ソフトウェアエンジニアが躍動する世界を。
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この記事は、デンソーが運用している「キャリアイノベーションプログラム」と、その一環であるSOMRIE認定制度について詳しく説明しています。この制度は、ソフトウェアエンジニアが自らの能力を把握し、成長と活躍を促すためのもので、社会価値創造や管理、開発技術など18の専門性にわたる段階が設定されています。この記事では、SOMRIE制度がどのように個人の能力の見える化を促し、新たなチャレンジを可能にするかについての事例や、SOMRIE認定を受けた近藤さんのキャリアや功績、実際の彼の業務内容が紹介されています。具体的な応用例としてコネクテッドカーやフードデリバリーサービスへのソフトウェア開発がどのように行われているかも示され、また、多国籍チームの運営方法や、日本企業がグローバルなエンジニアをどう巻き込みながら組織文化を進化させているかについても言及されています。
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2024.7.4
キャリア・生き方ソフトウェアエンジニアが躍動する世界を。
デンソーをけん引するSOMRIEの願い
デンソーは、エンジニア一人ひとりがキャリアを自分発で描き、組織を超えて成長・活躍しながら個の才能を磨き続けるための制度として、「キャリアイノベーションプログラム」を運用しています。その中の一つとして、自身の能力を把握するために保有スキルを客観的に認定するのが、ソムリエ(SOMRIE™)認定制度。近藤 真之は、同制度のソフトウェアアーキテクトと高度プログラマーに認定された第一人者です。めざすのは「ソフトウェアエンジニアが躍動する世界」の実現。仕事の醍醐味や、制度への期待を語ります。
この記事の目次
コネクテッドカーのソフトウェアを開発し、宅配事業で実用化
──SOMRIE認定者として現在活躍中ですが、どのような仕事をされているのか教えてください。
コネクテッドカー(ICT端末としての機能を持つクルマ)のソフトウェアを開発している部門で、マネジャーを務めています。具体的には、フードデリバリー事業者の宅配車両をコネクテッドカーにするためのソフトウェアを提供し、実際に業務で使用されています。
※ ICT:Information and Communication Technology(情報通信技術)
フードデリバリーのドライバーは電動車で店舗に行って商品を入手し、お客さまの自宅などに届ける業務を繰り返しますが、その際に「最初にどの店舗に行き、どのルートでお客さまに届けることができたら効率的か」などを計算するプログラムを動かすためのソフトウェアを開発しているんです。いわば、事業者のフリートマネジメント(企業の事業用車両などの運行を適切に管理すること)のサポートですね。
──事業者からはどのような要望を受けますか?
フードデリバリーでも多く使われるようになった電動車のバッテリー残量を正確に予測したい、という要望を多く受けています。事業者としては、配達途中でバッテリーが切れてしまったら、もちろん商品を配達できないですし、何より残量がなくなるかもしれないと不安を抱きながら運転することは、とても危険ですよね。正確に予測ができるようになれば、安心して、より多くの商品を宅配することできるというわけです。
──正確に速く届けるだけではなく、安心・安全のサポートでもあるのですね。とてもやりがいのある仕事に感じます。
そうですね。事業者と直接会話しながら開発し、また、状況を確認しながら改善するという、小さなループをスピーディーに回して、実際にそれを実現できた時には、やりがいを強く感じます。そして、事業者の方が喜んでくださると、とてもうれしいものです。
入社3年目で「天才プログラマー」に。社外のエンジニアに刺激され、発想を転換
──いつごろからプログラミングに興味を持ち始めたのですか?
小学生の時です。授業で先生からプログラミングを教えてもらい、パソコンゲームを作ったんですが、自分がプログラムしたものが目に見える形となり、思わず、「動いた!」と声を出して感動したんですよね。それから関心が膨らみ続け、高校入学のお祝いで、祖父にお願いをしてパソコンを買ってもらったんです。本当にうれしかったですね。
それから、ずっとコードを書く毎日。この先も書き続けたいと思い、大学と大学院では情報工学を専攻しました。そして在学中には、もっと多くの方に使っていただき、さまざまな効率化に役立ててほしいと思い始め、ソフトウェアを開発して公開するようになりました。
──入社してもう20年目ですね。なぜデンソーへ入社されたのですか?
知り合いから、「デンソーは自動車部品メーカーでありながら、ソフトウェア開発もしているようだよ」と教えてもらったんです。自分の開発したプログラムが、すぐに社内で実装確認できるのではと、とても興味が湧きインターンシップに応募しました。
そして、思い描いたとおりだったので、入社を決めたんです。
──入社後、印象深い出来事はありましたか?
入社3年目の2007年、経済産業省所管の独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」の未踏ソフトウェア創造事業で天才プログラマー/スーパークリエータに認定された時のことです。先輩社員の紹介で応募し、何回も繰り返すパソコンでの作業を自動化したり、難しい作業をワンクリックでできたりと、使う人の操作を助けるようなソフトウェアを作りました。制作している時はすごく楽しく、そして認められたことはとてもうれしかったです。
一方で、自分の視野の狭さを思い知らされました。未踏ソフトウェア創造事業では、私が知らない便利なITサービスがたくさん作られており、その場に集まっていた他社のエンジニアたちは当然のようにIT関連の話をしていました。私が進めていたプロジェクトの開発は、新しい技術を取り入れるという点で、断然、遅れをとっていると感じて恥ずかしい思いをしました。それ以来、自分も小さくまとまることなく、学び続け、新たなチャレンジを続けようと心に決めたんです。
──近藤さんは2022年、SOMRIEに認定されましたが、このSOMRIE制度について教えてください。
デンソーでは、エンジニア一人ひとりがキャリアを自分発で描き、組織を超えて成長・活躍しながら個の才能を磨き続けるための制度として、「キャリアイノベーションプログラム」を運用しています。その中の一つとして、エンジニア一人ひとりのソフトウェアスキルを把握、また、社外アセッサも交えて客観的に認定するのが、ソムリエ(SOMRIE™)認定制度です。
社会価値創造要素、管理要素、開発技術要素、専門技術要素の4区分で、計18種(データサイエンティスト、セキュリティスペシャリスト、システムアーキテクトなど)のケイパビリティ(専門性)が設定されています。それぞれにレベルが7段階あります。
この制度の運用によって、ソフトウェアエンジニアの育成・強化が期待されています。モビリティにおけるソフトウェアの領域から適用を開始し、2023年末時点で50人のSOMRIE認定者がいます。今後は他の事業領域にも拡大する予定です。
──なぜSOMRIEをめざそうと思ったのですか?
