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- ソフトウェア技術者
- デザインに興味があるプログラマー
- スマートフォンデザインを学びたい人
- デザイナーと共同作業をするビジネスプロフェッショナル
- オープンソースコミュニティのメンバー
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この記事を読むことで得られる知識は、スマートフォンデザインが単なる感性の産物ではなく、理論に基づいたものであるという視点です。デザインはプログラミングと同様に論理的に考えられて構築されるものであり、そのプロセスを学ぶことが重要であることを理解できます。
具体的には、スマートフォンデザインのプロセスには、プロジェクト内でのポジショニングの意識や、案件整理、導線設計といった手厚い前段階が含まれることを知ることができます。このようなデザインの基礎を深く理解することで、デザインそのものが非常に論理的な作業であることがわかります。
また、「スマートフォンではページングは必要か?」などの具体的な課題に対して、論理的な理由を持ってデザインを進める方法を学び、それをデザイナー以外の技術者にも分かりやすく説明する本として紹介されています。自分がデザインに感性ではなく理論を用いることで、デザイナーとの共同作業をより円滑にし、自身の仕事を楽しくするための助けとなることを学びます。
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tech
「スマートフォンデザインでラクするために」──techな人にお勧めする「意外」な一冊(4)
tech@サイボウズ式のアドベントカレンダー企画、techな人にお勧めする「意外」な一冊の4日目。小笠原 徳彦さんのお勧めは「スマートフォンデザインでラクするために」(石嶋 未来、技術評論社)。小笠原さんと最初にお会いしたのは、Free Standards Group(FSG)のOpen Printingワーキンググループの会合だったと記憶しています。その後、openSUSEの活動でも顔を合わせたりもしました。カヤックを操って川下りするタフな一面も。(編集部・風穴)
文:小笠原 徳彦
私からお勧めさせていただくのは、石嶋 未来 著「スマートフォンデザインでラクするために」です。
スマートフォンデザインでラクするために
著者:石嶋 未来
出版社:技術評論社
ISBN:978-4774155104
定価:2499円(税込)
発売日:2013年1月
判型:B5変形判
ページ数:232ページ私はスマートフォンともWebデザインとも(今のところ)まったく縁がない、しがない中堅SIer勤務の技術者です。そんな私がなんでスマートフォン向けデザインの本を読んでいるのでしょうね?
今の仕事につく前、私はとある事務機器メーカーに所属していました。それで長いことプリンタードライバー開発の部署にいて、社内のデザイン部署に対し、ドライバー向けのUIデザインをお願いするという仕事をしていました。後にオープンソースというものと出会ってコミュニティに出入りするようになり、必然的にWebデザイナーの方たちともお話する機会が増えてきました。
メーカー内のデザイン部署とWebデザイナー、立場が異なるそれぞれの方に異口同音に言われたのは、「デザインは感性じゃなくて、実は理屈なんですよ」ということでした。我々がプログラミングをするときと同じように、理詰めで考えて出てくるものなのだと。
私から見ると、デザインというのは相当に感性的な仕事で、えっ、と思うわけです。じゃあ、その「理屈」とはどんなものなの? と、手がかりを知りたくなるわけです。例えば古典であるD.A.ノーマンの「誰のためのデザイン?」とか読んだりはしたのですが、どうも抽象的でピンと来ない。世の中には「デザイナーのためのプログラミング入門」的イベントや記事はあるのに逆はなくって、なんだか悶々とする日々。うーん……。
そんな中、TLでこの本の情報が流れてきました。なんか私の疑問に答えてくれそうな本だったので即購入。ふむふむ。なるほど!
この本の素敵なところは、もちろんハウツー的なこともちゃんと書いてはあるんですが、「私はこういう理由でこうする」というロジックがちゃんと書いてあることです。
そしてデザインを始める「前」のプロセスが非常に手厚い。プロジェクトの中のポジショニングを意識する話(p.034)であるとか、紙に書きだして案件整理をする話(p.052~054)であるとか、導線設計の話(p.067~073)とかが読んでいて頷いたところです。
4章はまるまる「理由を考えたデザイン」というタイトルで、ここからが実際のデザインワークになるわけですが、例えば「スマートフォンではページングは必要か?」「見出しは必需品か?」といったことに対して「私はこう思う」という理由を明確に丁寧に説明されているので、「なるほど!」と思えます。同じ章の冒頭p.076にて「デザインはセンスでしょうか? それともロジックでしょうか?」という問いに「両方」と答え、少なくともロジック側については、デザインシロートにもわかりやすい説明をしてくれるわけです。
結局デザインにしろプログラミングにしろ、お客様の問題を解決する手段であって、そのためにどう考えたらいいでしょう、というのを、実体験に基づいて丁寧に説明されていると思います。「俺達はこう考えているけど、あの人たちはどう考えているんだろう」という、私の素朴な疑問に丁寧に答えてくれた一冊です。
正直テクニックや実務的な話が増えてしまう6章以降はそれほどおもしろく読めなかったのは事実ではあります。でも「おわりに」に筆者の石嶋さんが書かれている「作成をサポートするツールがたくさん出てきて、デザインはかなりラクになりました。しかし、一番ラクできるのは考え方を知ることです」という言葉のとおり、本書においては技術やツールより「どう考えるか」に重きを置いているので、非・デザイナーである私でも非常に面白く読めました。
「デザイナーさんってどんなふうにデザインをしているんだろう」と思うソフトウェア技術者の方、読んでみるといいと思います。もし、デザイナーさんと直接やりとりする仕事をしているプログラマーさんなら、相手のロジックを知ることはきっと、自分の仕事をラクに、楽しくしてくれると思いますよ。(了)
小笠原 徳彦さんのプロフィール:
事務機器メーカー時代にオープンソースの世界に触れ、勢いで離職、浪人時代を経て現在は(株)ミライト情報システムにてMongoDBなどのオープンソースを用いたシステム開発に関わる。LibreOffice日本語チームメンバー、MongoDB日本ユーザー会MongoDB JPメンバー。お知らせ:
来る12月21日(土)に、「関東LibreOfficeハッカソン」が開催されます。LibreOfficeに関することなら何でもOKの気軽な集まりです。ご興味ある方は、ぜひどうぞ!
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