
「負ける悔しさ」に突き動かされて

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- 卓球選手や卓球ファン
- スポーツに情熱を持つ若者
- 勝負の世界で活躍したい人
- メンタルを強化したい競技者
- デンソーファンや関係者
- 負けず嫌いの人
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この記事は、卓球選手である橋本帆乃香選手のキャリアと、その根底にあるメンタリティーについて詳しく紹介しています。彼女は幼いころから「負けたくない」という気持ちを持ち続け、それが成長の原動力となっていることが述べられています。特に、2019年世界選手権での成功や2024年のWTTファイナルズでの優勝など、彼女が国際大会での活躍を通じて見せた「1%の可能性を信じ抜く姿勢」が、メディアや関係者から高く評価されている点が強調されています。
また、記事では彼女の幼少期からの卓球に対する関心の高まり、試合に対する覚悟、そして国際的な場での経験が彼女に与えた自信や成長についても語られています。デンソーに移籍したことで新たな環境を得て、更に世界で活躍し、デンソーの名を広めたいという彼女の意気込みも述べられています。さらに、彼女が卓球の魅力を「技術、判断力、メンタルの強さが問われる」と分析し、試合でのメンタルコントロールの重要性についても説明しています。
最終的に、記事は橋本選手の今後の目標や、彼女がなぜ常に前向きにチャレンジし続けるのかという問いに対し、「負ける悔しさ」が彼女の原動力であることに触れています。
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2025.6.25
キャリア・生き方「負ける悔しさ」に突き動かされて
──1%の可能性を現実にする不屈のメンタリティー
この記事の目次
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橋本 帆乃香(はしもと ほのか)
1998年生まれ。祖父が教えるクラブで5歳から卓球を始め、大阪・四天王寺高校で全国高校総体シングルス2位。ミキハウスに入社し、佐藤 瞳選手とのダブルスで2019年世界選手権銅メダル、24年WTTファイナルズ優勝。25年にデンソーに移籍。戦型は右シェークカット型。世界ランキングの自己最高は12位。
2025年、デンソー女子卓球部「デンソーポラリス」に移籍した橋本 帆乃香選手。国際大会で優勝を重ねて世界ランキングを駆け上がり、注目を集める26歳のプレーヤーです。「1%の可能性」を信じて大会に挑み、頂点に上りつめたエピソードや、自らが世界で戦う上での原動力について語ります。
この記事の目次
幼い頃から変わらないのは「負けたくない」気持ち
──まずは幼い頃のお話から聞かせてください。5歳で卓球を始めたそうですね。
はい。祖父が教えているクラブで卓球を始めました。初めて練習場に行った時、当時中学生の石垣 優香さん(後の世界選手権代表)が、ラケットを持つ私の手を握り、一緒にサーブの練習をしてくれたことがいい思い出として残っています。
──そこから卓球にのめり込んだきっかけは何かありましたか?
当初は卓球と並行してスイミングも習っていたのですが、あまり水泳が得意ではなく、卓球を続けることになりました。友達の家で遊ぶ時も、卓球の練習着を着て行って、終わればそのまま練習場にいく感じでしたね。実家が卓球用品店を営んでいたのも大きく影響しています。
──子どもの頃から、今も心に根づいているものはありますか?
「負けたくない」という気持ちは、ずっと変わらないですね。小学生の頃、県で1学年1枠の代表権を取れば出場できる全国大会があったのですが、同じ学年に強い選手がいたのでなかなか出場できず、すごく悔しい思いをし続けました。「負けたら出られない。勝つしかない」とずっと思い続けていましたね。
世界1位の壁を撃破。信じたのは「1%の可能性」
──2024年には国際大会シリーズ・WTT(ワールドテーブルテニス)を締めくくる「WTTファイナルズ」のダブルスで佐藤 瞳選手(以下、佐藤選手)と出場し、見事初優勝。印象に残るシーンを教えてください。
どの試合も印象深いのですが、中でも準々決勝で世界ランキング1位と3位の中国最強ペアに勝てたことです。正直、“かなり強いペアと当たることになった……”と不安もありましたが、自分たちはあくまで挑戦者。「戦えるチャンスが巡ってきたのだから頑張ろう」と気持ちを切り替えられて臨みました。
私たちのようなカットマン(守備型のプレーヤー)の球質に相手がおそらく慣れていなかったこともあり、こちらが2ゲームを先に取ることができたとき、 “これはいけるぞ”と手ごたえを感じたんです。3ゲーム目は落としてしまい、相手に流れをもっていかれそうになりましたが「ここから1ゲーム目のつもりで、気持ちをリセットしよう」と佐藤選手と話し、最後まで気持ちを強く持ち続け臨むことができました。その結果、勝利することができ、終わった瞬間、2人で「本当に勝ったの!?」と目を見合わせるほど驚きましたね。
──その後も勝ち続け、ついに頂点に立った心境は。
本当にうれしかったです。大会がテレビで放送されたり、多くのメディアに取り上げられたことで、友人や関係者からの反響も大きく、ようやく“優勝したんだ”という実感が湧いてきて、じわじわと嬉しさが込み上げてきた感じです。
でも実は、試合前から「私たちが優勝できる可能性はゼロではない」と思っていたんです。たとえ1%でも、その可能性を他の誰でもなく、“私たち自身”が最後まで信じ続け、目の前の一試合一試合に集中したからこそ、このような結果につながったのだと思います。
──1%しかない可能性を、なぜ前向きに信じることができたのでしょう?
