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男は頑張らなくても上に立てる女を好む!? 異性の現実を知って交渉を!──ジェーン・スー×田中俊之、“モテ”を深堀りする

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 社会問題に関心がある人
  • ジェーン・スーのファン
  • ジェンダー論に興味がある読者
  • 異性との関係を見直したい人
  • 人間関係を円滑にしたい人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事は、ジェーン・スーさんと田中俊之先生の対談を通して、異性間の関係性やモテについての考察が行われているものです。男性が「自分よりも少し下」と感じる女性に対して魅力を感じる傾向にあるという点が議論されており、その背景には男性があまり努力をしなくても上に立てるという安心感や支配欲が存在するとされています。また、そういったデフォルトを変えていくことが重要であること、そしてそれができない場合には賢くネゴシエーション能力を活用することが必要であるとされています。さらに、女性が複数の男性から「保護される」ようなあり方が求められている現実や、その期待から離脱することで新たな交渉スキルを身につけることの重要性についても触れられています。女性が男性と現実の接点を持つことの利点や、異性に対する理解不足が生じる状況についても述べられています。共学教育の重要性や異性と交渉するためのスキルを身に付けることの意義が示唆されています。

Text AI要約の元文章

男は頑張らなくても上に立てる女を好む!? 異性の現実を知って交渉を!──ジェーン・スー×田中俊之、“モテ”を深堀りする

作詞家にしてコラムニスト、ラジオ人気パーソナリティのジェーン・スーさんと「男性学」を研究する田中俊之先生(武蔵大学助教授)との対談・第3弾。(連載はまだ続きます)

男性にかかる圧について掘り下げた前回に続き、今回は“モテ”を深堀りし、異性との効果的な交渉力をいかにもつかについて語り合います。

「この女ならリードできる」という女がモテる!?

ところで、ジェーンさんが若いときにワッショイワッショイできなかった(モテをめざす波にのらなかった)のには、どういう理由があったんですか?

うーん、そうですね…、男の人が求めるところの「ど真ん中ではない」みたいな意識は、ずっとありましたからね。それが、いまのところ結果的に、功を奏してはいるんですけれど。

それって、いつごろからですか?

小学校2、3年からですかね。身体が大きかったんですよ、飛びぬけて。いまはふつうに体格のいい人ですけど(笑)。当時、男子よりだいぶ大きかったんです。

だからその時点で、いわゆる「庇護のもとに」みたいな対象ではないことを感じていて。モテる女の子って、みんなちっちゃくてかわいくて、「あ、完全にわたし“規格外”だ」とわかったので。その辺からですかね。

やっぱり女の子って、「リードされる側じゃなきゃいけない」というイメージが強かったですもんね。

いや、というか、「この女ならリードできる」という女が、モテていましたよね。

なるほど。それは残念ですけど、はっきり言ってありますよね。

要するに、モテる女の人は、ぜんぜん究極の美人だったりするわけじゃない。いやな言い方ですけど、「この子だったら自分のモノになるだろう」というタイプですね。自分の領域から勝手に出ていったり、ほかの男が手を出したりしないだろうという。結婚詐欺をやる人も、美女はなかったりする。

やっぱり「この女だったら、自分だけしか見ないだろう」と油断させるところがあるんだろうなと。見た目とか、年収とか、いろんなところで男性である自分より「ちょっと下」っていう。

「そんなにこっち(男)が頑張らなくても、上に立てる」というのは、すごく大きいモテ要素だと思います。

そこはだから、変えてかないと、話がつまらないですね(笑)。

「変えてかないと、キミたちの首しまるけど大丈夫?」という話ですよ。

男のデフォルトは「女はちょっと下がいい」

いまの話で思い出したんですけれど。わたしの友だちが、インターネット黎明期にネカマ(男性がネット上で女性を装うこと)をやっていたんですね。

その彼(ネカマ)が、当時の掲示板に「二十何歳、ふつうの女の子です」って書きこみをしたと。そうすると、ほっとんどの男が「じゃぁ、ぼくの車でどこそこに連れてってあげる」「おいしいレストランで、何を食べさせてあげる」「この映画みた? 楽しいから連れてってあげる」とか言ってくるそうなんです。

「してあげる」って上から来るんですね。

そう。「ふつうの女の子」と書けば、ほぼ100%の男が「自分より下」という大前提で話しかけてくると。「きみ、何をしたい?」と聞いてくる人は、だれもいないんですって。

ああ~、なるほど。

で、掲示板ですから、ほかの人とのやりとりも全部見えるじゃないですか。そうすると、横一列の男同士で張り合うんですって。“かぐや姫”といっしょで、「おれが乗ってるクルマは、これ」「おれだったら、ここに連れてける」って張り合って、「この女を落とそう!」というふうになると。

横ばっかり見て、相手のことは見てないんですね(笑)。

で、今度は逆に、彼(ネカマ)が「わたしは完璧な女性なので、わたしに見合う人を見つけたいと思います」みたいなことを掲示板に書き込むと、「そういう女性らしからぬことを言うのはやめなさい」「不愉快だから、今すぐ削除しろ」と、けっこう言われると。 それで、「あ、なるほど、男のデフォルトって、やっぱりそこなんだー」と思ったそうなんですね。

「15、6年くらい前のことだけど、たいして変わってないと思うよ」と言われて。「へっ、そうですか」(笑)と話していたんです。

あー、女の人が上に立つのはナシ、っていう。

もちろん全員じゃないですが、こういう傾向がある男の人が多いのが前提で、「じゃぁ、その人たちと、どうネゴシエートしていくか?」を考えなきゃいけないと思うんですよね。

