サイボウズ株式会社

ルールだらけの日本の働き方は創造性を遠ざけ、楽しさを破壊している

この記事のAI要約
Target この記事の主なターゲット
  • ビジネスリーダー
  • 企業経営者
  • 人事担当者
  • 日本の働き方に興味がある人
  • 長時間労働を改善したいと思っている人
Point この記事を読んで得られる知識

この記事では、シュリダー・ベンブCEOとサイボウズの青野慶久が、日本の働き方の問題点について議論しており、大量のルールが創造性を奪い、仕事の楽しさを破壊していると指摘しています。シュリダーCEOは、ルールを疑い柔軟な働き方を導入する必要性を強調し、実際にZohoではタイムカードや休暇の厳密な管理を廃止し、自由な職場環境を実現しています。日本企業のような厳しい時間管理や長時間労働は、創造的な思考を阻害する要因となるため、働き方の常識を見直すべきだと述べています。また、日本の企業文化の下で、特に女性がキャリアを持ちながらも家庭との両立が難しくないよう、柔軟な職場環境と育休制度の改善が必要とされています。

Text AI要約の元文章
サイボウズ

ルールだらけの日本の働き方は創造性を遠ざけ、楽しさを破壊している

既存のルールを疑い、常識を破り続けてきたZohoのシュリダー・ベンブCEOに、サイボウズ社長の青野慶久が話を聞く。Salesforceの買収提案や教育に関するルールの打ち破り方を聞いた前編「わたしが博士号を取っていなければ、会社は今の10倍になっていたでしょうね」に続き、今回は創造性を奪う日本の働き方について。(後編「人は学歴を欲しがり、教育は職業訓練の機会を搾取する」に続きます。)

ルール、ルール、ルール。縛られていて本当にいいの?

シュリダーの「常識の疑い方」の続きですね。

日本でいつも大変なのはね、シュリダー「さん」って呼ばないでくれって言って回ることなんですよ。シュリダーでいいです。そういえば、青野さんもやっと「さん」無しで呼んでくれましたね。

ええ、でもまだなじんでいないかも(笑)

日本語ではそれがルールだとおっしゃるのでしょうけれど。

サイボウズも既存ルールを壊してきたんですよ。時間と場所にとらわれず自由に働けるなど、革新的なワークスタイルで有名です。(ゾーホージャパン 松本暁義さん)

ウルトラワークですね。あとは育自分休暇などもあります。

それはとてもいいですよね。日本でも普及すべきですよ。日本に来た時、確かに素晴らしい才能や美点も多いけれど、あまりにルール、ルール、ルールばかりで滅入りましたよ。その点でもZohoとサイボウズは協力しあえるのでしょうね。「ルールを破れ」って、日本でも大々的に打ち出せますよ。2社で協力して、新しいワークスタイルのカンファレンスなんかもできるかもしれない。日本に広めたいですよ。

ルールが多すぎるせいで、みんな創造性どころじゃないと。

日本の働き方は、楽しさや精神を破壊している

私に言わせれば、今の日本の働き方は、創造性から遠ざかるどころか、働く楽しさそのものや精神を破壊していますよ。最初はゾーホージャパン(Zohoの日本支社)でも非常に伝統的な日本企業のカルチャーで、ルールだらけだったんです。わたしはどちらかというと放任主義で、細かいことを管理しない。従業員のところへやって来て「こうしろ、ああしろ」とは言わないんです。ですから日本部署はとても基本的なことだけで経営し、独立していて、カルチャーもまったく異なるものでした。

そうだったのですか。

ええ、忘れられないのは2007年か2008年にたった1、2回訪れたときかなぁ。4−5年の間、わたしが新部署設立と社内の新商品開発で大いそがしでした。日本支社は基本的に「任せる」というスタンスだったのですが、日本にきたらルールがたくさん作られていたんです。 だって、朝9時に始業ベルが鳴るから、それまでに出社しなきゃいけないんですよ。たとえ2分の遅刻でも、それは遅刻。そうしたくなければ、半休を取って埋め合わせているなんてこともありました。たった2分の遅刻のために半休を取らなければならない、そんな感じのルールばっかりで。

日本企業特有のルールがあったと。

夜10時にオフィスに来てみるとね、みんなまだ仕事しているんですよ。朝9時から夜10時、11時、真夜中、うーん、これって全然いいことではないなと思って。わたしは日本も日本人も好きなだけに、とても悲しかったんです。多くのアジア諸国は日本をお手本にしているわけでしょう。日本はアジアナンバーワンの先進国ではないですか。だからみんな日本を尊敬しているのに、ここにきてわたしが見るのは働きすぎの人々。そんなの人生のあるべき姿じゃない。バランスをつけないとね。

