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大切な人がしんどいときは、「対話」「仕組み」「戦略的ご自愛」で共に乗り越える

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 家族やパートナー関係に悩んでいる人
  • 心理的に困難な状況をサポートしたいと考えている人
  • 大切な人を支えたいがどうすれば良いのか分からない人
  • パートナーシップに関する知識を深めたい人
Point この記事を読んで得られる知識

記事を読むことで、家族やパートナー、友人など大切な人がしんどそうにしているときにどのように寄り添うべきかについての知識が得られます。そのための方法の一つとして、相手のしんどさに対処するために必須となるのが「対話」であることが強調されています。これには、お互いの前提や意見の違いを理解し合い、より良い関係を築くためのコミュニケーションが含まれます。

記事では、対話をより効果的に行うための「仕組み」を整える重要性も述べられています。この仕組みには、話しやすい環境を作り、口頭ではなく書面でのコミュニケーションを取り入れることも含まれています。

さらに、自分自身を大切にすることが、他者を支援するためにも必要であると述べ、その具体的な方法として「戦略的ご自愛」を推奨しています。これは、自己のエネルギーが尽きる前に意識的に休むことを勧めるものであり、例として散歩やマッサージなどの自己ケアの活動が挙げられています。これにより、自分の健康を保ちつつ、パートナーとの健全な関係を支える力を維持することができるとしています。

Text AI要約の元文章
家族と仕事

大切な人がしんどいときは、「対話」「仕組み」「戦略的ご自愛」で共に乗り越える

パートナーや家族、友人など、自分の身近で大切な人がしんどそうにしていたら──。そのしんどさに寄り添い、「少しでも力になりたい」と考える人が多いと思います。

でも、自分じゃない誰かのしんどさに寄り添うことは、なかなかに難しいこと。下手をすれば、支えているはずの自分自身の方がしんどくなって、共倒れになってしまう可能性も少なくはありません。

大切な人がしんどいとき、そばにいる人ができることは何なのでしょうか?

パートナーシップを研究する、株式会社すきだよ代表のあつたゆかさんに、「大切な人がしんどいときの寄り添い方」についてお話していただきました。

しんどいときに求めるものは、人によって違う

こんにちは。株式会社すきだよ代表のあつたゆかです。すきだよでは、家族やパートナーシップの社会課題を解決する事業を主に行なっています。

今回のテーマは、「大切な人がしんどいときに、どう寄り添えばいいか?」

うーん、むずかしいですよね。大切な人がそばにいる多くの人が、一度はぶつかる悩みなのではないかなと思います。

まず私が大切にしたいと思っているのは、「しんどいときに求めるものは、人によって違う」という前提に立つことです。

たとえば、しんどいときに話を聞いてほしいと思う人もいれば、ひとりでじっくり考えたい人もいる。話は聞かなくていいから、とにかくストレス発散に付き合ってほしいという人もいるかもしれません。

それまでの人生でできあがった価値観は人によって違うのだから、しんどさへの対処法も人それぞれ違っていてあたりまえ。

だから、「自分がこれをしてもらったらうれしいから」という理由で、その行為を相手に押し付けることはしないようにしています。

「会話」ではなく「対話」が必要

じゃあ、相手の「しんどいときに求めていること」を知るためにはどうすればいいのでしょうか?

そのために欠かせないのが「対話」です。

対話とは、おたがいの前提や意見の違いをわかりあおうとする、ふたりのよりよい理想の関係を話し合うためのもの。異なる価値観を理解するために、「おたがいの意見や考え」「それぞれを取り巻く状況や背景」などを共有するのです。

たとえば、パートナーに「しんどいときは、ひとりにしてほしい」と言われた場合。

もしかすると、その事実だけを告げられたら、「なんで頼ってくれないの?」「自分は信頼されていないんじゃないか」「しんどいときに一緒にいられないなんて、パートナー失格だ……」などと落ち込んでしまうかもしれません。

でも、「どうしてしんどいときにひとりでいたいのか」まで話し合うことができたなら、その感情は変わってくると思いませんか?

