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仕事も家庭もがんばるって、私にできるのかな?──「バリ」でも「ゆる」でもないフルキャリ体験談

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 働く女性
  • 子育て中の親
  • キャリアを考えている人
  • 職場で働き方改革を行いたい人
  • マネージャーや上司
Point この記事を読んで得られる知識

この記事では、「フルキャリ」という働き方が紹介されており、それは一見すると相反する仕事と家庭の両立を目指すスタイルです。この考え方は、キャリアを全力で追う「バリキャリ」や、仕事よりも家族を優先する「ゆるキャリ」とは異なり、両方を大切にしようとするアプローチとして新たに提案されています。

「フルキャリ」では、やりたいことと生活スタイルをバランス良く組み立てることが求められます。具体的には、勤務時間を決めて超過労働を避ける、業務時間を有意義に使って最大限の効率を求める、といったルールを自ら設定し、周囲と認識を共有することが重要とされています。また、効率的なチームワークを促すために、自分の業務が他の人でも担えるようなマニュアル化や仕組みを整えることも大切です。

上司や管理者の視点からは、チームのメンバーの働き方を調整する際に、その人自身の希望をしっかりと把握するための会話が欠かせません。選択の自由を尊重しながら、業務の優先事項を決め、負荷を調整することが彼らの役割であり、その際に何をやめるかを決断することも必要です。

最終的に、自己対話と他者とのコミュニケーションを通じて、自分が本当に何を望むのかを明確にし、それに基づいた選択を重ねることが、仕事と家庭の両立を実現するための鍵だと提言されています。

Text AI要約の元文章
家族と仕事

仕事も家庭もがんばるって、私にできるのかな?──「バリ」でも「ゆる」でもないフルキャリ体験談

サイボウズ式の人気シリーズ「ブロガーズ・コラム」。このシリーズでは、ブロガーのみなさんの体験談をもとに、新しいチームワークや働き方について考えます。

今回は、仕事も家庭もがんばる「フルキャリ」という働き方を実践されている、会社員兼ブロガー・はせおやさいさんにコラムを執筆いただきました。

働く女性は「バリキャリ」か「ゆるキャリ」のどちらかだけ?

わたしが子どもを産んだのは、2018年。高齢出産で産んだ子どもはそれはそれはかわいく、このまま家庭中心の生活にシフトしてもいいかな……と思ったこともありました。

しかし、いざ子ども「だけ」に向き合ってみると、なかなかそのライフスタイルが自分にフィットしない。子どもはかわいいのですが、子どもを主語として生きていると、それまで自分の中にいた「わたし」がいなくなってしまうような感覚にとらわれました。

あれ? このままではいけないぞ……と思い始めて仕事に復帰してからは、仕事に集中したあと子どもや家族と向き合う時間があることが、何よりありがたく、家族と向き合う時間があることで仕事へのモチベーションも上がる、という好循環でした。

女性の働き方は「バリバリ働いて上を目指す(バリキャリ)」か「キャリアはほどほどに、充実した生活を送る(ゆるキャリ)」かの二極化で語られることがよくあります。でも、働き方のタイプって本当にそれだけなのでしょうか?

「フルキャリ」という二者択一でない働き方

そんな疑問を持ちながら働いていたところ、知人に薦められて読んだ一冊に、「バリキャリ」でもなく、「ゆるキャリ」でもない第三の働き方を「フルキャリ」と定義した本がありました。

フルキャリマネジメント―子育てしながら働く部下を持つマネジャーの心得』(著:武田 佳奈)

この本では、仕事だけ、私生活だけ、という二者択一ではなく、どちらも同じくらい取り組みたいと考える人を「フルキャリ」と名付け、筆者が行ったアンケートによると5割の人がこの「フルキャリ」という働き方をしている、と回答したのだとか。

個人的にこの考え方がとてもしっくりきていて、仕事だけ、私生活だけ、ではなく、両方を選ぶスタンスで生活しています。

とはいえ、仕事も私生活もがんばることは、そう簡単ではありませんでした。そんなわたしが、このやり方を選び、実践できた理由はなんだろう、と考えました。

まず「自分はどうしたいか?」にしっかり向き合うこと

もしかしてわたしに向いているのは「バリキャリ」でもなく、「ゆるキャリ」でもない、「フルキャリ」なのでは……?

そう感じてからは、以下のように自分の中で取り決めをし、上司や周囲に宣言することから始めました。

①残業はせず、定時で仕事を終える

②そのぶん、業務時間は120%で仕事を遂行する

③仕事と家庭を天秤にかけたら、圧倒的に家庭が大事

とくに③は大切な意思決定でした。

仕事をしていると、つい「これは自分がやらないと……」「わたしがいないと回らないから……」と考えがちです。

子どもが赤ちゃんだった頃は、発熱で保育園から早く帰ってきてしまい、仕事にならない! ということがあり、葛藤した経験もありました。

そういうときこそ「仕事の代わりはいるけれど、家族にとってわたしの代わりはいない!」と唱えて割り切るようにし、そのぶん、自分がいつ抜けてもよいような仕組みを作ることに注力しました。

「仕事と家庭なら、家庭を優先します」と明言するだけでは、仕事への覚悟が伝わりません。しかし、代替可能な仕組みを作ることで、「この人は本気で仕事と家庭の両立を目指しているんだ」と周囲に伝わりやすくなります。

