仕事を抱えた個人のエンジニアが寄り集まっているというほうが近かったと思います。

このように、チームと言えるか怪しいチームでも、最初のうちはわりとうまく回っていました。

ひとりで仕事をするメリットとして、コミュニケーションコストが小さくなることが挙げられます。このチームはそのメリットを最大限に享受して、どの仕事も短い納期で終わらせることができました。

つまり、「チームで働くこと」を犠牲にすることで、高い生産性を維持していたわけです。

コミュニケーションを軽視するチームは、長くは続かない

そのままなんの問題も起こらずに、ずっと高い生産性が維持され続けたのであれば、このチームの個人主義的な体制は成功だったと言えたかもしれません。しかし現実には、チームの結成から半年もしないうちに問題が生じるようになりました。

困ったことに、人が次々と辞めるようになってしまったのです。

では仕事が忙しすぎたのかというと、そういうことはとくになかったと思います。給与の額に問題があったとも思えません。いずれも社内の他のチームとそれほど大きく乖離してはいなかったからです。しかし、辞める人の割合だけで言えば、このチームは他のチームを大きく引き離していました。

ではなぜ、このチームのメンバーは次々と辞めてしまうのか。マネージャー陣は首を捻っていましたが、このチームのメンバーのひとりだった僕にはよくわかっていました。

それは、一人で孤独に仕事をするのがしんどかったからです。

これは純粋に心理的な話で、仕事の量や難易度とは必ずしも関係がありません。このチームの例で言えば、仕事の量は基本的に業務時間内でこなせる量でしたし、難しすぎて自分ひとりでは絶対に歯が立たないというものでもありませんでした。

それでも仕事をしていれば、自分の仕事について誰かに話したくなる時は必ずやってきます。

クライアントの変な要望に対して愚痴を言ったり、自分がうまく書けたと思うコードを見てもらったりすることは、仕事を最後まで遂行するという観点では不要かもしれません。

ですが、継続的に楽しく仕事をしていくために、「チームで働く」というのは実は欠かせないことです。

この手のコミュニケーションの重要性を軽視していたことが、このチームを持続不可能にした大きな原因でした。

バカにできない「自分以外にも誰かがいる」という安心感

最終的にこのチームは、「一人が複数の案件を抱える」という体制をやめて、「どんな案件も必ず複数人であたる」という体制に変えることで、なんとか崩壊を免れました。

純粋に生産性のことだけ考えるなら、コミュニケーションコストが増えてしまう分、これは愚策に見えるかもしれません。

しかし、この方式を採用することで、辞めてしまう人の数は明らかに減りました。このことから、チーム内に孤独な人を作ってしまうことは、人の定着という観点でかなりリスクがあることがわかります。

実際、「自分以外にも誰かがいる」という安心感は、バカにはできません。「他にはもう誰もいない。自分が最後の砦だ」という考え方はプロっぽくてかっこいいとは思うものの、この状態に置かれることの心理的負担はかなりのものです。そりゃ、しんどいです。辞めたくもなります。

それで本当に担当していた人が辞めてしまうと、代わりの人がいないわけですから、いよいよチームは回復不可能な損害を被ることになります。そうなるぐらいなら、多少は効率を犠牲にしても、最初からチームで仕事に当たれる体制にしておいたほうが、安くつくのは間違いありません。

時には自分ひとりで答えを出さなければいけない問題もある

ここまでは、チームで働くことの価値について述べてきました。日々の仕事を健康的・持続的にまわしていくという意味で、チーム内の誰かに相談できる体制を整えておくことが重要なのは疑いありません。

しかしもうひとつ、忘れてはいけないこともあります。それは、どんな問題でも誰かに相談すれば解決できるというわけでは、決してないということです。時には自分だけで考えて答えを出す必要がある問題もあるということを、あえて指摘しておきたいと思います。

具体的には、キャリアの問題などがそうです。自分が将来どうなりたいのか、いまの会社にとどまるべきか、転職すべきかなどといった問題は、他人に答えを求めるべき性質のものではありません。

もちろん、部分的にはチーム内の上司や同僚に相談することもできるでしょう。しかし、人にはそれぞれ立場があることも忘れてはいけません。

たとえば、今の会社の上司に転職の相談をすれば、普通は遺留されます。一方で、転職エージェントで相談をすれば、むこうも商売なのできっと転職を勧められるでしょう。最終的には、自分ひとりで答えを出さなければなりません。孤独になることも、時には重要なのです。

僕の場合の話をすると、僕は過去に何回か会社を辞めていますが、それはいずれもすべて自分だけで決断しています。辞める時だけでなく、新たに会社に入る時、あるいは個人事業主として独立する時も、決めたのは自分です。

決断の参考にするために他の人から話を聞いたり、本を読んだりもしましたが、これらはすべて「参考にするため」であって、他人にこれらの決断を委ねたことはありません。

チームと孤独を使いこなす

このように、オススメなのは、取り組む問題に応じて「チームでいくか」「孤独でいくか」を使い分けていくことです。

仮にいまの仕事がしんどいとして、なぜしんどいのか。それがチームに相談してラクになる性質のものなら、周囲に頼る方法を模索してみる。

キャリアのように自分だけで考えるべき性質のものなら、少し時間を取ってひとりでじっくり考えてみる——そうやって使い分けられるようになれば、問題解決の土台は用意できたと言えるのではないでしょうか。

みなさんが、「チーム」と「孤独」の両方とうまく付き合えることを祈っています。

執筆:日野瑛太郎/編集:深水麻初/アイキャッチデザイン:マツナガエイコ
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執筆

ライター

日野 瑛太郎

ブロガー/「脱社畜ブログ」管理人。著書に『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある

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撮影・イラスト

イラストレーター

松永 映子

イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。

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編集

編集部

深水麻初

2021年にサイボウズへ新卒入社。マーケティング本部ブランディング部所属。大学では社会学を専攻。女性向けコンテンツを中心に、サイボウズ式の企画・編集を担当。趣味はサウナ。

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