サイボウズ株式会社

Facebookは仕事で使える? ループスが出した答えとは

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 企業の経営者
  • マーケティング担当者
  • ソーシャルメディア活用に興味のある人
  • チームワークやコラボレーションに関心がある人
  • ツール選びに迷っている企業の管理職
  • ITやデジタルコミュニケーションに強い関心を持つ人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むことで、株式会社ループス・コミュニケーションズの社内でのツール活用法と、その背景にある考え方を知ることができます。ループスでは、情報の流動性を重視し、社内連絡にFacebookグループを活用しています。社員全員が参加する一つのグループを活用することで、情報の分散を避け、気軽に情報を共有できます。また、Facebookの検索機能を利用し、必要に応じて過去の情報を遡る点も利便性の一部です。ストックしたい情報については、Dropboxを利用し管理しています。これは、ローカルのフォルダと同期できる利点が大きく、バージョン管理が容易になるためです。クライアントとの情報共有においてもFacebookグループを活用しており、コミュニケーションの迅速化とスケジュール調整の容易さがメリットとされています。これらの活用法はクライアントのリテラシー向上にも寄与しています。柔軟な働き方を実践する中で、オンとオフの切り替えの重要性についても触れられ、社員が自主的に時間を区切ることが推奨されています。最後に、企業のソーシャルメディア活用が今後も広がる可能性について触れ、仕事プラットフォームとしてのFacebookの進化の展望や、社員同士のコミュニケーションを促進する仕掛けとしてゲーミフィケーションの要素を取り入れることの可能性についても示唆しています。

Text AI要約の元文章

あのチームのコラボ術

Facebookは仕事で使える? ループスが出した答えとは

「ほかの企業では、どんなツールを使って、どんな風にチームで仕事をしているんだろう」と疑問に思ったことはありませんか? 普段なかなか見ることのできない、チームで進める仕事の裏側を探ってみようという本企画。

第1回目は、国内有数の大企業を始め数多くの企業のソーシャルメディア活用を支援する、株式会社ループス・コミュニケーションズ(以下ループス)さんにお邪魔しました。インタビュアーはサイボウズ式 編集長の大槻。日々サイボウズを使ってお仕事されている大槻さんがほかの企業のツール活用をのぞいてみると、思いがけない発見がたくさんあったようです。

今回お話を伺った岡村健右さん。ループスでは、ゲーミフィケーションとエンタープライズソーシャルネットワークを専門とするコンサルタントをされている。

「使い捨て」の情報だから、社内連絡はFacebookグループで完結

大槻

まず、ループスさんが社内で使っているツールについてお聞かせいただけますか?

Facebookのグループ機能を非公開にして利用しています。このグループには社員全員が入っていて、自分の専門分野に関する情報共有や発信をするために、みんなでディスカッションをしたり、クライアントの情報やベンチマークしている企業の情報を共有しています。

大槻

えっ、社内全体でグループはひとつだけなんですか?情報がごちゃまぜになって困ることはありませんか?

社員がそんなに多くないので、ひとつで十分です。ループスでは一人ひとり専門分野が異なるので、グループを複数に分けたとしても情報が分散してしまうだけなので。

大槻

サイボウズ社内ではテーマごとに情報を分けて管理しているので、すごく意外ですね。では、フロー情報と割り切って利用されているんですね。

我々の扱っているソーシャルメディア関連の情報は鮮度が命です。あまりストックするようなものでもないですし、流れてしまってもほとんど問題ありません。使い捨ての情報で良いんですよね。その気軽さがあるので、みんな積極的にどんどん投稿しています。最近Facebookグループ内で日本語検索ができるようになったので、過去にさかのぼりたいときは検索すれば良い。とても便利になりました。

セキュリティの観点から蓄積したい情報は他のツールで管理

大槻

では、作成した資料など、ストックしたい情報はどうされているのですか?

クライアントへの納品物などストックしたい情報は、「Dropbox」に入れて管理しています。他には、スケジューラーや電話メモに「iQube(※)」を使っていて、会議中に複数人で資料を編集する際には「Google Docs」を使っています

(※ループスが開発したグループウェア。現在は事業譲渡している。)

大槻

Dropboxを採用されたのはなぜですか?

