交通事故死亡者ゼロを、脳科学研究から実現する
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- 研究者や科学者の方々
- 交通安全に関心のある方
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- 自動車業界の専門家や関心がある人
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この記事は、浜田康司さんが取り組んでいる脳科学を基にした交通事故死亡者ゼロを目指すプロジェクトについての詳細を伝えています。浜田さんは、ドライバーの集中状態を脳の活動から定義し、安全運転をサポートする技術の研究を行っています。彼の研究は、MRIを用いてドライバーの脳の状態を分析し、集中している時と注意が散漫になっている時の違いを探ることから始まります。浜田さんは元々VRに興味を持っており、最初は車室内の機器操作に関する研究をしていましたが、真に便利なものを生み出すためには人間の脳の働きを知る必要があると感じ、研究の対象を機械から人間の脳へとシフトしました。
さらに、浜田さんの原動力は、「こんな未来があったらいいな」という妄想力にあります。例えば、「子どもたちが普通に運転できる未来」を描いていますが、これは自動運転に頼らず子供たちが運転を楽しめるようにするというコンセプトです。彼は常々、周囲の人と協力しながら、自分の考えを実現するために積極的に意見を取り入れ、共に働くことの重要性を説いています。研究所と事業部の連携においても、提案を実現可能にするためには各部門の協力が不可欠であると述べています。
浜田さんはまた、周囲の興味を引き出すことで、互いにアイデアを共有し発展させることを推奨しています。デンソー社内には、多くの好奇心旺盛な社員が存在し、彼らと一緒に働き、アイデアを広げることの大切さを強調しています。彼は、自分が描く未来のビジョンを社内で共有し、必要な援助が得られる環境づくりの重要性を指摘しています。
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2022.10.19
キャリア・生き方交通事故死亡者ゼロを、脳科学研究から実現する
「子どもたちが、ふつうに運転できる未来」ワクワクする妄想が原動力
仕事がバリバリできる憧れのあの人も、仕事中にはちょっと近寄りがたいあの人も、一歩オフサイトに出て、様々な壁を取りのぞいて話をしはじめると、すごく悩んでいたり、ピュアな願いが見えてきたりするもの。
社員インタビュー「実現力リレートーク」では、リラックスダイアログを通じて、多彩なプロフェッショナルたちの仕事の根幹にある原動力やwill(夢・志)に迫ります。
今回ご登場いただくのは、先端技術研究所 HMI研究室の浜田康司さんです。
浜田さんは、交通事故死亡者ゼロを目指して「脳科学の研究」に取り組んでいる研究者。「運転に集中している状態」を脳から定義することで、ドライバーが運転に適した状態にあるのかを検知できるようにし、安全運転のサポートにつなげる研究を行っています。
柔らかな口調で、少年のようにワクワクする未来を語る浜田さん。その原動力は、ご自身の中から際限なく溢れる“妄想力”にありました。
一人では難しい課題に直面したとき、どうしたらいいの?
やりたいことへの一歩を踏み出すには?そんな問いへの解も、きっと見えてくるはず。
浜田さんの素顔が垣間見えるストーリーにそっと耳を傾けてみましょう。この記事の目次
本当の意味で便利なものを生み出すために「脳の研究」にシフト
―まず最初に、浜田さんが取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。
浜田:ドライバーの安全運転をサポートするため「人の脳の研究」に取り組んでいます。人はどれだけ安全運転を心がけていても、疲れていたり、眠気が襲ってきたり、注意散漫になってしまうときもありますよね。
―自分では集中して運転しているつもりでも、うっかり自宅の車庫にぶつけてしまったり......なんてこともあります(汗)。
浜田:「集中している状態」って目に見えないので、今自分が集中しているかどうかを客観的に捉えるのって、意外と難しいんですよ。
―そうなんですね・・・。
浜田:そこで「運転にふさわしい集中を維持するための、脳の状態を定義しよう」と始まったのが今取り組んでいるプロジェクトです。
―なるほど。
浜田:大学の専門家にも協力を仰ぎながら、MRIを使って脳を測定。そもそも人が集中しているときってどんな状態なの?注意散漫なときは、どうやってドライバーを集中状態に導いてあげればいいの?という研究を行っています。
―どのように集中状態を定義されようとしているのでしょうか?
