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1人1つの職業って誰が決めた? IT一筋27年、次に選んだ「会社に縛られない2+1複業」とは

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • ビジネスマン
  • 大学生
  • キャリアチェンジを考えている社会人
  • 働き方改革に興味がある人
  • 情報技術業界の従事者
Point この記事を読んで得られる知識

この記事を読むと、主に複業というユニークなキャリアスタイルについて学べます。中村龍太さんは長年IT業界で働いてきた後、日本の伝統的な仕事観から離れ、サイボウズとダンクソフト、そして農業という三つのフィールドでの活動を選んでいます。この選択は、キャリアプランナーに「やりたいことは一つじゃないのでは?」と問いかけられたことが契機となっています。複業をすることで、それぞれの仕事で得た知識や人脈を活用し他の仕事にもフィードバックできるというメリットがあります。

複業における主な変化としては、中小企業や農業を通じて新しいつながりが増えた反面、収入の減少という厳しい側面もあると中村さんは指摘します。ただし、契約はしっかりと締結しているため、最低限の生活を維持しながら自由な働き方を実現しているとのことです。ITツールの活用が複業には必須であり、またこの取り組みが、家庭内の絆を深めるとともに仕事にも良い影響をもたらしていることも理解できます。

さらに、記事からは働き方やキャリア設計についての洞察も得られます。中村さんが「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」を考えることを勧めているように、自分の興味やスキルと社会のニーズの交差点を見つけることが、充実したキャリアを築くコツとなることがわかります。また、異なる考えを結合することが新しい価値の創造につながるという視点も示されています。このように、未来の働き方についても試行し続けることの重要性が強調されています。

Text AI要約の元文章
サイボウズ

インターン大学生の疑問

1人1つの職業って誰が決めた? IT一筋27年、次に選んだ「会社に縛られない2+1複業」とは

「やりたいこと、1つじゃないでしょ?」こうキャリアカウンセラーに問いかけられた中村龍太さんは、IT業界で27年にわたり仕事をしてきました。そんな彼が次に選んだ職場はサイボウズとダンクソフト、そして農業。いわば「複業」というスタイルの確立にまい進しています。

1つの場所で、1つの職に就く──。そんな日本の一般的な会社員の働き方を見つめなおし、本当にやりたいことを考え抜いた結果生まれた「2つの会社+1つの農業」の複業とは?

そもそも、1人1つの職業って誰が決めた?

長年IT企業で勤めてきたのち、副業ならぬ「複業」を始めたそうですね。具体的にはどんなことをしているんですか?

サイボウズでは社長室に所属し、「三年後のサイボウズをつくる」事例づくりをしています。将来のビジネスをつくる仕事がメインです。もう一つの勤務先のダンクソフトは、社員20名程度のITベンダー会社です。僕は経営チームでシステムの商談や体制づくりをしています。この会社のミッションは、デジタルで「人、場所、時間、情報」を一番良い形に結び付けることですね

中村龍太さんは1986年にNECに入社。1997年に日本マイクロソフト株式会社に転職。その後16年勤務したのち、複業のキャリアをスタートさせる。

2つの仕事を掛け持ちするなんて……。就職前の私からは考えられません。

一見しんどそうですが、メリットもあるんですよ。ダンクソフトのお客様にkintoneを使った具体的な提案ができたり。逆に、サイボウズのお客様を、ダンクソフトとしてサポートもします。また、農業でつながった人にサイボウズを使ってもらったりもしています。1つ重要なことを言うと、掛け持ちにはITツールが必須です。

複業をはじめてから何か変化はありますか?

1つは人や中小企業とのつながりが増えたこと、もう1つは収入が減ったことですかね(笑)。ただ、実際の契約形態は2社としっかり話合っており、最低限のラインは確保しているつもりです。

その分、デメリットも多くあるのではないでしょうか?

デメリットはほとんどないです。しいて言えば、3つのフィールドで会う人があまりに増えすぎて、仕事が増えてしまうことですね(笑)。自分の時間は時折ほとんどなくなることがあります。

実際に複業をするときに、周囲から反対されたんじゃないですか?

複業に対する反対はありませんでしたね。2社の社長と3者で話し合い、柔軟な働き方を認めてくれる人に出会えたことが大きかったです。

中村さんのまわりには複業している人が多いのですか。

ほとんどいません。たまに、地方に行くと名刺を三枚出してくる人がいます。東京での仕事、地元での仕事、実家で営んでいる仕事の名刺ですね。経済縮小による複業がもう生まれてきているんです

2つの職で満足しない、第3の場は農業

会社の複業に加え、農業にも取り組まれていらっしゃるとか?

19年前に妻の実家移ったときから、家の田んぼで農業をしています。農業の多面性をみんなに体験してほしくて、社会貢献の意味で始めたんです。もともと妻の実家は農家だったので、そこで義父・義母を少し手伝ったりはしていたことの延長上ですね。

農業にも力を入れる中村さん(撮影:ダンクソフト 星野様)

例えば、田植えや稲刈りの時に体験ツアーを仲間と企画し、社員や知り合いに声をかけてイベントをしています。毎年50人前後の人が集り、リアルな農業体験を楽しんでもらっています。特に、都会にいらっしゃる子供さんは大喜びです。

複業に農業。やることがたくさんで僕なら途中でくじけてしまいそうです。(笑) 農業をすることで何か良い影響はありましたか?

