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会社員は「言われるうちが華」なのか?

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • 職場のチームリーダーやマネージャー
  • 若手社員や新入社員
  • 職場の人間関係に関心がある人
  • チームワークの改善を目指す人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事では、職場でよく使われる「言われるうちが華」という言葉について、特に若手社員と先輩社員の関係性を中心に考察しています。この言葉は、若手がまだ成長過程にあることを前提にしたアドバイスとして使われますが、逆に成熟したキャリアを持つ人には指摘が減るという現象も指摘されています。これはしばしば「オトナの対応」と呼ばれ、十分な指摘がないことでその人の成長や改善の機会を奪う可能性があります。チームワークにおいては、個々の短所をカバーし合い適材適所に活かすことが重要で、ただの「切り捨て」は避けるべきです。指摘を通じて意志疎通を図り、各自のパフォーマンスを引き上げることが大切だと述べられています。さらに、仕事の場では人への関心を持つことで、より良い人間関係が築けるという観点も述べられています。最終的には、指摘やフィードバックが健全なコミュニケーションを促し、チーム全体の効果を高めるという結論に至っています。

Text AI要約の元文章

ブロガーズ・コラム

会社員は「言われるうちが華」なのか?

【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズ外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回はファーレンハイトさんが考える「どんなことも正しく意志疎通しあえるチームの条件」を考えます。

オトナの対応は残酷だ

会社の若手が先輩によく言われる「言われるうちが華だよ」という言葉。

最近、ある人が後輩に言っていて懐かしく感じました。この言葉は、スムーズに腹落ちさせられなかったときに、関係性をバックに"正しい"ことをゴリ押しているようで、あまり好きではありません。「若手は何でもやらなくちゃ」と会議室の確保や宴会の場所探しを強制しているのと本質的に変わらないというか。

けれど、この言葉はある意味ですごく良いことを言っているなぁと思います。

ある程度のキャリアになってしまった人に対して、誰も何も言わないのです。優秀な人に対してはそれで良いのですが、明らかにダメダメな人に対してもです。朝イチに会議があるのに遅刻してくる。意味不明な資料を平気で会議で出してくる。うっかりを連発してきっちりと仕事を仕上げてきたのを見たことがない。どこの会社でもこういった人はやっぱり一定数いるものです。

「ダメだこいつ……早くなんとかしないと」という名言がありますが、実際問題としていわゆる<オトナの対応>は、レベル以下の相手は相手にしない行為を指すのだと思います。普通の人間関係でも、空気が読めない知人に対して懇切ていねいに「あの雰囲気であんなこと言っちゃダメだよ」とは言わないものです。その場を流して「こいつダメだ」で終わらせてしまいます。

オトナの対応とは残酷なもので、やはり本人が察する必要があるのです。

チームワークは言い合ってナンボ

これが一般的な人間関係ですが、ことチームを強くしたい場合はそれではダメだと思います。仮に誰かを「お荷物」だと思ったとしても、「お荷物をお荷物のままにしている」のはチームメンバーの責任です。チームワークとは適材適所に配置して能力を生かすこと、短所をカバーしあうことが前提になるから。

そこでオトナの対応を取ることは「切り捨て」にほかならないのです。

"指摘すること"は誰しも嫌なものです。言ったことで嫌われるなんて誰でも避けたいことでしょう。それでもやらなくちゃいけないのがチームワークだと俺は思います。

いわゆる<オトナの対応>はその人に対する諦観だけではなく、自分が嫌われたくない保身や、指摘につきまとうコストを払いたくない省エネ根性が背景にあるのではないでしょうか。それは自分がやることをやっていればそれで良いという発想にほかならないと思います。(これはこれで俺は好きな考え方ですが)

そもそも本当に「お荷物」な人材なんてそうそういないと俺は思います。ロールに対する動き方が分かっていなかったり、気をつけるべきポイントがズレているだけで、基礎的な能力が明らかに劣っている人は少ない。だから、そこを意識してもらうだけでグッとパフォーマンスが変わることは多々あります。

気をつけるべきは、指摘が「お前はだからダメなんだ」ではなく、「こうすればもっと良くなる」というメッセージを持たせること。きちんとやれているラインまではちゃんと言葉にして評価する。その上で、ここを改善してほしいと訴える。特に同じくらいのキャリアを持った人に対してはプライドにさわらないように繊細な伝え方が必要になります。当たり前のようですが、これを徹底できている人は数少ないです。

人はなんだかんだ気にかけてもらいたいもの

俺の先輩が言ったひとことですごく印象に残っているのは、「人なんて多少ウザくても、誰かに気にかけてほしいものなんだよ」という言葉です。

最近では会社の人間関係なんかうざったい。人生において会社にかかる時間を最小限にしたい。そう思っている人が多いと思います。俺も基本的にはそのスタンスです。

でも本当にそうでしょうか? 俺がいくつかのチームを渡ってきた印象として、心の底からそんな風に割り切っていた人は少ない気がします。たしかに生き馬の目を抜くような人間関係と割り切り、ビジネスライクにやるスタンスの人もいました。

でも、大多数の人は<人とのかかわり合い><いっしょに成果を出すこと>に仕事の充実感をおぼえるタイプだと感じました。

結局は、「誰かが気にかけてくれるか」「気にかけたいと思う人がいるか」なんじゃないかと。これを求めると、求めたものが返ってこないから基本的なスタンスとして<閉じてしまう>人が多いんじゃないかな。恋愛関係の終わりだって突き詰めると相手が気にかけてくれないことで冷めてしまうケースがめちゃくちゃ多いですからね。

今回のテーマに話に戻すと、<指摘>を通して、その人に対してアウトプットとしてできていること/できていないこと/このチームはこうやって動いていくべきだというコンセンサス。そういったフィードバックとコミュニケーションが成立しているかに尽きるのではないでしょうか。人といっしょに仕事をしていく上での手ざわりと言いかえて良いかもしれません。

自分がその空気を作り出していく1人目になってみるのはいかがでしょうか。

ファーレンハイトさんより 普段はブログ「My Favorite, Addict and Rhetoric Lovers Only」、Web媒体「AM [アム] 」で恋愛・人間関係について書いています。サイボウズ式のブロガーズ・コラムでは、仕事・チームワークにおける他人との関係性について何らかの価値を提供できたらと思っています。

イラスト:マツナガエイコ

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執筆

ライター

桐谷 ヨウ

ブロガー、週末コラムニスト。主なコンテンツは恋愛関係、人間関係全般です。親指シフトユーザー。

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撮影・イラスト

イラストレーター

松永 映子

イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。

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