そうですねー。あともちろん、そういうデフォルトは変えていかないとというのもありますし。

セフレに近い関係にハマっているのはもったいない

ちなみに、ぼくがジェーンさんの本(『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』ポプラ社)を読んで、「これ絶対ダメだよ」と思ったのが、「『大切な彼女』以外の存在として、男女の関係を持っている」というのなんです。

あー、2番目に挙げた理由ですね。

ジェーンさんが書かれているとおり、セフレに近い関係の男性が、その女性を彼女や結婚相手にするわけがないという。これは、ほんとうにそのとおりですよね。これにはまっちゃっていると、すごくもったいない。

そうなんですよねー。

男性学的に考えると、やっぱり男性って、女性を2種類に分けているんだと思うんです。結婚にふさわしい女の人と、そうじゃない、たとえば性的な関係だけもてる女性と。

で、男性にとって後者の女性は、まじめに付き合ったりしなくても性的な関係を持てるから価値があるのです。それを、ジェーンさんの表現をお借りすると「一軍に昇格」ではなく「二軍で飼い殺しているから、価値がある」ということですからね。

そういった男性学の視点から見えてくるようなことを、男性も女性も両方がわかってないと、この先どんどんつじつまがあわなくなってくると思います。

あと、いま20代で「草食系男子です」と自分で言う子が増えているんですけど、ジェーンさんが本に書かれていた、「女の人が言う、“ふだんは優しいけど、いざというときは男らしいのがいい”、みたいなのは無理」という話も、ほんとそう思います(笑)。

あれは、ほんっと女の勝手でしたね。というのに、いまは気付きました(笑)。もうね、菓子折り持って謝りにいきたいですよ。誰にだかわかりませんけど

男性からしたら、いつが「いざ」かわからない。急に男を出して「わ~、そんな人だったのか」とか思われてもいやだし、でもその「いざ」というときが来たならば、刀を抜かなければいけない。それって、求められるコミュニケーションスキルが、相当高くなっていますよね。

ほんと、おっしゃるとおりです……。自分ができないことを、求めちゃいけませんよね(苦笑)。

女に必要な陣地取りのネゴシエーション能力

あとですね、ぼくがいま女の人のことでちょっと心配だなーって思うのが、「中学高校大学、ぜんぶ女子校です」という子たちなんです。男性と現実に接点がないと、とにかく「男性がわからない」ということになっちゃうから。

わたしも、女子高・女子大なんですけど。まぁ~でも、絶対共学おすすめですよ! 女子高・女子大って、死ぬほど楽しいんです。女だけで集まったときのエネルギーとかって、ちょっと、はかりしれないものがありますし。やっぱり、同性だけの生活は、ほんっとに楽しいんです。

そうなんですねー(笑)。

ただやっぱり、異性の現実を知らないというのはあります。わたしも35ぐらいになってようやく気付いたんですけど、「異性に対するネゴシエーション能力」が、すごく低いんですよね。

さっき田中先生もおっしゃっていましたけれど、やっぱり女性は選別されますよね。かなり若いころから、「やれるボックス」「やれないボックス」に、パンパンパーン!って、勝手に分けられていくわけじゃないですか。こっちが望む、望まないにかかわらず。

先ほどの「男性は女性を2種類に分けている」という話ですね。

で、女にとって、そのダメージはけっこう大きいんですけど、「それ、やめてください!」と正論で言ってもやめるわけがないわけで。

じゃあ、そういう思考に行きがちな男の人に対して、自分の陣地をちゃんととるためには、どういうネゴシエーションをしていけばいいのかということが、わかんないんですよ。女子だけの日常生活には、存在しないから。

効果的な交渉の仕方がわからない、と。

そうですね。性差っていうのは、やっぱりどうしてもあるわけじゃないですか。だから、その性差にいちいち傷つかないで、ちゃんとネゴシエーションできる能力をもつ必要があるんですけれど、そういう意味では、共学のほうがいいかなと思うんです。ある種のあきらめがつくというか。

うんうん。

男子校の男の子たちが、「ジョシ、こええ。でもなんか、すごいキラキラしてる。きれいな、神聖な、でも本当は違うんでしょ? うえええぇぇ……」みたいな感じで、ひとりで自爆しちゃうのと同じことにならぬよう(笑)、女の子も男の現実というか、生身の温度をわかったほうがいいですよね。

そうですね。思っていたよりもいいという部分もあるかもしれないですしね。

そう、ネゴシエーションの仕方によっては、すごく頼りになったりもしますし。

でもやっぱり、ずっと女子校に通っていたりすると、社会人になってもまだ「先生、男子が掃除しませーん!」みたいな対応しかできないんですよ。小学生のときのレベルで止まっているから。

「じゃ、あの人たちに掃除してもらうにはどうしたらいいか?」という、うまいネゴシエーションの仕方を知らないんですよねー。

掃除させるところまでもっていきたいのに、文句を言うまでしかできないと。

そうなんです。だから、たとえば全方位に下手(したて)に出ちゃったり、「できな~い」と言ってみたりっていう、変なことになっちゃう。そこが、なかなか難しいですよね。

次回に続く(次回は8月18日公開予定です)

文:大塚玲子、撮影:橋本直己、編集:渡辺清美


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執筆

ライター

大塚 玲子

いろんな形の家族や、PTAなど学校周りを主なテーマとして活動。 著書は『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)。ほか。

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撮影・イラスト

写真家

橋本 直己

フリーランスのカメラマン・エディトリアルデザイナー。趣味は尺八。そして毎日スプラトゥーン2をやっています。

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編集

編集部

渡辺 清美

PR会社を経てサイボウズには2001年に入社。マーケティング部で広告宣伝、営業部で顧客対応、経営管理部門で、広報IRを担当後、育児休暇を取得。復帰後は、企業広報やブランディング、NPO支援を担当。サイボウズ式では主にワークスタイル関連の記事やイベント企画を担当している。

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