義理の両親と一緒に話す場を持てるため、絆が深められることですね。仕事上で農業関連の人とお話ができるようになり、信頼も得られました。kintoneを使った水耕栽培のレタス工場の事例は、農業をやっていなかったら作れなかったと思います。

子供の頃まで振り返って見えた5つのビジョン

複業する前は、日本マイクロソフトに勤められていたんですね。そこでの働き方はサイボウズと比べていかがでしたか?

マイクロソフトでは、与えられた目的を達成するように指示されていました。細かい仕事のやり方は特に何も言われず、基本的に個人に任せられていましたね。PCを外に持ち出せる環境で、「仕事ができない」という言い訳はできない状態。だからどこでも仕事をしていましたね。ただ、仕事の柔軟性でみるとサイボウズの方が何枚も上手ですね。

とても恵まれた前の職場を巣立ち、複業を決意されたのはいつごろなのでしょうか?

担当のキャリアプランナーの「やりたいことひとつじゃないじゃないの?」という言葉がきっかけです。やりたいことを書きだしたことから始まりました。

具体的に、龍太さんのやりたいこととは何でしょうか?

主に5つあります。「中小企業へのITで支えること」「経営分野での研究」「地方の地域活性化」「中等教育へのITリテラシー」「農業のビジネス」ですね。「これを同時にやれる会社があるといいよね」とキャリアプランナーから気づきをもらったことを覚えています。
その後、サイボウズとダンクソフトによって複業ができる機会にめぐり合えたので、5年後に同じ機会ができる保障はないと判断して決断をしました。

龍太さんの最近のキャリアプラン

キャリアプランを具体的に定めるのは大変ですよね。何かコツはあるのでしょうか?

「できること」「やりたいこと」「やるべきこと」を考えることですね。まずは「できること」と「やるべきこと」が重なっていれば、企業からはお金がもらえますよね。加えて、自分の「やりたいこと」とも重なれば幸せです。でも全部がピッタリと重なっていたら、そこから成長はできないんですよ。一部が重なっているからこそ、自分を成長させられるんです。ちなみにサイボウズではこの3つを「ハッピーセット」と呼んでいます。

なるほど、就活生でいう自己分析ですね。キャリアプランを立てる上で大切なことは何でしょうか?

自分が興味をもつところを考えることですね。コンサルタントの方には、幼稚園のころまでさかのぼって、楽しかったことを思い出すように言われました。そうして自分のやりたいことを掘り起こしてみるんです。

転職は人生の節目であり、実際にするにはなかなか勇気が出ないと思います。迷いはなかったんでしょうか?

割とスパっと結論を出しました。転職にあたってへッドハンティング会社に登録することもなく、自然に人と人がつながってこの会社にしようという感じで決まりましたね。

転職は人とのつながりが大事なんでしょうか?

妻が言うには、次のステップに移るとき、僕はいろんな人と会っているそうです。自分は意識していないんですけど。仕事に関係のないイベントに行ってみたり、面白い人だなと興味を持った人に会いにいってみたりしているようです。コンサルタントも「自分のなりたい人がいるならその近くに行った方がいいんじゃないか」と言ってくれていましたし。そして、多くの人に自分の興味のあるところや自分のやりたいことを言っておくことが大切だと思いました。

新しい社会に向けて、働き方の実証実験

これからの転職制度はどのように変わっていくのでしょうか

経済学者シュンペーターの「経済発展の理論」は、新結合でしか経済発展はないと言っています。新結合とは異なる考えが組み合わさり、新しいモノを生み出すということです。その手段として転職という制度は社会からも求められていますね。転職で会社を去っていっても、また戻ってくる、転職ではなく起業する、更には、起業して失敗した人こそ、また会社に迎え入れる、そのような転職が増えてくると思います。いや、増えてこないと将来はありません。

これからはどのような働き方をしていきたいとお考えですか。

働き方の実証実験をして行きたいです。今の社会の一般的な働き方は、産業革命以後のモノ造りに最適化された働き方です。情報革命後の脱モノ造りに最適化された働き方はどんなものなのだろうか、そして、2050年には、65歳未満の生産人口が大正時代の人口くらいになるといわれている時代に向けて、今までと違った働き方が必要になると確信します。今、まさに社会人で活躍している人やこれから社会人になる人のために、働き方の実験を楽しみながら開拓し、かつ自分のビジョンに向かって進んでいきたいです。

ありがとうございました。

文:小沼悟/撮影:橋本直己

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撮影・イラスト

写真家

橋本 直己

フリーランスのカメラマン・エディトリアルデザイナー。趣味は尺八。そして毎日スプラトゥーン2をやっています。

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