卓球はその時々の選手の調子、組み合わせによって勝敗が左右される部分もあり、実際に対戦してみないとわかりません。だから、私たちも絶対に勝てないというわけではないと、そう本気で思っていました。
──大会を通じて得たものも大きかったのでは?
これまで中国のトップ選手と対戦する機会が少なかった中で、こうして勝ちきることができたのは大きな自信になりましたね。そして、この先まだまだやれるなという感触もつかみました。
チームメートと海外で活躍し、「デンソー」を世界に広めたい
──今シーズン、デンソーに移籍した理由を聞かせてください。
オリンピックや世界選手権の代表入りをめざし、海外の試合にどんどん出て世界ランキングを上げていきたいと思っていた中で、サポートに名乗りを上げてくれたのがデンソーでした。とてもありがたかったです。
練習に集中できる環境があり、実業団でもトップレベルの選手がそろうなど、チームとしての基盤が整っていることも魅力的で、移籍を決意しました。
──デンソーの雰囲気をどう感じていますか?
みんな、先輩に敬語を使ったり挨拶をしっかりしたりする一方で、若い選手が多いからか、いい意味でリラックスして楽しい雰囲気をつくれているように思いますね。
──移籍したばかりではありますが、橋本さんは今後、どんなチームにしていきたいと思っていますか?
それぞれ、強くなることをめざしてここで活動していると思うので、そんなチームメートと一緒にいずれは海外の大会で活躍し、デンソーの名前を世界にもっと広めていけたらとイメージしています。そのためにはまず、私自身が出場する大会で着実に勝ちを積み重ねていくことが大事ですね。
小さな台を挟み、敵と向き合う。人間力が問われるのが卓球
──2025年はシングルスでも絶好調ですね。
今、すごくいい感触があります。3月のWTTスターコンテンダーチェンナイ(インド)で(パリ・オリンピックメダリストの)早田 ひな選手に勝って決勝まで進み、そして翌月にはWTTコンテンダー太原(中国)で優勝し、自分の成長を実感しています。満足せず、このまま突き進み続けたいです。
──世界を舞台に戦い続けるモチベーションをどう保っているのでしょう?
日本国内の競争が激しいので気を抜いていられないのですが、卓球のことばかりを考えすぎると気持ちが滅入るので、オフの日はあえて競技から離れて休むようにしています。食べるのが大好きなので、おいしいお店を探したりするのが息抜きになっていますね。
──あらためて、卓球の魅力は何だと感じていますか?
卓球は小さな台を挟んで相手と向き合うので、技術だけでなく、判断力とメンタルの強さが問われるスポーツなんです。そこが、とてもおもしろく魅力に感じます。
相手を揺さぶろうと、わざと声を出す選手もいますが、そこで自分がいらついて失点したら相手の思う通りになり負けてしまいます。試合で切羽詰まれば、ごく短時間でどのような選択をするかが問われます。
──試合でも上のラウンドに進めば進むほど、メンタルが重要になりそうですね。
はい。上に行くとどうしても勝ちたくて安全にプレーしたくなるのですが、積極的に仕掛け、いかに相手にミスをさせるかが重要で、いつも自分が試されますね。体に力が入るとボールにかかる力も変わってくる繊細なスポーツなので、影響が出ないように自分のプレーに集中し、気持ちをコントロールしています。
──今後の目標を教えてください。
チームとしては日本リーグの前期、後期でしっかり結果を残してファイナル4に進み、昨シーズンかなわなかった優勝を果たしたいです。
個人では2028年のロサンゼルス・オリンピックが最大の目標です。私は今、世界ランキング13位で日本人では5番手なのですが、オリンピックの代表に選ばれるためにはまず、3番手に入りたいと思っています。
私は、日頃応援してくださる方々のおかげでここまで来られました。これからも国内、国外でチャレンジし続けるので、変わらず応援していただければうれしいです。今が自分の全盛期だと思って、ギアを上げていきます。
──今、橋本さんを突き動かしている原動力はずばり、何ですか?
「負ける悔しさ」ですね。試合で負けると「私にはまだまだやらなければいけないことがある」と燃えるんです。一つひとつ、自分の課題に向き合い克服していくことで、もっと強くなりたいと思っています。
※ 記載内容は2025年5月時点のものです
キャリア・生き方執筆:talentbook 撮影:talentbook
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