代替可能な仕組み作り、というのにはポイントがいくつかあると感じているのですが、

  • 業務を可能な限りまで分解=タスク化する
  • そのタスクの段取りを「誰がやっても同じ結果が出る」くらい平準化する
  • タスクの流れを明文化し、マニュアルにしておく

という感じで、やるべきことの解像度を上げ、その業務の本質は何かを考えたうえでやるべきことをしっかり言語化しておく。言語化しておくことの重要性は、「ほかの人にもわかる状態にしておく」ためです。この流れは、どんな業務にも転用できるのではないかと思っています。

もちろん、限られた業務時間で求められている成果を出す努力もしました。でも、自分に合っているやり方なので、苦じゃなかったんですよね。それもまたよい発見でした。

そして自分が管理職側になったとき、そうやって動く部下のありがたさを実感することになります。決められた時間で働き、成果を出す。急に担当が変わっても、業務が止まらない仕組みを作り続ける。自分を助けるための仕組みが、会社の役にも立っていたのです。

部下に「どんな働き方をしたいか」聞いてみた

その後、わたしと同じように働きながら子どもを育てる部下を持ちました。そこで、まずしたのは「あなたはどうしたい?」と聞いて、考えてみてもらうことです。

というのも、わたしは過去に「あなたは子どもを預けてまでフルタイムで働くのだから、バリキャリ志向ね!」と勝手に判断され、仕事をぎゅうぎゅうに詰められたことがありました。子どもを夫に任せて、泊まりの出張へ頻繁に出なければならなかったりと、仕事と家庭の板挟みになり、とてもつらかった経験があります。

自分が選んだわけでもないのに、相手から「よかれ」と押し付けられるのは本当につらい。でも、そうなってしまう原因のひとつに、「自分でも自分がどうしたいか分かっていない」こともあったんですね。

少し話が逸れますが、子どもを産んで家庭を運営しようとすると、本当に自分と向き合う時間は減ります。幸せな悲鳴ではありますが、それでも「わたしってどうしたいんだろう?」を自分に問いかける時間が減るというのは、とてもあやういこと。

自分に向き合わずにいると、「母親はこうあるべき」「ワーママはこうあるべき」という「べき」に沿って流されてしまい、自分の本当にやりたい方法を選ぶことが難しくなってしまいます。

自分と向き合うこと。自分がどうしたいかを考え抜いて、何かを選ぶこと。そのきっかけを与える、というのも上司が出すべき指示のひとつではないかと思うのです。

そのうえで本人がマインドも環境も「仕事に全力投球できる」のであれば、その方向で業務を調整するし、家庭を優先したいというのであっても同様です。価値観やその人の選択を尊重し、その上で業務を調整するのが管理職の仕事だと考えています。

とはいえ、「業務を調整する」と簡単に書いていますが、具体的にどんなことをするのか。

これに対する完璧な正解はまだ見つけられていないものの、現時点で思う、もっとも重要な管理職の仕事は、「何をやめるか決めること」ではないかと感じています。

仕事自体、やろうと思えば無限にできてしまう。やったほうがいいこと、やりたいこと、やるべきこともさまざまです。現場のメンバーにとっては、「あれもこれも、やることがたくさん!」という状態に陥りがちです。

そのうえで、「いま、このタイミングでやるべきこと」を意思決定し、逆に「このタイミングでやらなくていいこと」も決める。これはチームや全体のことが見えていて、進むべき方向を決める決裁権のある管理職がやる仕事ではないでしょうか。

「とにかく会話」からすべてが始まる

ここまで書いてみると、わたしが仕事も私生活も優先する「フルキャリ」なスタイルを実現できているのは、まず「自分」と会話し、「周囲」と会話することができているからだな、と感じます。

そのためには意識して会話する時間を確保することが大切。日々、忙しくしていると「自分ひとりでゆっくり考える時間なんて……」と思うかもしれません。でも、そういうときほど、少し立ち止まって「自分はどうしたい?」を自分と会話してみて欲しいのです。

もちろん、自分と会話してみて「まだ、わからない」となることもあると思います。 であれば、それをパートナーや信頼できる同僚・上司に打ち明けてみるのはどうでしょう。会社の人には話しづらい……というのであれば、外部のカウンセリングやコーチングを受けてみるのもいいかもしれません。

まず、なにしろ「他者と会話する」を始めてみてください。

人に話そうと思って話し始めると、意外と気づいていなかった自分の本心が出てくることもありますし、自分の話したことへのフィードバックというのは、他者がいないとできません

そのうえで、最終的に決めるのは自分。

理想の働き方がすぐに実現できなくても、「自分はこうしたいんだ」という軸は、きっとあなたを支える杖になってくれるのではないかと思っています。

執筆:はせおやさい/イラスト:マツナガエイコ/企画・編集:深水麻初(サイボウズ)
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執筆

ライター

はせ おやさい

会社員兼ブロガー。はてな(id:hase0831)を中心に活動。仕事はWeb業界のベンチャーをうろうろしています。

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撮影・イラスト

イラストレーター

松永 映子

イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。

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編集

編集部

深水麻初

2021年にサイボウズへ新卒入社。マーケティング本部ブランディング部所属。大学では社会学を専攻。女性向けコンテンツを中心に、サイボウズ式の企画・編集を担当。趣味はサウナ。

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