一番大きな理由は、ローカルのフォルダと同期できるからですね。一般的なグループウェアで管理すると、資料の修正が入る度に、アップロードとダウンロードを繰り返さなければならず、バージョン管理がとにかく面倒。ローカルかオンラインかを意識することなく、フォルダへ放り込めば良いところが気に入っています。

大槻

先日、Facebookグループ内でファイル共有ができるようになるという発表がありましたが、今後活用される予定はありますか?(5/30 追記:ファイル共有機能は既に利用できます)

いえ、当面は使わないと思います。クライアントとはNDAも交わしていますし、弊社はプライバシーマークを取得していますので、社内での共有をする際はその辺りはきっちり検討していかないと。

クライアントともFacebookグループで情報共有

大槻

次にお仕事の流れについて伺いたいのですが、ループスさんの典型的なプロジェクトは、通常どのように進んでいくのですか?

弊社の営業スタイルとして、アウトバウンドの営業はしていません。その代わりに「in the looop」という自社ブログで情報発信をしていて、それを見てくださった方から「ソーシャルを使って何かやりたい」とお問い合わせをいただきます。その後、打ち合わせをして契約が決まれば、コンサルタントがつき、企業のFacebookページの運用サポートを行ったり、資料やレポートを納品する、というケースが多いです。

ループスが運営するブログメディア「in the looop」。高い専門性を持ったコンサルタントが情報発信することで、人気を集めている。

大槻

なるほど。それでは、案件ごとの情報管理は、どのようにされていますか?さすがに社内でひとつのFacebookグループだけでは、厳しいものがあるのでは?

そうですね。案件ごとの情報管理は、前述の社内用グループでは共有しません。その代わり、案件が決まった段階でクライアントにも入ってもらったFacebookグループを作ります。メールと違って、コミュニケーションのスピードが速いです。スケジュール調整もすごく楽です。私たちの仕事は、長期でお付き合いさせていただく場合が多いので、継続的なやり取りをする場として、クライアントといっしょにFacebookグループを活性化させておくことは重要なんです。

ループス社で利用しているクラウドツールを社内、社外で整理してみた

大槻

Facebookグループで情報共有ができてしまうなんて、ループスさんのお客さんはリテラシーが高いんですね。

いえ、一概にそうとも限りませんよ。Facebookを使ったことがない人には、私たちが教えます。稀にFacebookが禁止されている会社の場合にはYammerなどその他のツールを紹介し使う場合もありますが、たいていはFacebookを使ってもらいますね。

大槻

私の場合はサイボウズLiveを使ってお客さんとやり取りをしますが、比較的わかりやすいUIのこのサービスでも、戸惑う方は皆無ではありません。初めてFacebookを触ったお客さんが、いきなり仕事に関するやりとりをFacebookグループで行うというのは、ちょっと抵抗があるように思うのですが。

Facebookが今ほど普及していない時はそうでしたけれど、みなさん実際に使い始めると、その便利さ&楽しさをわかってくれます。また、このやり方は、クライアントの担当者のリテラシー向上にもつながっています。ソーシャルで何かやりたいのであれば、Facebookは避けて通れませんからね。まずはFacebookに慣れてもらうために、グループを使った練習をしてみるのは、非常に効果的だと思っています。

大槻

岡村さんがご自身で管理されているFacebookグループを活性化するために、工夫している点があれば教えていただけますか?

「こうした方が良いですよ」というレールは用意してあげますが、「こうしなきゃいけない」という押しつけはしないようにしています。クライアントに合わせてわかりやすい表現でコミュニケーションをとることや、何かしらの情報を絶やさないように配慮しています。

大槻

私はFacebookを完全にプライベートで利用しているので、よく想像できないのですが、更新情報のアラートがたくさん溜まったり、タイムラインに仕事とプライベートの両方の情報が流れて来ることで、困ることはないですか?

アラートに気を取られると仕事にならないので、グループ名の横に出る数字を見るようにしています。あと、集中したいときはFacebook自体を閉じることもありますね。これは電話やメールでも同じなのでは?