浜田:MRIの中に入ってもらい、ドライビングシュミレーターで実際に運転をしてもらいます。運転のパフォーマンスが良いとき・悪いときに、それぞれ脳のどの部分が活動しているのか?を計測し、集中状態の定義を行おうとしています。
将来的にはドライバーが自然と運転に集中できる空間を創り出すことを目指しています。
ー安全運転を人の脳から考える・・・面白いですね!もともとこの分野に興味があったのですか?
浜田:いえ。大学時代は、VRを学んでいました。入社後もHMIの分野は担当していましたが、運転よりも車室内の機器操作についての研究が主でしたね。
ーそこからどのようにして脳の研究に?
浜田:便利なアイディアを出すことも大事ですが、使うのは結局「人」ですよね。
ーええ。
浜田:人は相手の立場になって考えたり、過去の経験から次に起こる事態を予測したりします。そうした脳の働きについてよく知らないと、本当の意味での人にとって便利なものは生み出せないと思ったんです。
ーなるほど。
浜田:そこから研究対象が、機械から人へとシフトしていったイメージですね。
ワクワクする妄想が前に進む力。こんな世界があったらいいな
ーこれまで多岐に渡る分野で研究をされてきたかと思うのですが、共通して目指していることはありますか?
浜田:その人が描いた通りの世界を、実現させるモノを生み出したい。この気持ちは共通していますね。VRにせよ、機器操作にせよ。見たいものが観れる、動かしたいように動かせる。そのためにはどうすればいいのか?と、常々考えてきました。
ーその原動力は、どこから生まれてくるのでしょう?
浜田:仕事に限らず、頭の中で「こんな世界があったらいいな」「こんな未来になったらいいな」とワクワクする妄想を繰り広げるのが好きなんです。それが原動力ですね。
ーへぇ!
浜田:SF系の漫画や、映画も好きで。空想の技術、攻殻機動隊とか・・・。
漫画や映画は、作者・監督の空想を可視化した作品ですが、もしその技術が自分の目の前にあったとしたら?実現できるとしたら?と考えを膨らませるのが楽しいです。
ーまるで少年のよう!素敵です。
浜田:今研究をしている、クルマにおいても同じです。現状のシステムが不完全というわけではないのですが、自分で運転したり、いろいろな人と話したりする中で「もっと使いやすくなるな」と可能性を感じることがあるんです。
クルマは自分も含め、生活に身近なもの。さらにより良くしていけるアイディアが浮かぶ限りは、私も前に進み続けます。
ーワクワクする妄想は、周囲に話したりもするのでしょうか?
浜田:みんなに共感してもらえそうなエピソードであれば、社内で話してみたりもしますね。ただ、自分だけ熱くなって、思ったよりリアクションがないと恥ずかしいので、さじ加減は必要ですが(笑)。
ーちなみに、今考えている妄想をシェアしてもらうことって、できますか・・・?とっても気になります!
浜田:そうですね・・・。他の人の考えも混ざっていたりするので、ざっくりですが。
ーありがたいです!
浜田:「子どもたちが、ふつうに運転をしている未来」ですかね。自動運転ではなく、ちゃんとハンドルを握ってアクセルを踏んで運転している社会です。
ーほぉ〜!
浜田:子どもって運転したがるじゃないですか。楽しいじゃないですか。なのでその楽しさは残しつつ、交通ルールや目的地までのルートを知らなくても、ちゃんと安全に辿り着けるクルマがあったら面白いだろうなぁと。
ーわぁ〜!ワクワクしますね。本当にそんな未来が来たらいいなぁ。
浜田:こんなふうに、考えだすと止まらないんですよね(笑)。
一人ではできないから。みんなを巻き込み、実現させる
ー仕事をする上で大事にしている価値観・想いについても伺いたいです。
浜田:自分と周囲のやりたいことをつなげ、想いを重ね、広げていくこと、ですね。
個人としては、「世界の景色を変える技術を打ち出したい」と強く思っていて。ただそれは一人では達成できません。周囲の意見との共通性を見出して、相乗効果を生むことが必要です。
ーなるほど。
浜田:目的を一人占めされると、その場から自分が追い出されたように感じる人もいると思うんです。それだけはしたくないなと。同じ想いを持っているのなら、同じ方向を向いてできたらいいですよね。
ー周囲を巻き込んでいくことを、意識されているんですね。
浜田:自然にはできないので、意識してやっています(笑)。
ー実際に業務を進める上でのエピソードはありますか?
