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チームを破壊しているのは議論好きなあなた

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • ビジネスパーソン
  • チームリーダー
  • 組織で働く人々
  • マネージャー
  • 人事担当者
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読んで得られる知識は、チーム内での議論の重要性と、その運用方法についてです。議論は、参加者の議論力を競う場ではなく、チームをより良い方向に導くための手段です。議論に勝つこと自体には意味がないため、相手を論破することよりも相手を納得させ、やる気にさせることが重要です。このため、議論の際には自説への固執を捨て、相手を尊重し、建設的な発言を心がけることが必要です。また、チーム全体で議論のルールを確認し、個人攻撃を避けて全体で協力する姿勢が求められます。最後に、効果的な議論ができるチームを作ることが、組織としての成長に繋がるという視点が提供されています。

Text AI要約の元文章

ブロガーズ・コラム

チームを破壊しているのは議論好きなあなた

【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズの外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回は、日野瑛太郎さんによる「チームを活性化する議論のやり方」について。

チームで働いていれば、時には議論をすることもあるはずです。以前、「民主的なチーム」が崩壊した話という記事の中で話し合いばかりしているチームの問題点について書いたことがありますが、これの逆で一切議論をしないチームというのも不健全です。議論したことで一人では到達しえなかったよりよい解決策が見つかることは少なくなく、こうやって「他人の頭」を借りることができるのもチームで仕事をすることの醍醐味の1つです。

2014年5月19日「民主的なチーム」が崩壊した話

もっとも、ただ議論をすればそれでいいというわけではありません。議論はやり方に注意しないと、時にはチームワークを大きく乱す原因にもなります。特に、メンバーの中に「議論が大好き」な人がいる場合は要注意です。彼らの一部は時に議論を議論のための議論にしてしまい、チームの足並みをバラバラにしてしまいます。そういう不毛な議論をするぐらいだったら、まだ一人で考えていたほうがマシでしょう。

チームで有意義な議論をするためには、おさえておかなければならない「前提」があります。経験上、議論が大好きで自分は議論が強いと思っている人ほど、この前提がわかっていません。そこで今回は、チームで議論をするために前提とすべき心構えについて少し考えてみたいと思います。

そもそもその議論は何のためにしているのか

まず大前提として、チームでの議論は何のためにするものなのでしょうか。少なくとも、ディベート大会のように参加者の議論力を競うために行っているわけではないことは明らかです。思うに、チームでの議論はすべて、チームをよりよい方向に導くための手段として行われます。いくら議論で正論を展開しメンバーを全員論破したとしても、それによってチームがよい方向に導かれないのであれば、それはただの不毛な議論です。

この前提に立つと、「議論に勝つ」こと自体には何の意味もないということがわかります。仮にあなたが議論に勝ったところで、その過程で相手をねじ伏せやる気を削いでしまったとしたらその後の実行推進にとっては大きなマイナスです。チームとしてはむしろ悪い常態に向かっており、そんな議論ならまだしないほうがよかったかもしません。

論破は0点、心から納得してもらい相手をやる気にさせてはじめて合格

ネット上ではよく「論破」という言葉が使われますが、チームの仕事でこの手の「論破」は基本的にはご法度です。自説が論破されて嬉しいという人は普通はいません。人間関係の古典であるデール・カーネギーの『人を動かす』にも、「議論に勝つための唯一の方法は、議論をしないことである」ということが書いてありますが、これは本当にその通りです。議論に勝つことで相手の考えを放棄させても、それはチームをよい方向に動かす原動力にはならないのです。

もっとも、だからと言って自説を持たずただ他人の意見に迎合すればいいというわけではありません。議論の場面で間違った結論が出そうな時にそれを防ぎたいと思うシチュエーションは当然あるでしょう。そういう時には、論理だけで相手を論破をするのではなく、自分の意見に納得してもらえるように誠意をもって働きかけることが必要です。ディベート大会なら相手の主張の弱点を突けばそれで十分ですが、チームにおける議論では論理を超えて相手に納得してもらうところまでいってはじめて合格になります。目先の議論のことだけでなく、議論の後のことまでつねに考えるようにしたいものです。

不毛な議論を避けるためのガイドライン

チームワークを乱さずに、実りのある議論をするためには以下の3点を気をつけるようにするとよいでしょう。

まず第一に、自説への固執を捨てることが大切です。チームでは、「誰が言ったか」にはほとんど意味はありません。チームとして最終的によい答えに辿りつければそれでいいのですから、自分の意見よりもよいと思う意見を提案する人が出てきたら、サッサと自説を捨ててそちらを採用すればいいのです。ディベートと違って自説を放棄しても負けにはなりませんし、そもそもチームの議論に個人レベルでの勝ち負けは存在しません。ヘンなプライドは捨てることです。

第二に、どんな意見を出す相手へも尊敬の気持ちを忘れないようにするべきです。人間ですから、時には「なんかこの人トンチンカンなこと言ってるなぁ」と思うことはあるでしょう。そういう時にはつい喧嘩腰になってしまいがちですが、一度冷静になりましょう。自分には意味がわからなくても、きっとその人なりに理屈があって発言をしているはずです。相手の意見が理解できないのであれば穏やかに説明を求めて、少し一緒に考えてみることをおすすめします。

第三に、批判よりも建設的な発言をするようつねに心がけることが大切です。A案がイケてないと思うのであれば、A案を直球で批判するよりもA案の弱点を補強する案を上に重ねたり、あるいはさらに強力なB案を提案するという形で話を進めるべきです。ネット上のブログなどではお互いに批判しあって消耗しているものを多く見かけますが、こういうコミュニケーションを現実でやってはいけません。「批判はするけど、建設的なことは何も言わない」というやり方は、傍から見ている分にはプロレス観戦的な面白さがありますが、現実にチームをよい方向に導くという意味では不適切です。

これらのガイドラインを個人的に心がけることはもちろん大事ですが、議論は一人でするものではありませんからチーム全体でこれを守ることも大切です。チーム内に議論クラッシャーがいて困っているというのであれば、一度チーム全体で議論のルールを確認する時間をとってもいいかもしれません。その際には、議論を乱す人を個人攻撃するのではなく「チーム全体で気をつける」という形を取るのがおすすめです。

実りのある議論を重ね、強くなるチームが増えることを祈っています。

日野瑛太郎さんより
普段は「脱社畜ブログ」というブログで、日本人の働き方の記事を書いています。このブロガーズ・コラムでは、チームワークという観点から働き方について新たな視点を提供できればと思っています。

イラスト:マツナガエイコ


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執筆

ライター

日野 瑛太郎

ブロガー/「脱社畜ブログ」管理人。著書に『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある

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撮影・イラスト

イラストレーター

松永 映子

イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。

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