もしかしたらその人には、「人と一緒にいると、必要以上に気を遣ってしまって疲れてしまう」といった、何か理由があるのかもしれません。

「なぜそうしてほしいと思うのか」という背景まで話し合うことができると、おたがいにモヤモヤせずに支え合えると思うのです。

健全な対話は「仕組み」でつくる

とはいえ、対話にはむずかしい部分もあります。

対話しようと思っても、ついつい「しんどいときはもっと頼ってよ!」といった、要求を一方的に押し付ける「命令」や、二項対立で意見を戦わせる「討論」になってしまいがち。

「そもそも深刻な話し合いが苦手」という人や、「話し合おうとしても、相手がその気になってくれない」という場合もあると思います。

そんなときには、おたがいにとって「話しやすい環境」はどんな環境かを知り、そのための仕組みをつくることが必要です。

たとえば私の知り合いの夫婦は、家で話し合いをすると深刻な雰囲気になって喧嘩になりやすいから、居酒屋などで飲みながら話すようになって、うまく対話ができるようになったと言います。スキンシップしながら話し合うことで、うまくいったというカップルも。

ツールを取り入れることもおすすめです。Slackなどで、自分が感じていることを気軽に共有できる場所をつくってみる。口頭がむずかしければ、文章で伝え合うのもいいと思います。

場所を変えてみる、ツールを導入する。建設的な対話をするために、まずは自分たちが話しやすい「仕組み」を整えてみましょう。

「寄り添い方」が噛み合わないときもある

しんどいときにどうしてほしいのか、なぜそうしてほしいのかを、しっかりと話し合うこと。

ですが、話し合った上でも、「相手が望むことを叶えられない」ときはあると思います。

そんなときに大切にしたいのは、もしおたがいの「しんどさへの寄り添い方」が噛み合わなかったとしても、「相手を大切に思っている」という前提の気持ちを共有することです。

たとえば、しんどくて話を聞いてほしい相手に対して、自分が忙しくて話を聞く余裕がないときには、「話を聞いて支えたい気持ちはあるんだけど、今自分も精神的に余裕がなくていっぱいいっぱいだから、今度の週末にゆっくり時間をとるのはどうかな?」と正直に伝えてみる。その一言があるだけで、ふたりの関係は変わると思います。

相手の気持ちを尊重しながら、自分のことも尊重する。そのことが、しんどさを乗り越えるふたりには必要なのです。

どちらか一方がしんどい時は、支える側が「支えなきゃ!」と思って逆にしんどくなり、共倒れしてしまうことがありますが、支える側も自分を大事にすることは欠かせません。

共倒れしないために、「戦略的ご自愛」を

最後に私がおすすめしたいのが、「戦略的ご自愛」です。

仕事や生活の中で、忙しくて余裕がなくなってしまうと、そもそも話し合いの気力がなくなったり、他者を気遣う余裕がなくなってしまいます。

だから、自分のHPがゼロになってしまう前に、自分の状態に気づき、意識的に休みを取ることを心がけましょう。

私も、朝に散歩をしたり、マッサージに行ったり、ゆっくりとお風呂に浸かったりと、自分にとっての「戦略的ご自愛」リストを持っています。こまめにHPを回復することで、パートナーにも向き合えるし、自分も健康的でいられます。

おたがいのことを尊重して支え合うために、仕組みや環境づくりをして対話をする。そして、相手のことも自分自身のことも大切にする。

言葉にすると簡単なように聞こえますが、これは本当に本当にむずかしいこと。

対話を重ね、相手のことを知り、自分のことも守りながら、おたがいのしんどさに寄り添って生きていける関係性が増えることを願っています。

企画/構成:あかしゆか、イラスト:イタガキユウスケ

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撮影・イラスト

イラストレーター

イタガキユウスケ

イラストレーター兼グラフィックデザイナー。web、書籍、広告のイラストとデザインを担当。キャッチーな色使いとシンプルなタッチを得意とし、SNSでは大好きな猫のイラストを中心に活動中。

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編集

ライター

あかしゆか

1992年生まれ、京都出身、東京在住。 大学時代に本屋で働いた経験から、文章に関わる仕事がしたいと編集者を目指すように。2015年サイボウズへ新卒で入社。製品プロモーション、サイボウズ式編集部での経験を経て、2020年フリーランスへ。現在は、ウェブや紙など媒体を問わず、編集者・ライターとして活動をしている。

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