シュリダー・ベンブCEO。南インド・チェンナイ生まれ。インディアン・インスティテュート・オブ・テクノロジー・マドラス(IITマドラス校)に在籍後、米国にてプリンストン大学を卒業。1996年、ZOHO Corporation(旧AdventNet Inc.)を共同で設立し、現CEOを担う。大手機器ベンダーや通信キャリア向けのネットワーク管理ソフトウェアから中小企業向けのクラウドサービスまで幅広い事業展開に貢献。日本のものづくりを敬愛し、特にホンダの文化に傾倒

ルールなんて簡単に破ってしまえばいいじゃないですか。

ですね。だからわたしは「変えなきゃだめだ」って言い始めたんです。でも中には「シュリダー、ここは日本ですよ、日本のやり方があるんです」なんてフィードバックもあったりしてね。「あなたはガイジンだから、日本のことは分からないんですよ」なんてね。

当初は反発があったのですね。

そうなんです。だから従業員に言ったんですよ、「わたしは全然楽しくない」と。オフィスに行っても、楽しみなんか何もないんですよ。ルールばかりでつらいだけ。だから取っ払いました。変革するために、ちょっとした“バトル”をしました。徐々にですが変わったと思います。100%のうち30%くらいかな。まだまだ変わらなきゃ。

今はタイムカードも押さず、書類もない?

インド本社のZohoには1つもありません。休暇だってほとんど記録追跡しないし。みんなそれぞれ適切な時に休めばいいんです。それはインドでも米国でも同じです。厳密にトラッキングしない。もうちょっと休みたいなというひとがいれば、休みをとればいい。いつもフレキシブル。アメリカではそういうスタイルが広がっていますね。スタートアップに行ってごらんなさい、休暇の日数なんか数えませんよ。日本でもね、もっと常識を使えと。

常識を使う?

わたしはルールなんてつくらないんですよ、常識を使うんです。「何が正しくて何が間違いか教えたいのね」ってみんな言うけど、違うんです、自分の常識を使って自分で考えろと。何でもかんでも教えてあげるわけにはいかないんですから。

「子どもに会わなきゃいけないので、仕事をしません」、そんなあなたを日本は必要としている

Zohoでも独身者はいっぱいいる、だから結婚して子どもを持ちなさいと奨励してきました。日本支社では同僚と結婚した男性社員がいます。彼は日本の成長に貢献したんです。

サイボウズは社内カップルも多いんですよ。それで有名なんです。

子どもを持つとね、自信がつくんですよ。もっと崇高になるというか、ね。子どもを持つと、幸せになるでしょう。だからそういうひとをみんな出世させるんですよ。

サイボウズと考え方がそっくりですね。社員の男女比率は?

女性比率は25〜30%です。インドの方がエンジニア業界での女性は多い。もちろん彼女たちもソフトウェアを作りますよ。あちこちに社会的な問題はありますが、インドの女性エンジニアは多いんです。もちろん彼女たちは母親になりますが、辞めるひとも、子どもと過ごしたいとパートタイムを選ぶ人もいる。そういうものですから、無理はさせません。でも社内にはたくさん働く母親たちがいますよ。われわれのインドのオフィスでは保育所もオプションとしてありますから。インドでは、典型的な育休は6か月です。Zohoでも育休制度はありますし、そのほかのオプションとして社内に保育施設をつくったんです。子どもを職場に連れてきて、そして仕事をしなきゃいけませんからね。いろいろなことを簡単にしたい。

6か月ですか。

ええ、そして復帰します。青野さんも子どものために育休を取られたんですよね。

このほど第三子が生まれまして、子どもに会えました。

本当に? よかったですね。

.

そうです、今年は子どもに会わなきゃいけないので、仕事はしません!

本当に日本の役に立っていますねぇ。日本はあなたを必要としていますよ。

2015年3月26日私が博士号を取っていなければ、会社は今の10倍になっていたでしょうね
2015年4月15日人は学歴を欲しがり、教育は職業訓練の機会を搾取する
翻訳:河崎環/写真:橋本直己

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編集

編集部

渡辺 清美

PR会社を経てサイボウズには2001年に入社。マーケティング部で広告宣伝、営業部で顧客対応、経営管理部門で、広報IRを担当後、育児休暇を取得。復帰後は、企業広報やブランディング、NPO支援を担当。サイボウズ式では主にワークスタイル関連の記事やイベント企画を担当している。

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