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ボロ負けからの日本No.1奪取、PVは10倍に――東洋経済オンラインの躍進を支えたのは「マネジメントしないチーム」?

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • ビジネスリーダー
  • Webメディアの編集者
  • 組織管理に興味がある人
  • 企業のマネジメントに関わる人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むと、東洋経済オンラインがどのようにして競合メディアに勝ち、日本一のビジネス系Webメディアとなったのかを理解することができます。特に、佐々木紀彦編集長が導入した「マネジメントしないチーム」というアプローチが成功の鍵であったことが興味深い点です。

佐々木編集長は、「決めること」を最優先にし、後から調整を行うというリーダーシップを発揮しました。また、組織を徹底的にフラットにすることで、各メンバーが指示を待つことなく自主的に業務を進められる環境を作り出しました。このフラットな体制が、若手を中心とした編集部のスピーディーで効率的な業務推進を可能にしました。

さらに、Webの特性を活かし、6~7割の完成度で公開後に読者の反応を基に改善を行うことで、迅速かつ効率的なPDCAサイクルを実現しました。このような動的なプロセスにおいて、メンバーそれぞれがリーダーシップを持ち寄り、非常に短期間でPVを10倍に増加させる成果を挙げました。

この取り組みから、東洋経済オンラインの成功を支えたのは、固定観念を打破し自由な発想と行動を推奨する企業文化であったことがわかります。

Text AI要約の元文章

ボロ負けからの日本No.1奪取、PVは10倍に――東洋経済オンラインの躍進を支えたのは「マネジメントしないチーム」?

特集「ベストチーム・メソッド」では、絆や協調性といった精神的なつながりではない「新しいチームワークの在り方」を、さまざまなチームの取り組みから考えてみます。今回取り上げるチームは、東洋経済オンライン編集部。競合にボロ負けだったWebメディアをリニューアルし、月間PVは10倍の5300万ページビュー(PV)に。わずか4カ月でビジネス系WebメディアナンバーワンのPVを獲得しました。「編集会議はしない」「すぐにPDCA、マネジメントはいらない」――など、若き編集長 佐々木紀彦さん率いる「マネジメントしないチーム」が成功した理由に迫ります。

東洋経済オンライン 編集部チームの「日本一のWebメディアを作る」という目的達成までの道のりは、ベストチーム・オブ・ザ・イヤー Webコンテンツ「前編」「後編」をご参照ください。

東洋経済オンラインのビジョン

「ビジネス誌系Webメディアにおいて、ページビューで日本一になる」(佐々木さん)

「社内のデータを生かし、外部の著者と内部の120人の記者がどんどん書いてくれれば、競合に負けるわけがないと思っていた」(佐々木さん)

当初、Webメディア「東洋経済オンライン」は、競合メディアに”ボロ負け”状態でした。経営陣がWebの全面リニューアルを決め、その舵取りに現編集長の佐々木紀彦さんが手を挙げました。「社内リソースをフル活用すれば、必ず日本一になれる」という確信から、大胆なビジョンを掲げ、メディア改革に取り組んでいきました。

東洋経済オンライン 佐々木紀彦編集長

リーダーシップ

「佐々木さんは何事にも真っ先に爆速で突っ込んでいくモンスターエンジン」(編集部 伊藤崇浩さん)

「下の人間は『俺も続くぞ』という気になるし、上の人もフォローしたいと思う」(伊藤さん)

東洋経済オンラインの編集部メンバー 伊藤崇浩さんによると、佐々木編集長は上記のように映ります。決裁権がない場合もまずは「決める」ことを優先し、その後担当部署と相談をしながら、新しいメディアを作っていきました。「FCバルセロナのサッカーのように、常に攻め続ける。攻撃が最大の防御」というのが佐々木さんのリーダーシップの根本にある考え方です。

モンスターエンジンの暴走でチームがばらけないよう、伊藤さんはチーム全体に目を配るムードメーカーの役割を引き受けます。編集長が発揮するリーダーシップに対して、編集部員は個々でフォロワーシップを発揮する。お互いを高め合えるチームが自然とできあがったようです。

東洋経済オンライン編集部の伊藤さん、佐々木さん

チームの作り方

「最年少でも上司の指示を待たずに業務を進められる"徹底的にフラット"な体制」(佐々木さん)

「フラットな組織はメディアでは珍しく、Web企業と似ているかもしれない。上下関係がないし、思ったことは何でも言っていい。オープンで口が軽すぎると思うぐらい」(佐々木さん)

編集部は20~30代を中心に、編集メンバー、広告部の若手エースなど、各部署から7人が集まった部門横断型で構成されています。編集部が目指すのは「徹底的にフラットなチーム」。まずは無駄な会議をなくし、雑談で編集部員のコミュニケーションを増やすことに努めました。

企画やアイデアをどんどん出し合い、それをメンバー同士が認めながら、指示待ちをせずに業務を進めるチームができあがったそうです。このスピード感にマッチした編集部員 伊藤さんは、最年少ながらいくつものヒット特集企画を生み出しました。

雑談ベースでアイデアをどんどん出し合い、面白い企画を量産していく

プロジェクトの進め方

「紙の場合は5割の完成度で出てきたものを何度も直して9割ぐらいに高めるが、Webは6~7割ぐらいのものを出し、あとは読者の判断に任せる。結果はページビューという形でその日のうちに出るのだから、とにかく回したほうがいい。スピードと効率化が大事だ」(佐々木さん)

「マネジメントはチェックする役割ではなく、この人にはこれが合うんじゃないかと提案する役割なのかも」(佐々木さん)

自由な裁量を信じて、メンバー全員に任せられるのは、結果がページビューですぐに反映されるからです。結果を見ながら、その場で形にした仕事の自己反省をし、各メンバーがPDCAを回しています。これにより、「マネジメント」をしなくてもチームが回るようになっていきました。

「びっくりさせたいがモチベーション」と伊藤さんは話します。みんなが驚く企画を出したいという思いが生まれ、メンバーごとにリーダーシップを発揮して自ら仕事を作っていくように自然となりました。佐々木編集長も率先して企画を出し続けるなど、スピード重視でメディア運営を進められる体制になりました。

部員同士の絶えまないコミュニケーションが勝つチーム作りの原動力に

最後に

東洋経済オンラインの躍進を支えたのは、「日本一になる」という強い思いと佐々木さんのリーダーシップです。物事を停滞させずにとにかく「決め」、その後は綿密なコミュニケーションで周囲を巻き込んでいきます。その姿勢が編集部員のやる気に火を付け、マネジメントをしなくても編集部が回るようになりました。月間500万~700万程度だったPVは、リニューアル後の2013年3月に5300万となり、「PVで日本一」という目標も達成できました。

東洋経済オンライン編集部の取り組みは、若手主体のチームだからと恐れることなく、これまでの常識や慣習を大胆に変え、新しい価値を作っていくことの大切さを教えてくれます。

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー」では、東洋経済オンライン編集部の取り組みを取材しました。前編『「マネジメントしない」チームで勝ち取った日本一』、後編『「FCバルセロナのように攻め続け、爆速で突っ込む」「メディア界の人材輩出企業に」』もお楽しみください。

2013年8月21日necomimiを開発した電通社内チーム「事業計画はいらない、走りながら考える」

(写真撮影:橋本 直己

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撮影・イラスト

写真家

橋本 直己

フリーランスのカメラマン・エディトリアルデザイナー。趣味は尺八。そして毎日スプラトゥーン2をやっています。

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