桐谷 ヨウ
ブロガー、週末コラムニスト。主なコンテンツは恋愛関係、人間関係全般です。親指シフトユーザー。
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この記事を読むことで、読者は「先を見通して先手を打てる人」の考え方についての洞察を得ることができる。具体的には、これらの人々は「現状維持」を基準に未来を想像し、先手を打つことができるという考え方が紹介されている。彼らは「今現在」の状況よりも、「現状が維持された場合の未来」を考えることで、長期的な視点を持って行動を最適化していることが説明されている。例えば、5年後や10年後に予測される潜在的な問題を見抜き、それに予め対応することができるとされる。
また、将来的に起こりえる問題を『予期できる可能性が高い』という視点から、先を考えて行動を起こすことの重要性が語られている。このような視点はビジネスだけでなく、他の分野でも応用可能であり、『まだ大丈夫』という現状に甘んじる態度を持たず、未来においていかに現状を改善できるかを常に考えることが求められている。さらに、プロジェクトにおけるリーダーやマネージャーは、問題が顕在化する前に予防策を講じることで、効果的にチームを管理して成功に導けるといった見解が示されている。これによって、チームワークに関する知識を深めることができ、長期的な成功を目指すための新しい視点を得ることができる。
ブロガーズ・コラム
【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズ外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回はファーレンハイトさんが考える「先を見通して先手が打てる人の考え方」についてです。
仕事ができる人は先回りができる人が多い。
個々のタスク、かかわっているプロジェクト、会社の動向などスケールの違いはあれど、先手を打ちにかかる。断片的な情報をもとに巧妙に「こうなるのでは?」と予想して、活路を見いだしているように見える。そして死路に向かわないように手を打っていく。
逆に仕事ができない人は後手後手になって、対処療法に走りがち。とっちらかった状況になって、賢明に目の前のことを全力で頑張っているのに、その苦労が報われなかったりして、精神的に摩耗してしまったりする。
この違いはどこにあるのだろうか? 生まれつきの頭の良さだろうか? いや、俺が見てきたなかでは「視点・意識の向け方の差」のように思える。そのズレが結果を変えてしまう。
視点・意識の向け方の差を考える上でヒントになるのは「現在」と「現状維持」の違いを考えることだ。
アカデミック・ディベートという競技がある。これは単なる言い争いを指すのではなく、ルールに基づいた囲碁や将棋のような"知的ゲーム"だ。そう、ビジネスマンが大好きなロジカル・シンキングを駆使する性質の。
ある論題──外交・経済・医療・教育──に関するさまざまな政策に関して、肯定派と否定派に分かれて討論する。その際に、肯定派はプラン(政策)を採択した際のメリット・デメリットを、否定派は<現状を維持した>際のメリット・デメリットを提示する。客観的にそれらを比較しあい、最終的には第三者であるジャッジが勝敗を決定する。
ここで重要なのは、否定派に課せられたスタンスだ。彼らは「現在(present)」の世界ではなく「現状維持(Status Quo)」の世界を議論のテーマに挙げなければならない。この観点は非常に重要になる。After Plan(政策採択後)の世界と比較する対象は、「いま現在(present)」の世界ではなく「現状維持(Status Quo)」の世界。
なぜ「現在」ではなく「現状維持の世界」を考えるのか? 答えは明確で、政策の肯定・否定派は「現在」ではなく「未来」を比較検討しなければならないからだ。
これはビジネスの世界でも生きる概念だ。
わかりやすい例を挙げると、現状維持という視点を取り入れることで、いまの時点ではヤバくなくても、5年後・10年後には顕在化してしまう大問題(時限爆弾)を発見できるかもしれない。また、あるアクションを取った副作用は、現状維持によっても時間の経過とともに起こりえていた可能性がある。(つまりはどっちみち起きる可能性があるならやった方が良い、になり得る)
ここで話を戻す。先手を打てる人は「現状維持」に関する視点に敏感であるように見える。現状が進行したらどうなってしまうのか? という視点を持っている。(俺も含めて)大体の人は「現在」でベストを尽くそうして、先がどう転ぶかは他人任せであるのとは対照的だ。
先手を打つ人は「現状維持でもたらされる未来」を察知しながらベストな動き方をしている。より良く転ぶ方向を最大化し、悪く転びうる方向をつぶしにかかる。言い換えると、積極的に自分にとって「より良い現状」をたぐり寄せている。
プロジェクトで火消しをする人は、まぎれもなく素晴らしい人材だと思う。だけど、優れたマネージャーやリーダーは未然に火を消そうとする。それは種火ができた時点で「これが広がったらどうなるか?」という視点を持てているからだ。
まだ大丈夫なのか? 時間が経過したら? この要因とくっついたらどうなるか? そういった視点で見ている。(火を吹いてからプロジェクトに突っ込まれてる知人の話を聞くと、本当にかわいそうになる……)まとめると、俺が「この人すげぇな」と思う人は<まだ大丈夫>という考え方を決してしないことでしょうか。現時点で大丈夫でも、現状維持した結果でもたらされる未来に対して視点を向けているように思える。常に状況を現在の点ではなく、先に向いた矢印としてとらえている。
目の前のタスクに夢中になっていると、それだけで充実した気分になりがちだけど、「何のためにこのタスクをやっているのか?」という視点を持つのが一歩深めた働き方だとすれば、「近い将来に訪れる現状を積極的により良いものにしようとできるか?」を考えられる人が、優秀な働き手なんだと思う。
あとは単純に、想定外の事態なんてそうそうなくて、予期できたであろうことが結構多いんですよね。最悪のシナリオでの現状維持を想定すれば回避できていたかもしれないのではないでしょうか。ちょっとした「やらなくてもいいけど、やっとくか」が大きく身を助けることは多い気がします。
さて、コラム書きとして締切に苦しんでしまうのも、余裕がある時点で「まだ大丈夫」と思ってしまい、「現状維持」をした際に何が起きるかをシビアに見れていなかった結果と言えるでしょう。仕事の最優先は時間を守ることからですね! 俺も頑張ります。イラスト:マツナガエイコ
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イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。
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