
[Vol.2] 上座?下座?席次を決め付けるのはもう古い!?

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- ビジネスパーソン
- おもてなしに関心のある人
- 社会人経験を積んでいる人
- 宴会や会食を主催する立場にある人
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席次の基本原則やその意義について、席次はお客さまや目上の方への敬意の表れとして重要であり、基本的に出入口から遠い席が上座、近い席が下座というルールがある。しかし、部屋の形状や参加人数によっては上座の位置が変わることがあるため、事前の下見が必要だとされている。特に、特定の状況では主賓が個人的な好みで座る位置を決める場合もあることから、柔軟に対応することが求められる。
また、宴会や会食、特に日本食店では料理の提供順に席次が影響を及ぼすため、席次に従った着席が重要とされる。席次通りに座れなかった場合には、料理を提供する順番を適切に調整する必要がある。その際、世話役は料理店のスタッフに変更を知らせる手立てが必要であることも学べる。
さらに、席次の理解の一環として「相手を尊重した着席」や「自分が招かれた場合の上座への配慮」など、具体的な振る舞いの例も示されている。これらの配慮は結果的に互いの尊重を深め、円滑な会食を可能にするとされ、ビジネス環境での心遣いの重要性が強調されている。
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席次の事前確認は必要だが、当日は最上座と最下座以外は、主賓や社内の上長に任せる
(Illustration:yoshifumi takeda)席次は、お客さまや目上の人への敬意を表すためのもの。基本的には、出入口から遠い席が上座、近い席が下座となり、序列に従って奥の席から座っていくのが原則である。しかし、床の間の横に出入口がある部屋や、庭が付いた部屋など、上座の位置が変わるケースや、上座に座り切れないほど多人数を接待するなど、判断が難しいケースもある。世話役になったら、まず、部屋の下見をしておくことが大切だ。告知できる場合は、店の人に、顔合わせやお祝いといった会食の目的や、人数などの情報を伝え、店が定める上座と下座を事前に確認しておきたい。多人数をもてなすときは全員が上座になるよう、あらかじめ席をしつらえてもらうといいだろう。
イマドキ マナー作法
Aは円卓の席次。B、Cは多人数で和室を使用する席次。接待の際はBのように床の間の前が上座。社内会食の際は、Cのように主賓の向かいと奥の座席が上座。入口近くや料理から遠い席はもちろん下座だ。とはいえ、当日は原則通りにいかないことも少なくない。前述した通り、席次は敬意を示すため、また、会食の本来の目的を達成するために必要なマナーだが、時には、主賓がお気に入りの部下を隣に座らせるなど、そのときの状況を見て判断しなければならない場合もある。
では、世話役はどう振る舞うのがスマートか。接待なら主賓を、社内の会食なら序列の最も高い人を最上座にエスコートし、その後は主賓や社内の上長に任せよう。
ただし世話役の自分は、ほかの席を勧められたとしても最下座に着席すること。また、お客として招かれたときは、勧められた上座がどの席になったかを確認し、「良い席にご案内いただき恐縮です」「私はもっと末席で結構です」などの一言を添えたい。その一言があるだけで、「この人は分かっているな」と一目置かれるはずだ。
席次は料理を出す順番にも関係してくる。日本食店なら、料理は最上座→左隣→右隣の順に出されるため(欧米スタイルは逆)、席次通りに着席すれば問題ないが、そうならなかった場合は、序列に応じて料理を出す順の変更が必要になる。世話役は着席後、変更点を店の人にすぐに伝えておこう。また、中国料理の円卓上の円台は時計回り。それゆえ、図Aの③の人は料理を取るのが最後になる。力関係を重んじる相手と判断したら、店の人に料理を小分けして序列通りに出してもらう方法もある。
- 中村由美 氏
- 壱番屋の創業者、宗次德二氏から3代に仕え、秘書としての実績を積む。1996年「ベストセクレタリー」を受賞、日本一の秘書となり、日本秘書協会での指導や講演でも活躍する。現在は、宗次夫妻の事務所「ライトアップ」で秘書を務める。著書に『日本一のプロ秘書はなぜ「この気遣い」を大事にするのか?』(プレジデント社)などがある。