大槻

なるほど。それでは、企業が仕事でFacebookグループを使う際に、ネックになることは何もないですか?

うーん...。現状、追加のメンバーをグループに招待するには、誰かがその人と友達になっていないといけないので、そこがネックになることはあるかもしれません。プライベートを見られることを嫌って、"会社の上司や同僚と友達になりたくない"という人は少なからずいますから。但し、公開制限をちゃんと設定すれば心配ないので、今後はその辺りのアナウンスが重要になると思います

自由過ぎるワークスタイルだからこそ気をつけていること

大槻

ところで、ループスではかなり柔軟な働き方をされていると耳にするのですが、就業規則ではどのように決められているのでしょうか。

社内規則では「9時から18時の間に仕事をして、お客さまの期待に応える結果を出せれば、どこで働いても良い」と決まっているので、効率的に働くためなら、必ずしも社内にいなくても大丈夫です。

大槻

では、現在のワークスタイルで不都合なことはありませんか?

そうですね。かなり働きやすい環境を作ってもらっているので、不都合なことは特にありません。ただ、強いて言うなら、インフラが便利になった分、オンとオフの切り替えを上手に行う事が大切になりますね。昔は、会社のPCでないとメールさえ見られない環境でしたけど、今はどこにいても、いろんな経路から連絡が取れますので。

大槻

確かに、どこでも働けるからこそ自分で区切らないと。

はい、その切り替えは大切です。緊急時は仕方ないですが、会社としても、社員が休みの日まで働いたせいで倒れてしまったら、それはリスクです。周りから"いつでも対応してくれる人だ"と思われていると、当たり前のようにお願いされてしまいますから、"オフの時間は対応しない人なんだ"と周囲に認識してもらうこともひとつ重要なスキルだと思います。

仕事プラットフォームとしてのソーシャルメディアの未来

大槻

今後、ループスさんのようなFacebookの使い方をする企業は増えて来るのでしょうか?Facebookは仕事もできるプラットフォームとして、進化してくると思いますか?

私自身は、今後FacebookはYammerのように社内向けのエンタープライズ版を出してくるのではないかと考えています。Facebookが学生向けに追加した機能である「Groups for Schools」。これは教育機関向けの「.edu」ドメインを持っている学生に限って使える機能ですが、同じ仕組みを転用すれば社内向けSNSも簡単に作れるので、可能性は高いのではないでしょうか。

大槻

最後に、コミュニケーションのしかけを作るプロであるループスさんにお聞きしたいのですが、一般的な社内のコミュニケーションツールに追加した方が良いと思われる機能は、何かありますか?

バッジを使って"ゲーミフィケーション"の要素を取り入れたツールをどこかで作ってくれないかなと思っています。シンクスマイルさんの取り組みがおもしろいのですが、バッジの仕組みを取り入れることはコミュニケーションの良いきっかけにもなりますし、モチベーションの向上にもつながります。

株式会社シンクスマイルでは社員同士が互いに評価しあう、バッジによる評価制度を導入している。

社内コミュニケーションの活性化のために、高額をかけてツールを導入しても、限られた人しか書き込まずに廃れていくケースが後を絶たないです。社内のグループを活性化させるためには、インセンティブとなるモチベーションを与えることが大事だと思います。

参考:バッジで仕事を楽しくする方法 ~ 企業内ゲーミフィケーション事例

大槻

ありがとうございました。

株式会社ループス・コミュニケーションズ 「Socialmedia Dynamics:共感と信頼の絆をデザインする」を標榜し、国内有数の大企業を始めとする数多くの企業のソーシャルメディア活用全般を支援している。代表取締役の斉藤徹氏は、『ソーシャルシフト』(日本経済新聞出版社)の著者でもあり、ソーシャルメディアのビジネス活用における第一人者として、幅広く認知されている。

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執筆

ライター

野本 纏花

デジタルマーケティングを専門とする元マーケターのフリーライター。ビジネスメディアを中心に多数のWebメディアで執筆中。

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編集

編集部

大槻 幸夫

サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 チームワークスタイルエバンジェリスト

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