浜田:自分のアイディアが独りよがりなものになっていないか確かめる意味でも、なるべく早い段階で周りの意見を取り入れ、周囲を巻き込んで仕事を進めるようにしています。
例えば、私たち研究所と事業部が協力してプロジェクトを進めたときのこと。最新技術の研究開発に情熱を注ぐ研究所と、納期や利益を考えながらビジョン実現に向き合う事業部。それぞれの役割が異なるゆえ、視点がズレてしまうことに課題を感じていました。
解決策として、研究所で考えたものをそのまま事業部へ移管するのではなく、最初から事業部と一緒に足並みを揃えて進めるやり方に切り替えました。
そういった周囲を巻き込む場面で特に意識しているのは、「提案時に簡単に体験してもらえるようなプレゼンを用意する」こと。概念の説明だけではわかりにくいところも、動くパワーポイント資料や動画があれば、その場でイメージも湧く。そうするとフィードバックがもらいやすく、興味や共感も抱いてもらいやすくなるんです。
事業部とのプロジェクトも、結果的に事業部側のニーズを汲み取りながら目的に沿った開発ができて、成功事例の一つになっていますね。
デンソーだから叶えられるwill
ー浜田さんが持つwill(夢・志)は、とても素敵ですよね。一方で、自分のwillがわからないという人も少なくないと思うんですが、どうやってwillを広げていくと良いのでしょうか?
浜田:一つ言えるのは、周囲に話してみることですね。自分の興味を広げてくれるデンソー社員は、思っている以上に周囲にいると思うんですよ。
ーなるほど。
浜田:オタク気質な人が多いので(笑)、ちょっとでも興味を持ったことを話してみると、社内のどこかに先駆者がいたりする。willを描いたとき、同じ想いを持っている人に比較的出会いやすいんじゃないかなと思いますね。
ーでも、「これが好きです!やってみたいんです!」と周囲に伝えるのって結構、勇気がいるなと。自分より熱中している人や詳しい人がいると、「この程度で好きなんて言っていいのだろうか・・・」と、たじろいでしまったり。謙遜や遠慮をしてしまう場面もありそうです。
浜田:とてもわかります。でも本当に好きな人って、ちょっとでも話題に出ると食い気味で「これ知ってる?」「あれ面白いよね!」と話を広げてくれるから(笑)、勇気を出して身を委ねてみるのもいいと思いますよ。
ーなるほど。怖がらずに、ポロっとこぼしてみてもいいのかもしれない。そう思える社内の雰囲気を感じました。
浜田:個人的には、そう思いますね。お互いどんなことに興味があるか知らないままだと、そもそも会話も生まれないので。自分が思っていること、興味があることを発信するだけでもおすすめです。
ー実際、浜田さんにもそういうご経験はありますか?
浜田:ありますね。仕事の話でも、「今どんな研究をしているの?」と聞かれて、答えていくうちに、「それなら◯◯さんが詳しいよ」と教えてもらえたり。人とのつながりも、何気ない会話から広がっていくことがありました。
ーいいですねぇ。
浜田:あ、そうそう!昔、上司から言われたことがあって。
ーええ。
浜田:「問題を解くのが得意な人はたくさんいるから、どんどん問題を作ってくれ」って。
ーほお!
浜田:そこには「研究職ならではの願い」が宿っているように思っていて。未来をつくる研究職だからこそ、もっと先を見て、ワクワクするビジョン(解いていくべき問題)を描いていいんだと。
デンソーには、そのビジョンを実現するために、わからないことや疑問に思うことを投げかければ、みんなでなんとかしようとする風土があります。「しょうがないなぁ」と言いながら集まってくる(笑)。
ーいい風土ですね!
浜田:疑問や興味・関心は、巡り巡って周囲を巻き込み、未来をつくる種になります。なので問題をどんどん作っていくと、自然と仲間は増えていくと思います。
私自身も研究者として、ワクワクする問題を社内に投げかけていきますし、同時にささいな意見や興味・関心ごとを話してくれるのは大歓迎です。そうやって自分と周りのアイディアと掛け合わせて相乗効果を生み出せたら嬉しいです。
独りじゃない。社内のいろいろな人の考えを、つなげて、広げて、一緒に実現に近づけていく。そんなwillもつくっていきたいですね。
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