他企業の従業員を受け入れ、新たな開発方法を教えているという米サンフランシスコのIT企業で、2019年に2カ月間、ソフトウェア開発に携わる機会がありました。開発を心から楽しみ、目を輝かせているハイレベルなエンジニアたちの姿に感動し、「自分もこうなりたい」「こういうエンジニアたちの集団をつくりたい」と思ったからです。
デンソーも、ソフトウェアエンジニアが周囲からより認められる環境になれば、志高く、楽しみながら開発する人が増えるはず。その環境づくりに貢献したいと思い、SOMRIE認定制度に申請しました。
SOMRIE認定制度で見える化された、各自の能力。仕事の広がりに期待も
──SOMRIEに認定されることで、何が変わると感じていますか?
私は現在、ソフトウェアアーキテクトとしてレベル5、高度プログラマーではレベル4。それぞれ社内の第一人者、部署内の第一人者、というレベルです。
このレベルに認定されたことにより、間違いなく自信につながり、もっと頑張ろうとモチベーションを高められたと思います。そして、制度によって各自の能力が見える化されたことで、複数のSOMRIEたちを巻き込んだ新たなチャレンジができるなど、仕事の幅が広がっていく可能性を感じています。
発展途上の制度だとは思いますが、対外的に「製造業のイメージが強いデンソーがソフトウェアを本気で強化しようとしている」ことを知ってもらうきっかけにもなっていると感じています。
──SOMRIEとして、モットーがあれば教えてください。
一番大事にしているのは、プログラミングなどの活動自体を「楽しい」と思うこと。楽しいかどうかで、成果は何倍にも変わると思っています。楽しいという気持ちをモチベーションにして自己研鑽し、成果につなげる。そんな好循環をつくれたら良いなと思っています。そして、やはり、自ら目標を持ってプログラムを作り上げて、それを達成することが大事だと思います。
──まさにそうですね。そんな近藤さんが最も喜びを感じる瞬間は?
私は、作ったものが動いた瞬間ですね。思った通りに動いて、それを誰かが使って、何かの役に立つ。そんなシーンを想像するだけでワクワクするんですよ。
そもそも、われわれのソフトウェア事業は10件やって1件成功すればいいとされる分野。「この機能が動いた」「おっ、この機能も動いた」という感じで、最後に本物のクルマに組み込み、チームメンバーで「やったー!」と喜び合ったことも。そういう瞬間は、実に快感ですね。
──近藤さんのチームメンバーも気になります。今の職場環境も聞かせていただけますか?
メンバーは17人いて、そのうち8人が外国籍で、一番多いのがインド出身、次に多いのがアメリカやシンガポール出身のメンバーです。
多彩なメンバーが東京と愛知の2拠点に分かれて勤務しています。このような職場のため、他メンバーとオンラインでつながりながらペアプログラミングをするようにしていますね。チーム内では、楽しいと評判ですよ。ペアを定期的に入れ替えることで、情報のスムーズな共有をめざしています。
──気持ちよく働けるように配慮しているのですね。
メンバーから「日本語を聞くと、ついていけなくて寂しくなる」という声を受けて、日本語チームと英語チームに分けて、それぞれ週1回、「ティータイム」という雑談の時間を設けるようにしました。この場ではプライベートについて話したり、英語チームでは日本語学習ゲームをしたりして、親交を深めています。
「デンソーには近藤がいる」。そう認知される世界的プレーヤーをめざして
──近藤さん自身はこの先、どんなケイパビリティやレベルをめざしたいですか?
ソフトウェア開発に関わるケイパビリティはすべてレベル7にすることが目標です。世界的なプレーヤーとして認められるレベルですね。社外から「デンソーには近藤がいる」と認知されるレベルにたどり着くことで、何かが動いていけばいいなと思っています。
──そのレベルに到達するためには、何が必要でしょう。
国内はもちろん、世界的な評価が必要で、社内外に認められるものを作らないと実現できないと思っています。たとえばオープンソースのプログラムを作ったり、何か画期的な発表などを行ったりすることでようやく認められるのではないでしょうか。なので、私は毎年のように新しいソフトウェアをリリースし、皆さんに広く使っていただきながら勉強しています。
──近藤さんは今後、SOMRIEたちのトップに立つような存在になるのでは?
ソフトウェア開発に関してはトップであり続けたいです。自分が背中を見せて、というと上から目線かもしれませんが、仲間がどんどん増えていって、その人たちがさらに新しい人たちに背中を見せるような形につながっていけばうれしいですね。私も継続的に自身を成長させながら、後進の育成に力を尽くしていきます。
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
近藤さんのインタビューは以下の動画でもご覧いただけます。
仕事の醍醐味や、SOMRIE制度への期待をぜひ動画からも感じ取ってみてください。キャリア・生き方執筆:PR Table 撮影:株式会社デンソー 先端技能開発部
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