コックピットディスプレイの大型化が広がれば、安心できる移動社会も広がる。
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- 自動車業界の技術者
- デザインやUXに興味のある学生
- 未来のモビリティに関心のある一般消費者
- ディスプレイ技術の専門家
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この記事では、モビリティ技術が急速に進化し、自動車のコックピットディスプレイが大型化することで生まれる新しい移動体験について述べられています。特に、デンソーが開発したPillar to Pillar Displayが、運転席から助手席までを覆う大画面ディスプレイであること、その設計においては運転の安全性を第一に考慮し、太陽光による反射を防ぐなどの機能が備えられていることが強調されています。また、このディスプレイが個々の乗客の状態を考慮し、その場に応じた情報を適切に提供することで、快適で安心できる移動体験を実現するというデザイン思想が語られています。
さらに、デンソーの開発スタンスとして、単なる製品開発にとどまらず、ユーザー体験を中心に設計を進める姿勢が強調されています。これはプロトタイプを用いた実験的なアプローチを重視し、アジャイルな開発手法を採用していることに現れています。こうして開発されたディスプレイが、モビリティ社会において移動の利便性と安全性を両立させる新しい技術的な回答となり得ることが示唆されています。
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2020.12.18
ビジョン・アイデアコックピットディスプレイの大型化が広がれば、安心できる移動社会も広がる。
ディスプレイは、体験をつくり共有するハブになる
モビリティの技術はめまぐるしい勢いで進歩しています。ますます多くのセンサーが搭載され、自律した生き物に近づいていく。人工知能はますます運転上手になっていて、私たちに安心安全な移動をもたらす頼もしいパートナーになりつつあります。
技術の進化は、移動中において発生するさまざまな義務や制約から私たちを解放してくれます。ドライバーは、これまで以上に運転に集中できるようになり、またその逆も。運転の義務から解放されることで、助手席や後部座席の仲間といろいろな体験を共有できるようになります。
この記事の目次
体験を共有するために必要なもの
いま、モビリティの進化にあわせて、コックピットディスプレイの大型化が進んでいます。なぜなら、パブリックビューイングがそうであるように、体験を大勢で共有するには大画面が極めて効果的だからです。ますます進むディスプレイの大型化は、ドライバーが運転にもっと集中できるようになるのはもちろんのこと、これからの移動を、乗車する全員で楽しめるようにしてくれます。
デンソーでは、大型化の普及を阻むあらゆる課題を克服する、Pillar to Pillar Display という画期的な製品を開発しました。運転席から助手席まで横断する大画面のディスプレイです。太陽光の反射を防ぐなど、安全を第一に追い求めた機能性。シームレスな表示と曲面表示を実現させた意匠性。そして、モビリティに搭載できる現実的なところまでコストを抑える工夫。あらゆる壁を乗り越えて、いよいよ、世界中に届けていくための準備が整いました。
それは、移動に最適化されたディスプレイ
手軽さや便利さだけならば、普段使っているタブレットやスマホを後付けすればいいのかもしれません。しかし、人の命にかかわる移動は、利便性よりも安全であることが優先される世界。適切な情報を、適切なタイミングで、適切な場所に、適切な手段を用いて通知することが求められています。
例えば、太陽光の反射。どれだけ美しく光り輝くディスプレイでも、反射がひどく運転に支障をきたしては、使い物になりません。また、タブレットやスマホの画面は、スワイプ、スクロール、ピンチアウトなどの“操作ができる”ことを前提に、コンパクトにつくられています。それに対して、運転中に複雑な操作はできません。ですから、なるべく操作レスな設計を考えてあげることが必要になります。
ディスプレイ単体で機能するのではなく、モビリティと深く協調できることもPillar to Pillar displayの大きなメリット。例えば、ドライバーの視線を捉えて、視線の先に緊急性の高い情報を割り込ませて表示させることだってできます。
これからのモビリティは、乗車する一人ひとりの状態を把握して、車内の空気質や温度・湿度も快適に保てるようになっていきます。そのときの車内がセキュアで快適な状態であると、ディスプレイを通じて個別に通知することで、移動体験をシェアする全員が心からくつろげる状態をつくり出せる。私たちはそう考えています。
「共に移動する一人ひとりにとって快適で安心できる移動体験とは、どんなものだろう?」
この問いを前に考え抜いて出来上がったディスプレイは、タブレットやスマホとは全く違う形状で、違ったアルゴリズムによって動くものになりました。移動には移動のためのディスプレイのかたちがある。
それが、デンソーが導き出した答えです。僕らは“製品”をつくるのではなく、”体験”をつくっている
そのときに理想論ばかり語っていても、未来はいつまで経ってもやってきません。未来は語るものではなく、つくるもの。デンソーが掲げるタグライン「Crafting the Core」 が表すように、デンソーの開発プロセスでは、”頭”と同時に“手”を動かします。
実物の試作品を見ながら開発チームが集まり、フットワークを軽くしてアイデアを出し合う。そして、実際の見え方を知るために、インパネを取り外した実車を用意してモックを置いてみるなど、現実のシーンを想定して、仮説と検証を繰り返します。理詰めありきではなく、”現地・現物”をもとに理論を追いつかせ、課題をつぶしていくのです。
まずつくってみる。早い段階で挑戦と失敗を繰り返すことで、足りないものをいち早く知ることができます。課題を自分の中に持つことができれば、アンテナが立っている状態になります。「医療界や建築業界の技術展示会にも足を延ばす」と言う彼ら。常にアンテナが立っているからこそ、違う世界のアプローチや新しい発想を柔軟に取り入れられる。そして結果的に、人間にとって本当に大切なものを誰よりも早くみつけ、実装することができるのです。
デンソーの開発現場には徹底したユーザー思考があり、さまざまな技術者が集まってプロトタイプをつくり、仮説と検証を繰り返す文化がある。それを、コックピット統括部長の加藤は 「それって、いまふうに言うとアジャイルだよね」 と表現します。
デンソーは、スペシャリストが集まる部署として”UXイノベーション統括室”を東京に開設しました。今後さらに、UX起点の開発サイクルに磨きをかけていきます。本当に必要なものは、パソコンや机の上でなく、人間中心に考え、実体験をベースにしてつくられます。そのプロセスは、”製品をつくる”というより”体験をつくる”感覚に近いのでしょう。
誰もが安心できる移動社会をめざして
いまは運転席から助手席までの情報共有でも、
ゆくゆくは、コックピット内の全域をカバーしたい。
それが実現できれば、移動はもっと豊かになるはず。
さらにコミュニケーションの領域は社外へ。
待ちゆく人と、モビリティのコミュニケーションもできるようになれば、
より安心して暮らせるモビリティ社会を築くことができる。
コミュニケーション可能な領域が広がれば広がるほど、
安心できるモビリティ社会が拡大していく。私たちはそう考えています。
モビリティを利用する人だけでなく、利用しない人も安心して暮らせるモビリティ社会の構築を目指し、私たちデンソーはディスプレイを大型化し、あらゆる人の生活に実装していきます。
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